第14話:地下要塞の建設と、地下水脈の秘密
地下水道への潜伏から数日。人知れず広がる暗闇の中で、俺たちの新たな基盤づくりは着々と進んでいた。
「レン、見てよ! 廃材と石材を組み合わせて、入口に『偽装障壁』と『一方通行の隠し扉』を設置したよ!」
ハックが泥だらけの顔で得意気に胸を張る。
外からはただの行き止まりの壁にしか見えないが、裏側の裏コマンドを入力すればすんなりすり抜けられる隠しルートだ。さらに奥の広場は、ハックの手によって作業場、資材庫、そして訓練場を備えた完全な地下基地へと生まれ変わっていた。
「上出来だ、ハック。これで地上から誰かが迷い込んできても、基地まで辿り着く前に迷路で詰む」
「えへへ、任せてよ! ……でもさレン、ここは隠れ家としては最高だけど、やっぱり鉱山と違って素材が手に入らないのが痛いよね……」
ハックが少し寂しそうに周囲を見回す。だが、俺はふっと口元を緩めた。
「そうでもないぞ。……フィア、ちょっとあの水路から水を汲んできてくれ」
「は、はいっ!」
フィアが持ってきたバケツの水を受け取り、俺は攻略本で得た知識を確かめるように、水面に薄く浮かぶ緑色の油膜を指で掬い上げた。
「この地下水道には、上の王都から流れ出た古い薬草の成分と、地下の特殊な粘土層が混ざり合った『地下水脈の泥(精錬ろ過前)』が眠っている。……不人気エリアなのは、誰もこの泥の処理方法を知らないからだ」
「え……!? じゃあ、このドロドロの泥って……!」
「ハックの裏加工スキルで不純物を取り除けば、ポーションの触媒としても、防具の強化塗料としても使える万能の『粘土鉱石』に化ける」
ハックの目が輝き、アーチェとアイアンも顔を見合わせる。
地上で大手ギルドたちが「不毛の地」と笑い捨てたこの地下迷宮こそ、誰にも邪魔されずに無限の資材を掘り出せる、俺たちだけの宝の山だった。
「地上の連中が空っぽの鉱山で無駄な血を流している間に……俺たちはこの闇の中で、人間どもの想像を超える力を蓄える」
敗北を糧にし、隠れ家と新たな資源を手に入れた『オフライン軍隊』。
反撃のための静かな爪研ぎが、いま暗闇の底で本格的に始まった。




