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いちにの華  作者: ゆず華
生徒会編

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第90話 入会希望者

放課後、生徒会室には西日が差し込んでいる。

生徒会役員に集合した一華とシン、浩輔、直哉、理那、真由の六人は、生徒会入会を募集したため、希望者を待っていた。


「見極めるって、浩輔、お前に具体的な基準はあるのか?」


シンは浩輔に問う。


「第一印象? 直感かなぁ?」


「お前、そんな抽象的な判断で決めるのか?」


「性格なんか付き合わないとわからないし、第一印象良ければ、お試し期間設ければいいだろ。」


詰めが甘いのか楽観的なのか……浩輔の答えにシンの眉間にしわが寄った。


「そんな危険な賭けできるか! お試し期間中に本性出したらどうするんだ?」


「猫被った人間は見破れない……。」


バツが悪そうな浩輔。シンは浩輔には任せられないと判断し、一華を頼ることにした。


「***(一華、希望者への共鳴力で危険の判断できるか?)***」


「***(判断……できるかなぁ? やってみるけど、離れたところからでもいい?)***」


「***(あぁ、悪意が共鳴したらすぐに遮断しろよ!)***」


「***(わかった。)***」


「とりあえず、一華の反応見て俺が判断する。お前たちは動機など質問をしていけ。」


一華とシンは部屋の奥、生徒会長席側へ移動した。


「わかった……。」


その時、生徒会室のドアのノック音が聞こえた。ドア近くにいた真由がドアを開けに行く。

そこには、新入生が立っていた。

面接方法を決める前に入会希望の新入生が訪れてきてしまった。


「生徒会入会希望です。」


「まずは、クラスと名前をこの用紙に記入してね。」


また、ノック音がした。ドアを開けると更に数名立っていた。


「生徒会入会希望です。」


「この用紙にクラスと名前を記入して。」


このままでは面接が開始できない。


「受付は廊下で済ませろ。一人ひとり呼び込んで面接するぞ。」


シンが指示を出す。

いくつかの椅子を廊下に並べて受付・待機場所とし1年生を外で待機させた。

質問担当の浩輔と直哉、理那が中央テーブルに座り、真由が廊下で受付を始めることにした。


「始めてくれ。」


シンが開始の指示を出す。

理那が真由に伝言して最初の子を迎え入れる。


「1年A組、真凛です。」


「真凛ちゃんね。こちらに座って。」


理那が着席をすすめた後、怖がらせないよう優しい口調で質問する。


「入会希望の動機を教えてくれる?」


真凛は緊張した面持ちでいたが、意を決したように顔を上げ動機を口にする。


「昨年の文化祭で先輩たちを見かけました。……今日のクラブ紹介で生徒会役員の先輩だと知って……一目ぼれでした。先輩たちの仲間に入れてください。」


真凛は真っ赤にした顔を隠すように頭を下げてお願いしてきた。耳まで赤く染まっているのが見て取れる。


「えっとー、誰に一目ぼれしたの?」


真凛は真っ赤になった顔を上げ、ぐるっと見渡す。一華の顔を確認するとまっすぐ見つめたまま「一華先輩です。」とはっきりと口にした。


「えっ? 私? シンじゃなくて???」


「はい。一華先輩です。」


「それは恋愛感情なの?」


鳩が豆鉄砲を食らったような表情の一華の代わりに理那が聞く。


「恋愛感情というより、推しとしてです。」


「推し……。」


「***(一華、この子に危険はないのか?)***」


「***(うん、危険はない……嘘はついてない!)***」


「***(推しって何だ?)***」


「***(ファンの事!)***」


「***(ファンか……採用でいいか?)***」


「***(うん。)***」


「採用!」


シンは一華の判断でGOサインを出した。


「明日からよろしく!」


「はい、ありがとうございます。」


真凛はパッと顔を輝かせる。


「じゃぁ、今日はこれで終わりね。明日また放課後来てね。」


真凛は頭を下げて部屋を出て行った。入れ替わりに、真由は次を呼び込んだ。


「1年C組、沙羅です。」


「沙羅ちゃんね。こちらに座って。」


先ほどと同じように着席をすすめた後、怖がらせないよう優しい口調で質問する。


「入会希望の動機を教えてくれる?」


「はい。クラブ紹介の時の生徒会長の言葉に惹かれました。」


「えっとー、入学式の時じゃなくて? クラブ紹介の時? あの言葉のどこに惹かれたの?」


「かっこいいじゃないですか。唯一人、一華先輩を守るために、ここにいるなんて……もう最高です!」


「「「ははは」」」


「生徒会長と一華先輩が卒業するまで、ここにいて欲しいので私にも手伝わせてください。」


「えっとー、推し活みたいな感じかな?」


「私、漫画を描くのが好きで……シン先輩って私がイメージする生徒会長とはかけ離れてて、おまけに優先事項が一華先輩を守ることって現実ではありえないというか、恋愛漫画っぽいというか……なので、参考にさせてください。」


「参考って???」


「漫画のネタというか……モデルです。」


「***(シン、沙羅ちゃんも嘘はついてないよ。)***」


「俺たちが漫画にされるのか?」


「モデルとしてですが、もちろん、登場人物の名前は変えます。内容もダメなものは漫画にはしません。」


「生徒会を手伝う事はできるのか?」


「アイデアとかは書き留めることはあると思いますが、お手伝いできます。」


「***(シン、悪意は感じないよ。ただ、私たちのやり取りをネタにしたいみたい。)***」


「漫画を描く前に内容を確認する約束を守れるなら採用でも構わんが……。」


「します。事前に確認します。約束します。」


「なら、明日、放課後またここで。」


シンはGOサインを出した。


「じゃぁ、今日はこれで終わりね。明日また放課後来てね。」


「はい、ありがとうございます。」


沙羅は満面の笑みになり、頭を下げて部屋を出て行った。入れ替わりに、真由は次を呼び込んだ。


「1年B組、宗一郎です。」


「宗一郎君ね。こちらに座って。」


理那が着席をすすめた後、今度は浩輔が質問した。


「入会希望の動機を教えてくれるか?」


「はい、僕は来年度の生徒会長を目指しています。見習わせてください。」


「生徒会全体のサポートとなるんだがいいのか?」


直哉が聞く。


「もちろん、目標は生徒会長ですが、中学時代は、経験が無かったので、今のうちに生徒会全体を把握したいと思っています。」


「***(シン、宗一郎君も嘘はついてないよ。真面目な子だと思う。)***」


「採用!」


シンはGOサインを出した。


「じゃぁ、今日はこれで終わりね。明日また放課後来てね。」


「はい、ありがとうございます。」


宗一郎はホッとした顔で頭を下げて部屋を出て行った。入れ替わりに、真由は次を呼び込んだ。


「1年D組、湊です。」


「湊君ね。こちらに座って。」


理那が着席をすすめた後、今回も浩輔が質問した。


「入会希望の動機を教えてくれるか?」


「なんとなく……というか、足が向いていつの間にか生徒会室まで来てました。」


「興味本位か?」


「興味はありますが……生徒会というより……。」


「生徒会じゃないのか?」


「先輩たちにです。」


「俺たち???」


「はい。入学式の時の生徒会長と今日の生徒会長は、全然、違う人のようだったし、副会長二人の今日の進行も面白かったです。」


「それだけか?」


「……はい…???(女子の先輩たちはかわいいからは言わない方がいいよな……)」


「***(シン、湊君、女子三人がかわいいからって思ってるよ。)***」


「***(やっぱりな。)***」


「女子三人には興味ないんだな!?」


湊は図星をつかれ顔を強張らせた後、観念して正直に話し出した。


「あ、あります。先輩たちは可愛いし優しそうだなって……思ってます。」


真っ赤にした湊は顔を伏せた。

浩輔は理那が可愛い優しいと言われたことに顔を緩めたが、シンは殺気立たせていた。


「***(シン、顔が怖いよ。緩めて緩めて)***」


一華はシンの眉間のしわを指先で伸ばしていく。


「***(だが、あいつはお前たちを狙ってるんだぞ。)***」


「***(うん、でも、湊君も優しそうな憧れの先輩として見てるだけと思うけど……。)***」


「お前は誰かと付き合いたいのか?」


浩輔はシンの言葉で我に返って思わず口にしていた。


「不採用、女子狙いは入会は認めん! 帰れ!」


「ね、狙ってません。恋人になりたいとかじゃないです。可愛いくて優しそうな先輩たちで良かったなと思ってるだけです。」


湊は必至で釈明する。


「本当に狙ってないんだな。」


「はい。あくまでリスペクト、憧れの対象です。」


「生徒会の手伝いは出来るのか?」


「はい、もちろんです。先輩たちを手伝わせてください。」


「浩輔が判断しろ、一度不採用と口にしたんだ。」


シンは判断を浩輔に委ねることにした。

浩輔は湊を睨みつけながら、考えている。


「(人手は多いに越したことはないが、こいつは信用できるのか??? ……これがシンが不安にしていたことか!?)……、正式採用するかは保留にして、お試し期間を設ける。その言葉に嘘がないということを俺たちに見せろ。下心が少しでも見えたら即刻クビだ。」


「はい、ありがとうございます。」


「じゃぁ、今日はこれで終わりね。明日また放課後来てね。」


湊は頭を下げて部屋を出て行くと、入れ替わりに真由が入ってきた。


「さっきの生徒が最後よ。」


「とりあえず、四人全員採用か。」


「もっと殺到するかと思っていたが、多すぎず、少なすぎずというところだな!?」


「本当に生徒会に興味がある子たちだけだったね。」


「さぁ、帰るぞ。明日から本格始動だ!」

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