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いちにの華  作者: ゆず華
生徒会編

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第110話 2学期始業2

長い夏休みも終わり、教室には生徒たちの再開の挨拶が飛び交っている。


始業式の終了後、全校生徒には留まってもらい、シンは体育館のステージ上に登壇した。


シンの姿が目に入ると、女子生徒からは「きゃー!会長~!」「シンく~ん!」など心の中で呟いていたつもりが黄色い歓声となって漏れている。


シンは演台の前で全校生徒の顔を見渡した。生徒は夏休み中に楽しんだのがわかるぐらい、みんな日焼けしている。三年生を除いて。クラスメイトと一緒にステージ下でこちらを見ている一華と視線を合わせる。


「静かに。」


シンは生徒を鎮めた後、説明に入った。


「体育祭の競技ルールの一部変更を行うことにした。一つ目は『パン食い競争』をペア競技とし、お姫様抱っこした女子がパンにかぶりつく。5分制限として1レース追加する。女子を落としたら失格だ。」


「二つ目はペア選抜はクラスの枠に固執せず、計6組を学年選抜とする。各学年に仕切り役として、1年はB組の宗一郎、2年はA組の浩輔が行う。3年は後日決定後、伝達する。」


「生徒会長」


前生徒会長が挙手をして話を止めた。


「俺が3年の仕切り役を引き受けよう!」


前生徒会長が立候補してくれたお陰で、面倒な調整が解消された。


「承知しました。お願いします。」


シンはあえて、生徒会長の名を口にせず、話を続けた。


「ルール説明資料については、修正次第配布する。」


シンが説明をし終え、締めようとした時、男子生徒が挙手した。


「はい」


「なんだ? 質問か?」


「会長! 学年を跨るペアは参加可能か?」


「学年対抗体育祭にも関わらず、学年を跨るだと??? クラスメイトを裏切るのか!?」


(ペアレースを増やしたと思えば、次は学年を無視するだと……? まぁ、次から次へと勝手だな……。)


シンは呆れる。


「最後なんだ。勝敗より……思い出作りだ!」


(思い出作りだと!?……ここの生徒は自分優先でルール無視か! 何でもかんでも、わがまま言えば思い通りになると思っているのか!!!)


その言葉を聞いた瞬間、シンは表情にこそ出ていなかったが、脳内は怒りで爆発し、激しい怒りの言葉が喉元まで迫っていた。


「***(シン、冷静になって……お願い)***」


シンは冷徹に言い放ちたかったが、一華からのテレパシーを受け、ステージ下にいる一華の顔を見た。


「***(あぁ……一華、助かった。)***」


シンは深呼吸をし怒りの感情を押し込め冷静を取り戻した。生徒会長なら口にするだろう言葉を選んだ。


「個人的な思い出作りのために全体のルールを変更することはできない。学年対抗である以上、同学年内のペアに限定する。以上だ。解散!」


シンは淡々と言い放ち、演台の前から離れた。生徒達は自分の教室へと戻るため、体育館を出て行く。

一華は列から離れて、シンを待った。

シンはこちらを見つめるステージ下にいる一華の顔を確認し、一華の元へとステージを降りて行った。


「***(シン、良く我慢したね。)***」


「***(一華が話しかけてくれなかったら、怒りで大爆発してた!)***」


「***(なんて、言おうとしてたの?)***」


シンは押し込めた怒りの感情を、一華の脳内へとぶちまけた。


「***(ルール無視は許さない!!! お前らは自分優先でルール無視か! 何でもかんでも、わがまま言えば思い通りになると思っているのか!!!社会に出れば、ルールを守れぬ者に居場所などない!与えられたルールの中で努力することを覚えろ!)***」


「***(ええー!? それ、先輩たちに言うつもりだったの!?)***」


「***(あぁ、年上に気を遣う事は考えてなかったな……)***」


「***(あははは、話しかけて良かったよ!)***」


「***(あははは、一華に全て話したから、もうこれで終わりだ! 教室に戻ろう。)***」


「***(うん)***」


一華の呆れたような、けれど楽しそうな笑顔を見て、シンの強張っていた顔にも笑みがこぼれる。二人は表情をコロコロと変え、最後は互いに笑い合って体育館を後にした。



◇◆◇



教室に戻ると、体育祭の担当と、文化祭の出し物についてクラス全員で会議する。


体育祭の担当を決めていく間、一華とシン、直哉は実行委員のため、ただただ、時間が通り過ぎて行くのを待つだけで暇だった。


「参加競技については、この後、競技リストを後ろに貼り出します。希望する競技の欄に名前を書き込んでおいてください。来週のホームルームで最終決定します。」


「続けて、文化祭の出し物についてですが、希望はありますか?」


生徒が思い思いに口にした出し物を黒板に書いていく。


「クレープ屋さん、射的、かき氷、焼きそば、カフェ、メイド喫茶、お化け屋敷……、もうありませんか?」


「フォトスポット」


「他にありませんか?」


誰からも声が出ない。


「では、多数決で決めます。1つだけに挙手をしてください。」


「それでは、クレープ屋さん」


女子数名が挙手している。書かれた順番に挙手していくが、声にした生徒までも挙手しない出し物もある中、フォトスポットの半数以上が手を挙げた。


「多数決でフォトスポットに決まりました。具体的に、どういうフォトスポットにするかアイデアはありますか?」


「バルーンアートはどうですか? 大きくハート型にしたりしてカップルが写真撮ったり、猫耳カチューシャを付けたりはどうですか?」


女子生徒の提案に、クラス中が賛成する。


「他にアイデアが浮かんだら、まとめておいてください。次回のホームルームで発表してもらいます。」


「以上で終わります。」


クラス内での出し物は決まり、2学期初日が終わった。

一華とシン、直哉は生徒会室へと向かった。


他のメンバーはまだ、クラス会議中だった。


「今年は、準備だけすれば、文化祭当日は全員が自由行動できるんだね。」


「それが目的だろ!」


「去年は、ゆっくりできなかったもんな。」と直哉。


「生徒会メンバーは自由行動できるの?」


「管理監督の名目で全教室回る。」


「やったー!」


一華は手を叩いて喜んだが、我に返った。


「私、お化け屋敷は絶対入らないからね!」


「ははは、直哉たちに任そう!」


「直哉君、よろしくね。」


「あぁ、任せろ!」


生徒会室のドアがゆっくりと開いた。真由が入ってきた。


「終わってたんだ。私一人だけだったらヤダなって思ってたんだけど。良かった。」


「真由達は、文化祭の出し物、何に決まったの?」


「クレープ屋さん。買って、出すだけだから。一華達は?」


「フォトスポット!」


「いいなぁ。1日、自由行動できるね。」


「生徒会メンバーは管理監督の名目で全教室回るんだって。だから真由も1日自由行動だよ!」


「ほんとなの!?」


真由は直哉に向いて尋ねる。


「あぁ、本当だ。おまけに一華からお化け屋敷の管理監督が命じられたから。」


「ははは、一華はもうこりごり?」


「うん、こりごり!」


生徒会室のドアが開け放たれ、浩輔と理那が入ってきた。


「早いな。出し物決まったか?」


「俺たちはフォトスポット、真由のクラスはクレープ屋、浩輔達は?」と直哉。


「射的だ。」


「今回は許されたのか?」


「あぁ、銃の取り扱いも、注意することを条件に先生からは許可された。おまけに、準備さえすれば、当日の対応メンバーは少ない人数で対応可能だからな。当日は自由行動の時間を確保した。」


「生徒会メンバーは管理監督の名目で全教室回るぞ!」


直哉が浩輔に説明する。


「ほ、ほんとか!?」


浩輔はシンに向いて確認した。


「あぁ」


「やったー!」


生徒会室のドアが開く。次々と1年生メンバーが入って来た。


「お前たちは出し物決まったのか?」


真凛が「綿菓子製作」、海斗が「焼きそば」、宗一郎が「ゲーム」、沙羅が「アイスクリーム屋さん」、湊が「お化け屋敷」。


他と被ることなく、バラエティ豊かな出し物が出揃っている。

他のクラスも被ることがなければ、予算算出に取り掛かれる……。


「今日はどうするんだ?」


浩輔が今日のスケジュールをシンに確認する。


「ルール説明資料の変更は明日から取り掛かる。明日からまた、忙しい日々が始まる。今日はもうお終いだ。」


「ラジャー!」


シンの終了宣言を受けて、メンバーは生徒会室を後にした。

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