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いちにの華  作者: ゆず華
生徒会編

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第125話 心願成就

昨日の大晦日は朝から刺身にローストビーフ、おせちにオードブルなど買い忘れたものも含めて、漏れなく買った。お試しの生姜餃子も一華のお腹に難なく収まっていった。水餃子にしてからしを付けて食べる。一華でも、少しのからしを付ければ美味しく平らげることが出来た。漏れなく定番商品としてカゴに入っていた。

今年のお寿司は一華にはサビ抜きを、シンにはワサビありを別々に購入した。


帰りにはお年玉用の1万円札2枚を忘れずおろし、除夜の鐘を聞きながら年越しそばを食べ、カウントダウンのでは「「あけましておめでとう!」」と新年の挨拶をしてベッドに潜り込んだ。


一夜明け、起きて来たシンは一人静まり返った元旦を迎えた。

シンも勝手がわかり、一華より早起きしても、インスタント雑煮と年明けうどんを用意することができる。


一華が眠い目をこすりながら遅く起きてくると、お屠蘇代わりにノンアルコールワインを用意し、インスタント雑煮と年明けうどんをお椀に盛り付ける。


「「あけましておめでとう!」」


ノンアルコールワインで乾杯すると、年明けうどんのだし汁が起き抜けの体にじわりと染み渡った。


「美味しいー!」


おせち一つひとつの意味を噛みしめながら食していく。


「一華、ポチ袋にお年玉は用意してある。」


「ありがとう。じゃぁ、これはパパから。」


「ありがとう。これはママ、アズサ様からだ!」


「ありがとう。後片付けして新しい服に着替えたら、初詣行こう!」


「あぁ、神社にお参りだな!」


「そう。お願いに行くからお賽銭も用意しなくちゃ!」


「あと、ハンカチもな!」


「そうそう、カワウソのミニタオルがいいんじゃない?」


「あんな所で出したら、恥ずかしいじゃないか!」


「かわいいけどなぁ。」


「俺はさすがに恥ずかしい! 普通のハンカチにする。」


「そう?」


一華に少しいたずら心が沸き起こっていた。


「屋台で目的の物あったら言ってね。甘酒は苦手なんだよね。」


「甘いのは苦手だな。串焼きは食べたいな。」


「私も広島焼食べたい。あるといいなー!」


「さぁ、後片付けして着替えるぞ!」


「うん。」


一華とシンは後片付けして、新しい服に着替えた。


一華は色で迷ったオレンジ色のスカートを穿いている。


「一華、足は寒くないのか?」


「下にはほら、暖かいレギンス履いてるし、ふわふわブーツ履くから大丈夫だよ!」


一華は防寒対策ばっちりと言わんばかりに、何気なしにスカートを太ももまでたくし上げてレギンスをシンに見せた。

シンはレギンスを穿いていても、スカートを太ももまでたくし上げる行為に顔を赤く染めた。


「い、一華、スカートをあげるんじゃない……。」


「えっ、大丈夫だよ。ほらレギンスだから……。」


「いい、いいから、早く下ろせ……。外ではスカートを上げるなよ!」


シンは狼狽えながらも、一華に強く注意する。


「しないよー!」


一華にしては何がダメなのか、全く理解不能だった。


こたつの電気は切って、サンには挨拶してから初詣に向かった。




神社が近づいてくると、屋台から香ばしい匂いが誘ってくる。

今すぐにでも見て回りたくなったが、一華は横目で通り過ぎ、境内に入って行く。


手水舎に行き、手を清めた。シンは濡れた手を拭こうとハンカチを取り出す……、はずだった。

どこにもない。代わりにポケットティッシュが出て来た。


「一華、ハンカチが無いんだが……。」


「じゃぁ、これ使って!」


一華のバッグから差し出したのは、『カワウソのミニタオル』だった。


「ど、どうしてこれがある……。」


「シンはバッグ持ってないから、忘れないとは限らないと思って……。」


シンは半目になり


「一華、何した……!?」


「えーっ、何もしてないよ。ちょっと、ハンカチをポケットティッシュにチェンジしただけだよ!」


一華はシンにだけ聞こえる小さな声で白状した。


「それをしてると言うんだ!」


「へへ、ミニタオルの出番があって良かったよ!」


一華はシンに怒られてるとは感じていないのか……。


「だって、濡れたハンカチをそのままポケットに仕舞うのって服が濡れるじゃない? 嫌じゃないの?」


「ま、まぁ、出来れば避けたいが……仕方が無いだろ!」


「だから今日は、私が手渡そうと思って……はい、もう拭けたでしょ。」


一華はシンに向けて手を出し、シンが拭いたミニタオルを受け取った。


「あ、ありがとう……」


一華とシンはお参りの列に並んだ。既に長蛇の列ができている。

一華の脳内にシンの声が響いて来た。


「***(一華、ハンカチの件だが……、)***」


「***(うん。)***」


「***(学校では制服のポケットに入れてるだろ!)***」


「***(うん。)***」


「***(その濡れたハンカチはどうするんだ?)***」


「***(そのまま、ポケットに仕舞うけど?)***」


「***(なら、今日もそのまま、ポケットに仕舞って問題ないと思うが?)***」


「***(新しい服だし、私がいるんだからいいんじゃない?)***」


「***(外出先でトイレに行ったとき、濡れた手はどうすればいいんだ!?)***」


「***(あっ!?)***」


「***(仕方ない。俺もバッグ持つか!?)***」


「***(そうだよ。小さなバッグ持とうよ。うん、それがいい!)***」


一華は自分が想定していなかった事を指摘されて戸惑ったが、シンが提案したことに調子よく乗っかった。


そうこう話しているうちに、拝殿の前まで来ていた。自分たちの番だ。

お賽銭を入れた後、ガラガラと鈴を二人で揺らし、二礼ニ拍手した後お願いをする。


(住所は****、名前は一華です。昨年はありがとうございました。シンの特訓の手がもう少し緩みますように。そして、私とシン、それにサンちゃんと三人がいつまでも健康で一緒にいられますように。よろしくお願いします。)


(住所は****、名前はシンです。昨年はありがとうございました。一華のダンスが早く上達し、健康で勉学に励み、たまのいたずらが減りますように。そして、俺と一華、サンの三人がいつまでも健康で一緒にいられますように。よろしくお願いします。)


二人は一礼してなおった。二人は清々しい顔で仲良く階段を下りていく。


おみくじを引きに行く。

一華とシンは社務所に置かれたお賽銭箱におみくじ代として納めた後、木箱に入ったおみくじを一つずつ引いた。

シンは真剣な顔で静かにおみくじを広げて内容を確認する。


(……大吉。……願い事が叶いやすく物事が順調に進む。積極的に行動することで良い運気を維持できる。)


一華も続けて同じように真剣な顔でおみくじを広げて内容を確認する。


「……吉。……努力が徐々に実を結ぶ。現状維持を心がけ、焦らずに行動すると良い。」


一華の顔が沈んでいる。


去年は大吉だったが、今年は去年のシンと同じ吉だ。シンは優しく言葉を掛ける。


「一華、大丈夫だ。努力が実を結ぶとある。焦らず現状維持だ。俺のサポートもある。」


「う、ん、シンは?」


「大吉だ!」


「やったね。どれどれ? 願い事が叶いやすく物事が順調に進む。積極的に行動することで良い運気を維持できる。って、今年は何を積極的に行動するんだろうね?」


「生徒会は宗一郎に任すし、3年になっても特に何もないが!?」


一華とシンは結び所に行き、おみくじを結ぶ。

参拝を終えた一華とシンは神社を出て、屋台を見て回った。屋台が目的で参拝がついでのようなワクワク感がある。


「まずは、串焼きだよね。」


串焼きの屋台を目指し、タレ1本、塩コショウ1本を買って、人通りから逸れたところに移動して串焼きを頬張った。炭火の香りが鼻から抜けて行く。


「やっぱり美味いな!」


「この味は家では出せないもんね。ほんと、美味しい!」


一切れを残して串を交換する。


「塩も美味しいね。お持ち帰りどうする? 去年は焼き鳥持って帰ったよね。」


「タレもいいが……焼き鳥も捨てがたい……。」


「全部買って帰る?」


「2本ずつ欲しいな。」


串焼きのタレと塩コショウ、焼き鳥も数種類2本ずつ購入した。


一華の目的、天津甘栗の屋台を見つけた。大袋と普通サイズの2種類あった。


「去年はサンちゃんに食べられちゃったから、一番大きいの買って帰りたい!」


「よし。大袋を1つください。」


一華の代わりにシンが注文した。一華がほかほかの温かい天津甘栗を受け取った。

次の目的、広島焼の屋台を探しながら歩いて行く。


「あった、あった。あったよー。広島焼!」


一華のテンション爆上がりだ。1年振りの広島焼だ。ソースの焦げる香りが一華のテンションを最高潮に引き上げた。


「シンも食べるよね!」


「あぁ」


「おじさん、2個ください。」


「はいよ。」


一華は広島焼2個が入った袋を受け取った。今にも食べたいと目を輝かせている。

二人の目的は食べ物ばかりで、射的やゲームなど遊び系の屋台には目もくれなかった。


コンビニにも寄ることも無く、来た道を戻って行った。


一華の脳内はお昼に広島焼を食べることでいっぱいだった。

シンは、焼き鳥をつまみにノンアルコール○ールを飲む自分の姿を思い浮かべていた。


今年もまた、食いしん坊な二人の一年が幕を開けた。

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