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いちにの華  作者: ゆず華
生徒会編

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第129話 社交ダンス部始動

今日から、社交ダンス部が本格的に始動する。


昨日、更衣コーナーも大型の鏡も設置され、残っているのは2足目のダンスシューズだった。

一華は、夕食後、お客様スリッパを一華の赤いダンスシューズとシンの白黒コンビシューズにチェンジさせて用意した。


「着替えどうしよう……。」


「あのスカート持って行くんだろ?」


「うん、スカートじゃなくて……、Tシャツは流石に寒いから、セーターは暑いし……。」


「体操服はどうだ???」


「半袖だと寒いの……。」


「なら、Tシャツを長袖にチェンジすればいい。」


「あ、そうか、その手があったんだ……。ちょっと厚めの生地にして、八分袖に変身。」


出してきたTシャツがキラキラと光り、強い光を放った後、一華のイメージした八分袖Tシャツにチェンジした。


「シンは着替えなくていいんだよね!?」


「あぁ、今はまだ大丈夫だ。」


一華はダンスシューズを袋に入れバッグの下に横向きにして入れる。その上にレギンスとチェンジした八分袖Tシャツ、折り目がつかないようにスカートを上に入れて準備完了だ。


シンのバッグには、白黒コンビシューズを袋に入れて下に置き、その上には2枚のタオルと、ハンガー、一華のパーカーを入れた。


「これを毎日用意するのか?」


「シューズは置き靴するから今日だけだけど、着替えとタオルとか必要だし、出来れば水分補給できるようにマグボトルも持って行きたい……。」


「確かマイボトル対応型給水機があったよな。」


「うん、でも、今の季節は温かい方がいいから、電気ポットあればお湯が沸かせるんだけど……。」


「ランチの後、コーヒーが飲めるな!?」


シンはランチの後のコーヒーが飲めることの方に心が動かされていた。


「うん、ただし、そこは部費を集めて自分たちで管理する所だからね。生徒会では電気ポットまでだよ。」


一華は会計係としての顔を覗かせた。


「そうか、なら、生徒会から支出させよう。」


シンは珍しく私欲のために支出を決めたようだ。


「いいの?」


「あぁ、水分補給は大事だ! 冷蔵庫は無理か!?」


「そこまでは無理なんじゃない? 冷やさないといけないものがあるとか、氷を使う必要があるとかなら、生徒会からの支出で大丈夫だと思うけど……。頻繁に水分補給する体育会系ならクーラージャグくらいなら大丈夫と思うけど。」



◇◆◇



いよいよ、今日から本格的な特訓が始まる。

放課後、一華とシンは部室にやってきた。他にはまだ誰も来ていなかった。


一華は更衣コーナーに向かい、昨日チェンジした八分袖Tシャツと、ブルーのスカートに着替えた。スカートの下はレギンスで防寒対策はバッチリだ。制服はハンガーにかけておいた。


更衣コーナーを出て来た一華は赤いダンスシューズに足を入れた。シンも白黒コンビシューズに履き替えた。


「一華、準備はいいか? 始めるぞ!」


「うん」


シンと一華は鏡の前に立ち、ホールドする。

シンのリードに身をゆだねながら、一華の奇妙なリズムでボックスからナチュラルターン、リバースターンまで一連のステップを続けて踏む。


「さん、はい。ズン…チャッ…チャッ…、ズン…チャッ…チャッ…、ズン…チャッ…チャッ…、…………、ズン…チャッ…チャッ…。」



廊下には、今まで聞いたことのあるテンポよりもゆっくりとリズムを刻む一華の声が響いていた。

そこには授業が終わって駆けつけた真凛と海斗が奇妙なリズムを耳にしていた。部室のドアは閉められていて覗き込むことはできない。


真凛と海斗はドアの前で足を止め、アイコンタクトして、音を立てないよう、ドアをゆっくりと開けた。

二人が目にしたのは、一華とシンがホールドして滑らかにステップを踏んでいる様子だった。


真凛は今すぐ、ドアを開け放ち、部室内に入りたかったが、終わるまで待っていた。

一華とシンのステップが一通り終わったことを確認した後、「入ります。」と声を掛けてドアを開けた。


「一華先輩! そのシューズ、めちゃめちゃ可愛いですー!」


いきなり、真凛の声が部室内に響いた。


「わ、びっくりした……真凛ちゃん。」


「ま、真凛ちゃん、落ち着いて。」


海斗が隣で真凛を落ち着かせるように言う。


「真凛ちゃんも着替えて準備して。」


一華は落ち着いて言葉を掛けた。

続いて、宗一郎も沙羅も入ってきた。なぜか、浩輔と理那、直哉と真由まで入ってきた。


「浩輔達もダンスするのか?」


幽霊部員の浩輔たちまで来るとは思っていなかった。


「今日は初日だから、どんなもんか見に来ただけだ。」


ただの見学だったらしい。6人は椅子を並べて座りだした。

理那の目には一華の赤いダンスシューズが飛び込んできた。


「一華、それ、シン君からのクリスマスプレゼント!?」


「うん」


「赤い靴可愛いね。似合ってるよ!」


理那が一華の姿を見て素直に褒めた。


「ありがとう!」


「会長、一華先輩、ダンスしてください。」


沙羅はカバンからタブレットを出しながらお願いした。


「ちょっと出るまで待ってー。」


更衣コーナーから真凛の声が響き渡った。


みんなから笑い声があがる。


「大丈夫だから、ゆっくり着替えて。」


一華が真凛に声を掛ける。

真凛が着替えて出て来た。


「はい、大丈夫です。お願いします。」


真凛も空いている椅子に腰かけた。


一華は恥ずかしかったが、ここで部員の前で恥ずかしがってはダメだと奮起した。


一華とシンは再度ホールドして立った。先ほどと同じようにボックスからリバースターンまで一連の動きで滑らかにステップを踏んでいく。


「さん、はい。ズン…チャッ…チャッ…、ズン…チャッ…チャッ…、ズン…チャッ…チャッ…、…………、ズン…チャッ…チャッ…。」


「一華先輩、きれーい。上手ですー。」


一華は真凛の目は節穴かと言わんばかりに褒められたと思った。


「真凛ちゃん、まだ上手じゃないから……。」


「いえ、一華先輩、お世辞抜きで前より上達しています。」


沙羅が続いて褒める。


「ありがとう。お世辞でもうれしいよ!」


「真凛と海斗も、ホールドして立ってみろ!」


シンが実際に入部したいと言ってきた真凛と海斗にもホールドを促した。

……と、なぜか、見学に来たメンバーまで向き合って立った。


「なんだ、お前たちまでするのか?」


「ま、まぁ、幽霊でも部員だからな。」


浩輔が答える。

シンはホールドの仕方を説明する。


「まずは、足を軽く開いて基本姿勢で立つ。目線の高さで女子の右手を左手で握る。女子は左手を男子の右肩の三角筋に添える。男子は背中に手を回して、女子の左腕を補助する。」


浩輔と理那、直哉と真由、海斗と真凛、宗一郎と沙羅の4ペアは、ぎこちなく手を添えて、身長差に戸惑っていた。


「一華の言う通り、普通の靴だと身長差がきついよ。ダンスシューズ履かないとダメだね。」


理那が吐露した。理那の身長は一華よりわずかに高いだけだ。浩輔の身長はシンほどではないが長身である。

ダンスシューズでの調整は必要だ。


「身長差がある場合は男子が膝を曲げて踊るが技術が必要だ! ダンスシューズで調整する方がいい!」


シンが言い放った。


「どこで買ったんですか?」


真凛が一華に聞いてきた。


「いくつか先の駅近くにあるダンスシューズ専門店にシンと一緒に行って、店員さんに薦めてもらったシューズなの。身長差10cmから15cmが理想なんだって。だから、ペアと行って試着する方がいいよ。」


その時、ドアが開いて、結城先生が入ってきた。


「あ、いたいた、いくつか選曲したから、好きなの選んでね。」


結城先生がシンにSDカードを手渡した。

シンは音楽プレイヤーにSDカードを差し込み、1曲目の頭出し数秒聞くと次々と再生していく。

いくつか聞いたことがない音楽が流れる。割とスローテンポが多い。華やかで、どこか懐かしい旋律。


何曲目かの音楽で一華が反応した。


「あ、この曲聞いたことある。」


一華の瞳が輝いている。


「これはアニメ映画の曲よ。」


「この映画の実写版のダンス素敵ですよね。あんな風に踊れたらなぁ。」


「この曲にするか?」


「先生、私にもあんな風に踊れますか?」


「出来るところまででいいから、今踊って見せてくれる?」


「はい。」


シンと一華は中央にホールドして立った。

他の部員は壁際により、中央に二人の為のスペースを作った。


「さん、はい。ズン…チャッ…チャッ…、ズン…チャッ…チャッ…、ズン…チャッ…チャッ…、…………、ズン…チャッ…チャッ…。」


一華の奇妙なリズムでボックスからリバースターンまでの一連のステップを踏んでいった。


「足の動きは出来てるわ。後は、身体の動かし方や音楽のリズムに合わせてステップを踏んだりできれば、組み合わせて踊ることは出来るようになると思うわ。」


「でも、まずは、音楽のリズムに合わせてステップを踏めるようにしましょうか。」


「はい」


結城先生は他の部員に向いて聞いた。


「あなた達はどこまでできるの?」


「今、ホールドの仕方と、最初のステップは教えてもらいましたが、ペアでは初めてです。」


代表して理那が答えた。


「そうなのね。どうしようかしら。」


結城先生はレベルの差をどう指導すべきか悩んでいた。


「先生、一華には俺が教えます。時間が空いた時にアドバイスを貰えればいいので、他のメンバーの指導をお願いします。」


「シン君は経験ありそうよね!?」


「はい。ここに来るまで特訓を受けてましたから。」


「そうなのね。じゃぁ、そうさせて貰うわ。」


「はい」


「それなら、南側半面は、シン君と一華さんが使って。北側半面を使うから。」


「承知しました。」


シンは練習場所確保のために創部したはずだったが、まさか幽霊部員として誘ったメンバーまでダンスを練習しだすとは思っていなかった。練習場所は半減したが、指導を結城先生に全振りすることで一華と二人、集中して練習することだけは確保した。

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