第33話 ママは「魔界人」?
ブレスレットを受け取ってから数週間が経過した。強力な結界と制御機能のおかげで、一華の生活は非常に平穏で安定していた。共鳴の魔力が暴走する心配もなくなり、一華は再び高校生活に集中することができていた。
しかし、その平穏な日常の中で、一華の心には一つの大きな疑問が残ったままだ。
午後、月華草茶の代わりに市販のカモミールティーを淹れた一華が、リビングのソファでシンの隣に座りながら、お茶を啜りつつ口を開いた。
カップを両手で包み、窓の外を見ながら聞いた。
「ねぇ、シン。ずっと気になってたんだけど、ママのこと。」
本を閉じ、一華に視線を向けるシン。
「アズサ様のことか。」
「ママは自分は『人間』だって言ってたんだよね。でも、魔界のこと良く知ってたし、短時間だけど魔力通信できるし、魔力も注入できるし。本当にただの人間なのかなぁ……?」
シンは冷静に分析しながら
「確かに、ただの人間ではありえない。ただ、アズサ様の魔力の波長は魔界人特有の重さとは異なり、人間の基盤を持っている。俺の推測だが、一華を身ごもった時に、一華の『魔界人としての血』とアズサ様の『人間の体』が相互作用し、魔力が相互に宿ったのではないだろうか。」
驚く一華。
「え? じゃあ、私の魔界人の血が、ママに魔力を覚醒させたってこと!?」
「その可能性が高い。そして、魔力通信やブレスレットの魔力注入を見ると、アズサ様は何か魔宝石と思われるものを身に着けて、その力を増幅させているはずだ。常に魔力を感知できる状態にある魔宝石のネックレスとか。」
一華はママの姿を思い出す。
「ああ……! ネックレスや指輪は着けていたけど、私はただ「おしゃれだな」って思ってた。」
「それが、アズサ様が人間でありながら魔界の力を扱うことを可能にする魔宝石だったのだろう。」
目を輝かせる一華。
「すごい! じゃあ、ママも魔界に戻ったら魔界人になったって言うことなの?」
微笑むシン。
「正確には、人間界においては人間で、魔界では魔界人となるハイブリッド、ということだろう。魔界の血を受け入れた、非常に稀有な存在だ。」
一華は興奮して
「ママ、かっこいい~! 私のママ、人間界と魔界を繋ぐハイブリッドだったんだ!」
優しく頷くシン。
「疑問は尽きないだろう。魔界に戻った時に、叔父上とアズサ様の馴れ初めや出会いから詳しく聞いてみるといい。」
「そうだね。二人揃った時に、根掘り葉掘り聞かないとね!」
「ああ、それが一番確実だ。今は、一華の学校生活と次の魔力覚醒に備えることに集中しよう。」




