第38話 三者面談
期末テスト終了翌日から終業式前日までの期間に、進路希望調査のための三者面談が行われる。
一華とシンは期末テストに気を取られて、すっかり忘れていた。
今日の放課後、二人一緒に受ける。
シンは堂々と、一華は緊張して座っている。
「……ご両親は、来られなかったのね。」
担任は両親が出席するものと思っていたようだ。
「はい。両親は仕事の都合で帰国できませんでした。自分は一華の親代わりでもあり、学習状況も把握しています。本日は二人一緒にお願いします。」
シンが淡々と答えるが、一華は何を言われるか気が気でない。
担任はシンの大人びた口調に圧倒されるが、手元の資料に目を落として話し出す。
「まずはシン君……あなたの成績に関しては問題ないわ。学年トップで、生活態度など非の打ち所はありません。今後の進路は具体的に決めていますか?」
「自分たちは高校を卒業したら、両親の元に行くことになっています。ですので、今の時点でそれ以外の進路は決まっていません。」
「一華さんはどうなの?」
「私も、シンと同じです。卒業後は両親の元で過ごすことになっていますので、今の時点で進路は決めていません。」
「そうですか……。二人とも海外へ行く予定なのね。ただ、進路が決まっていないとなると、2年次の文系・理系コースの選択をどうするか、ということなんだけど……。」
「「はい」」
「シン君はどちらを選択しても、問題なくやって行けるでしょう。でも、一華さんは、理系科目の方が点数が安定していて得意のようですね。……文系を希望するようであれば、もう少し努力が必要と思います。」
(シンが既に中間テストの勉強法で指摘したことと一緒だ。)
「はい」
「2学期に入れば、コースの最終希望調査が行われます。卒業後の進路について、ご両親とも相談しておいた方がいいわ。」
「「はい」」
面談を終え、二人は放課後の廊下に出た。
「理系かぁ……。魔界に行くからって、適当に選べばいいと思ってたけど。先生にああ言われると、なんだかちゃんと選ばなきゃって気がしてくるね。」
「そうだな。魔界の理を解き明かすにも、論理的な思考は役に立つ。……一華、夏休みは遊びだけじゃなく、自分の『得意』を伸ばす時間にもなりそうだな。」
「あぁっ、また勉強の話に繋げる! シンはやっぱり、隙がないんだから!」
「でも、得意な理系を選べば、もう少しテスト勉強が楽になるかなぁ……」
一華はシンの言葉に膨れっ面を見せながらも、自分の内側に新しい可能性を見つけたような、晴れやかな気分で校門を後にした。




