第93話 生徒会チーム発足
週明けの朝のホームルーム。各クラスでは球技大会開催が正式に伝達されていた。
球技大会そのものに変更はなく、例年7月に開催される球技大会が4月開催に変更されたことだけが異なる。
開催時期変更に関しては特に問題にはならなかったが……。
生徒会執行役員が参加できないことは、2年3年なら既に承知していることだ。だからこそのブーイングだった。
シンが生徒会長になり参加できないことだ。
女子生徒はもちろんの事、男子生徒からは今年こそリベンジをと思っていたからだ。
休み時間になると、他のクラスや上級生達が2年B組の教室や廊下に押し寄せ、シンにバスケに参戦できるよう変更してくれとお願いして行く。一緒に実行委員を務める浩輔や直哉、さらには真由までもが、熱烈に直訴される。
◇◆◇
お昼休みになり、生徒会室に避難するように集まった六人。一様に疲れ果てた顔で椅子に座っている。
浩輔が堪らず口を開いた。
「シン……頼む、何とかしてくれ!」
「何をだ?」
「クラスメイトだけじゃなく上級生までも、シンをバスケに参戦させろと俺達にまで言ってくるんだ。」
「俺も直訴された。」と直哉。
「だが、実行委員だしな……。」
「私たちのクラスは三人も実行委員だから、人数少なくなるから余計ね……。」
一華はシン、直哉の三人ともに参戦出来ないことが、クラスの戦力を大幅にダウンさせていることに申し訳なさを感じていた。
「シンだけでも参戦する?」
「それだと3競技の運営に支障が出る。」
「実行委員は各競技の進行と勝敗管理だよね。」
「審判と採点は次戦のクラスが担当、そんなもんか?」
「それぐらいなら私でもできるよね。」
「ダメだ!ダメだ!一人にはさせない。」
「でも、誰かが一人で担当することになるよ。」
「それなら、私が一華と一緒に担当するよ。浩輔一人でやって。」
「俺が一人でするのかー?」
「それもダメだ!」
「五人で3競技担当するんだから、誰か一人になるわけで……。」
「俺が参戦しなければ各二人で分担できるだろ。それに、トラブルが発生すれば俺が責任者として対応しなければならないんだぞ。」
「でも、バスケに参戦してほしい声が上がってるんだから……ねぇ。」
「この話はこれで終わりだ!」
結局、シンがバスケに参戦するかは保留になったままお昼休みが終わった。
◇◆◇
放課後、生徒会室に集まった執行役員六人が、お昼の続きを議論しようとした時、ドアが勢いよく開かれた。
そこには肩を上下させ、息をきらしている真凛がいた。
「どうしたの真凛ちゃん、そんなに慌てて。」
「はぁ、はぁ……っ!」
まだ喋りだすことが出来ない真凛。
その間に沙羅、海斗、湊、宗一郎も生徒会室に入ってきた。
海斗は息を切らす真凛を見て、慌てて駆け寄る。
「どうしたの真凛ちゃん。そんなに息切らして何があったの?」
「せ、先輩。伝説って何ですか?」
「伝説?」
六人は顔を見合わせるが、伝説の意味がわからない。
「何の伝説だ?」
「去年の球技大会です。」
「「「「「あぁ~。」」」」」
シン以外の五人は納得した。
「知ってるんですね。教えてください。」
「それより、誰から聞いたんだ?」
「クラスの中に上級生にお兄さんがいる子がいて、そのお兄さんから伝説を聞いたと。」
「なるほどー。」
「何ですか? 私にも教えてください。」
理那が、我慢できずにクスクスと笑いながら話し出す。
「それはね……シン君よ!」
「へ? 会長?」
「俺が伝説!?」
シン本人は自らが伝説になっているとは思っていない。あれは普通の事だからだ。
「そうよ。私たち去年、同じクラスでバスケに参加していたのよ。」
「私たちの作戦はシン君にボールを集めることだけ。ゴールを決めるのはシン君。で、どこにいてもゴールに向けて投げるボールは全てシュートが決まるのよ。」
「百発百中なのよ! 上級生がバスケ部で固めてきても勝つのはうちのクラス。で、優勝を決めたって事。」
「それが伝説と言われてるのよね。」
「すごすぎる……! 会長、見たいです! 絶対に見たいです!」
「でも、実行委員は球技大会に参加できないから、私たちも困ってるのよ。」
「何があったんですか?」
「その伝説のせいで、2、3年生からシン君をバスケに参戦させてくれってお願いされてるの。」
「それなら、生徒会チームを作ってはどうですか?」
宗一郎が提案してきた。
「生徒会チーム?」
「はい。予定されている対戦には実行委員だから参加できないのであれば、優勝チームと生徒会チームのエキシビジョンマッチ?っていうんですか? 最後に対戦することにすれば、盛り上がるんじゃ???」
「宗一郎君すごーい。ナイスアイデア!」
「シン、それで検討してみない? 生徒会チームには1年生も参加できるでしょ。」
「あぁ、優勝すれば対戦できて、負ければ一緒のチームか。」
「あぁ、それいいですー! さすが一華先輩♡」
「エキシビジョンの時は、全面コートに切り替えて、全校生徒いれるぞ。」
浩輔が仕切りだす。
「そうするか…。」
シンは落しどころを受け入れることにした。部屋中に歓声が上がる。
「そうなると、沙羅、ポスターどうなってる? エキシビジョンマッチ入れれるか?」
「そうですねえ……こういう感じで……どうですか?」
沙羅はタブレットで修正を加え、ポスター案を見せて来た。
「あぁ、いいな! これ印刷して掲示するぞ!」
「はい」
印刷したポスターを手分けして掲示板に貼って回った。




