表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いちにの華  作者: ゆず華
生徒会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/130

第92話 修復

翌日のお昼休み、生徒会室に集まった執行役員六人は、シンから受け取った球技大会用の「提案書」を囲み、最後の中身を確認している。


――――――――――――――――――――

球技大会開催時期の変更に関する提案書


1. 提案内容

例年7月に開催されている球技大会を、本年度より「4月28日」へ前倒しして開催することを提案いたします。


2. 変更を希望する背景と理由

①生徒の健康安全管理(熱中症対策)

近年の猛暑により、昨年度、屋外競技のフットサルにおいて複数の生徒が熱中症に罹患いたしました。生徒の生命と健康を守ることを最優先とし、気候が安定し、屋外活動に適した4月下旬への開催変更が妥当であると判断いたしました。

②競技性の維持と公平性の確保

熱中症対策として、屋内競技のみも検討いたしましたが、以下の懸念事項がございます。

フットサルを中止した場合、生徒の参加可能総数が大幅に減少し、特にサッカー部員等の意欲低下や不満を招く恐れがあります。

体育館での実施はコート面積の関係上、安全なプレー環境を確保することが困難です。4月開催であれば、例年通りの競技種目(バスケットボール、ドッジボール、フットサル)を安全に実施可能です。


③学級運営および生徒指導上の意義

入学・進級直後の4月に全生徒参加による行事を行うことで、早い段階でクラス内のコミュニケーションを活性化させ、「クラスの団結力」を高める一助といたします。


3. 実施スケジュール

開催日:4月28日 ※雨天・雷注意報発表時は、屋外競技中止

備 考:翌日が祝日であるため、身体的負荷を考慮した休養期間も確保できます。

――――――――――――――――――――


「どうだ? 漏れはあるか?」


シンの問いに、お弁当をつついていた浩輔が力強く頷いた。


「バッチシじゃないか!?」


「すごいね。私がまとめた資料の内容と全然違ってる……。」


真由が自分の力不足を感じ、少し落ち込んだように一華は感じていた。


「お前が要点を簡潔にまとめてくれたおかげだ。助かったよ。」


落ち込んだことに気付いたシンは素直に感謝を述べると、真由の表情に明るさが戻った。


「これを今から顧問まで届けてくる。」


シンは早々に食事を終えると、提案書を職員室にいる市川先生のところへ届けに行った。



◇◆◇



放課後、再びの生徒会室に集まった執行役員六人。職員会議が始まり、提案書の決議が待たれる。


「待ってるだけじゃ、時間がもったいないから、準備を進めるか。」


「そうだな。」


「そういえば、1年生の五人来ないね。」


「シンが厳しく言い過ぎたからなぁ、ビビッて入ってこれないのかもな!?」


「原因は俺か……。」


「シンはもう少し、説明を尽くさないといけないと思う。相手は私じゃないんだから、対等じゃないんだよ。後輩を怖がらせちゃうよ。」


一華がシンを戒める。


「悪かった……気を付けるよ。」


その時、生徒会室ドアを控えめにノックする音が響いた。


真由がドアが開くと、そこには1年生五人が並んでいた。

室内に入るなり五人は一斉に頭を下げた。


「昨日はすみませんでした。」「「「「すみませんでした。」」」」


「あっいや、俺も強く言い過ぎた。すまなかった。」


シンは一華の戒めが効いたのか思わず謝罪を口にする。浩輔達はシンの口から出た予想外の謝罪に目を丸くしていた。

シンとしては次期魔王候補の自分が謝罪するなんて思ってもみなかったが、一華に言われた戒めの言葉は素直に心に響いて態度を変えていた。


「さぁ、座って。」


真由が着席を促した。沙羅が口を開く。


「昨日、帰り道にみんなで一緒に考えました。会長の言う通り、まずはクラスに馴染まなきゃって。当日は球技大会に参加します。」


「そうか。なら良かった。」


「それでですね、これ見てもらえませんか?」


沙羅はタブレットを出して来た。

そこに表示されたのは、球技大会のポスターらしきイラストだった。


「これ、沙羅ちゃんが描いたの?」


一華が感心する。


「はい。当日は手伝えないけど、準備で手伝えるものってないかなって考えてて、私が得意なの漫画だから、ポスターならって思って、昨日描いてきました。」


「すごい、上手ね。さすが漫画家志望だわ。」


「ポスター作成は美術部に頼むつもりでいたが、間に合うか心配していたんだ。助かる。開催日は4月28日だ。これを仕上げてくれるか?」


「はい。」


シンの言葉に沙羅は自分の得意な漫画で役に立てることが出来て、とても嬉しかった。沙羅の瞳がキラキラと輝いている。


「僕たちも何か手伝うことありますか?」


「各競技、トーナメント制だ。対戦相手は抽選で決める。そのくじとトーナメント表を作成してくれ。」


「「「「はい!」」」」


沙羅以外の1年四人が元気よく返事をする。


(良かった。シンの想いが届いて。)


一華は1年生相手に昨日の続きが始まるのかと少し心配していたところだった……。


「***(一華、心配させて悪かった。すまなかった。)***」


不意にシンの声が脳内に響いた一華。思わずシンを見つめる。


「***(また、勝手に私の考え読んでるー。)***」


テレパシーで文句を言いながら、二人は視線を合わせ、小さく笑い合った。

浩輔達はシンと一華がまたアイコンタクトしている事に気付いたが、後輩たちの前では冷やかすことをしなかった。


「いつ、抽選するんだ?」


浩輔がシンと一華の二人だけの世界を壊すように聞いてきた。


「あぁ。そうだな。遅くとも1週間前には決めないとな。まずは、当日までの詳細なスケジュールを組むか。」


準備を始めようとした時、生徒会室のドアが開いた。

そこには、顧問の市川先生が立っていた。


「決裁が下りたぞ。4月28日開催で進めろ。」


「ありがとうございます。」


提案が認められ、生徒会室は喜びに沸いていたが、その直後釘を刺された。


「ただし、雨天中止になった場合の代替案を考えろ。」


「承知しました。生徒への伝達はいつぐらいになりますか?」


「来週月曜日のホームルームだな。」


「詳細は決まり次第ポスター掲示でお知らせします。」


「わかった。」


市川先生は言うだけ言って職員室に帰って行った。


「代替案かー。」浩輔がつぶやく。


「***(私がいるから大丈夫と思うけど???)***」


「***(俺もそのつもりでいたんだが……一華が快晴にするとは言えないだろ! 必要はないが考えるぞ!)***」


「屋内競技でフットサルに代わるものと言うと……ってどこでするの?」と理那。


「体育館のステージ上か? 卓球ぐらいなら出来るんじゃ?」浩輔が提案する。


「卓球台をあげるのか?」直哉が疑問を口にする。


「バドミントンも出来るんじゃない?」更に真由も別球技を提案する。


「バドミントンはステージ上にコートを作る必要があるし、ネットポールも立てられない。卓球なら、卓球台を設置するだけで誰でも競技可能だ。」


「広さ的には2台置いても大丈夫そうだよね。」と一華


「ただし、ステージ上から落下しないよう防止措置をとるぞ。」


「とりあえず卓球は後まわしだ。まずは、ポスター掲示できるよう詳細を決めるぞ。」


「開催日は決定よね。ポスター掲示は来週月曜日の放課後以降として、それから各クラス参加競技を決めて……となると、抽選はその翌週月曜日の20日頃? その後の準備に1週間取れるよね。」


「対戦相手は抽選により決定として、日時は20日の月曜日の放課後16時にするか!?」


「場所はここ? 3球技同時進行だよね。」


「視聴覚室借りられないかな?」


「視聴覚室なら全員が最後まで確認できるな。各クラス代表者、クラス委員とするか!? クラス委員に3競技のくじを引かせる。」


「一人で3回くじを引く方が回転率は早いな。」


「1年から3年まで全15クラス、1時間弱で済むだろ。17時には終了するな。」


「くじを受け取ったこちら側の処理速度が勝負だな。」


「司会進行に1人、くじ引き対応に3人、そのくじを受け取る3人とトーナメント表に記入する3人か。」


「シン以外で役割分担だね。」


「沙羅、『対戦相手はクラス代表者による抽選で決定。20日16時、視聴覚室に集合』を追加してくれ。」


「わかりました。」


「あと、『フットサルは雨天・雷注意報発令時は卓球に変更』も追加だ。」


「はい」


「それから、くじとトーナメント表にミス防止策と記入時間を短縮する策を練ってくれ。」


「わかりました。策を考える時間が必要ですので作成に取り掛かるのは来週でも構いませんか?」


宗一郎が聞いてきた。


「間に合えば構わない。期待している。」


「今日はこれで終わりにする。俺は石川先生に視聴覚室使用の許可を得て帰るから、戸締り頼んでいいか?」


「ああ、任せろ。」


「一華、行くぞ。」


「うん」


一華とシンは職員室に寄り、石川先生に視聴覚室使用の許可を得ることが出来て帰路についた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ