第17話:泥より生まれし魔法兵器
**第17話:泥より生まれし魔法兵器**
「……よし、これで骨組みと魔導回路の接続は完了だ」
地下基地の暗がりの中、レンが作業台から一歩引いた。
そこに鎮座しているのは、地下水道から採取した『精錬粘土』と高濃度マジックオイルで形成された、異様な質感のゴーレムだった。胸部には不気味な青白いコアが埋め込まれ、表面には無数のシステムルーンが刻まれている。
「すごいよレン……! これ、本当にNPC生成の隠し裏コマンドと、システムバグを組み合わせて作った『魔法特化Bot』なの……!?」
ハックが端末の数値を読み込みながら、興奮で声を上ずらせる。
「ああ。人間のメイジなんて気まぐれで裏切る駒は要らない。俺たちに必要なのは、指示通りに完璧なタイミングで環境制御スキルを放ち続ける『完全自律型の魔法兵器』だ」
前回の戦闘で露呈した最大の課題――「狂乱した敵による物理的なマップ破壊とゴリ押し」。
それを封じ込めるため、レンが自作したのがこの自律型魔法ゴーレム『クレイ』だった。
「アイアン、起動テストを行う。コアに魔力を同調させろ」
『了解(了解)』
アイアンがコアに触れると、ゴーレムの全身のルーンが眩い青光を放ち、ずしりと重い音を立てて立ち上がった。
「クレイの役割は火力の爆発じゃない。泥と粘着の範囲魔法による『足止め(クラウドコントロール)』だ。敵がいくら大鎚を振り回そうが、足元を完全に固定されれば振りの初動すら奪える」
「そっか! 足元を泥で固めちゃえば、前みたいに暴れて壁を壊すことすらできなくなるんだね!」
「そういうことだ。アイアンが受け、アーチェが穿ち、クレイが敵の物理的暴走を環境ごと抑え込む……これで『無名機関』の陣形は真の完成を見る」
完璧な手駒を手に入れたレンは、冷ややかな笑みを浮かべた。
二度の足踏みを経て、ついに死角を完全に埋めたオフライン軍隊。
「さて……そろそろ地上で暴れているバカどもに、本当の恐怖を教えてやるか」




