第13話:潜伏の地下迷宮
鉱山エリアを離脱した俺たちは、追手の目を眩ますように移動を重ね、かつての繁栄が嘘のように静まり返った『旧王都の廃墟』へとたどり着いた。
地上は崩落した建造物が立ち並ぶゴーストタウンだが、俺たちの目指す場所はその足元――広大な『地下水道網』だ。
「ヒエッ……ここ、すっごく不気味だよ……。モンスターもジメジメしたやつばかりだし、人っ子一人いないじゃないか」
ハックが不気味さに身を縮こまらせ、ランタンの灯りをかざす。
薄暗い石造りの通路には水音が響き、プレイヤーの姿は影も形もない。
「当たり前だ。ここは入り組んだ迷路構造な上にドロップアイテムが不味く、プレイヤーからは『不人気な不毛地帯』として完全に放置されている場所だからな」
俺は暗闇を見据えながら、静かに歩みを進めた。
人目に触れず、大手の監視網も届かない。さらに広大なスペースと複雑な分岐路が存在するこの廃地下水道こそ、一度敗北を喫した俺たちが爪を研ぎ直すのに最高の隠れ家だった。
「レン、ここを新しい拠点にするの……?」
フィアがおそおそる尋ねてくる。俺は振り返り、不安そうな仲間たちの顔を見渡した。
「ああ。地上で大手ギルドどもが鉱山の無意味な利権争いで疲弊している間に、俺たちはこの地下水道に『完全な秘密基地』を構築する。ハック、お前の建築パラメータと裏知識で、ここを外部からの侵入を拒む要塞に改造してくれ」
「任せてよ! 誰も来ない場所なら、思いっきりトラップや隠し扉を仕掛け放題だ!」
ハックが頼もしく胸を張る。
アーチェも小さな拳をギュッと握りしめた。
「うん! ここなら誰にも邪魔されないで、もっと強くなれるね!」
「一度の敗北で諦めるつもりはない。……ここからが『オフライン軍隊』の本当の反撃だ」
最南端の鉱山を捨て、地下深くへと潜伏した俺たち。
人間たちの届かない闇の底で、オフライン軍隊の新たなる再始動が始まった。




