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いちにの華  作者: ゆず華
生徒会編

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第105話 ショッピング

終業式を迎え、怒涛の1学期が終了した。成績はというと、シンについては文句なしのオール5、一華はというと得意な理系に進んだことで何とか満足いく結果だった。


放課後、生徒会室に集まることが多く、帰りも遅くなったにもかかわらず、成績を落とさずに済んだことは御の字だ。


夏休みにウォーターパークへ行く約束をした生徒会メンバー。夏休みに入ったら水着を買いに行くことを約束していた一華、理那、真由の三人は、今日がその約束の日だった。


「シン、理那たちとショッピング行きたいんだけど……。」


「何、買うんだ?」


「……水着。」


シンが怪訝そうに眉を寄せて聞いてきた。


「去年、買ったじゃないか!?」


「去年は去年。今年はまた違うの。」


「毎年、買うのか?」


「そうだよ。毎年買うんだよ!」


一華はシンが知らないことに付け込んで、少々強引に『毎年買う事が普通』と納得させる。が、シンの眼が光った。


「俺も行く。いつだ?」


「シンも買うの?」


「あぁ、毎年買うんだろ!」


「そうだね。ちょっと、理那たちに確認するね。」


一華は理那と真由だけにメッセージを送った。


(シンも一緒に着いてくるっていい?)


「ピコン♪」


(私たちも浩輔と直哉も誘うから、待ち合わせしよう!)


「浩輔と直哉も誘うから待ち合わせしようって。」



◇◆◇



駅の地下街にあるファストフード店に向かった一華とシン。

既に浩輔と直哉も理那と真由と一緒に座っていた。


「お待たせ。」


「まずは冷たいもの飲んでから行こう。」


「うん、ちょっと待ってて。」


一華とシンはオーダーの列に並んだ。一華とシンはメニュー表を見ながら、


「私、桃のスムージーにする! シンは?」


「アイスコーヒー」


一華が2つ注文して、支払いはシンが済ませた。


ドリンクを手にして、理那と浩輔が座っている席の前に座る。


「浩輔君と直哉君、用事とか無かったの?」


代わりに理那が答える。


「大丈夫だよ。私たちが女子だけでショッピング行きたいからって断ってたんだから。」


一華は小声で


「水着、内緒にしておきたかったんでしょ。」


「うん、でも、いいの。着たところは当日まで見せないから。」


浩輔君が口を開いた。


「水着って、毎年買うのか?」


「男子は知らないけど、女子はねぇ……。」


「「ねぇ……」」


顔を見合わせて、続く言葉を濁す女子三人。


「浩輔君達も、水着買うの?」


「「買う。」」


「なら、男子組、女子組に別れてもいいよね。」


一華が別行動を提案するが、浩輔は一緒に選びたいと言う。


「一緒に水着選びたい。」


隣でシンと直哉も頷いている。


「一華は、お小遣い足りるのか?」


「たぶん、足りると思う……。」


シンは一華がお小遣いが足りないとなれば一緒に選ぶことができると思って聞いたのだが……予想と違う言葉が帰って来て肩を落とす。


「水着は当日までの楽しみに取っておいた方がいいと思うけど……。」


「一華、別行動は諦めよう。」


浩輔を誘った理那としては、一緒に選びたいという浩輔に、これ以上別行動を押せなくなっていた。


「いいの?」


理那は小声になり


「試着したところは見せないから。」



◇◆◇



駅ビルの催事場に六人はやってきた。

やっぱり、水着売り場はたくさんのお客さんで活気にあふれていた。


女性用水着売り場に来ると、自然と3組の別行動となりかわいい水着を探している。

ワンピースタイプの水着コーナーに来た一華とシン。


「かわいいー!」


一華は色も形も希望に近い水着が揃っていることにウキウキしていた。


「これなんかどうだ?」


シンはピンクの水着を手に取り薦めて来た。

胸元にフリルがあしらわれていて、露出も少ない。シンの好みとすぐわかる。


「かわいいー。サイズは……、これ第1候補ね。」


一華はサイズがピッタリだったことに、少し恥ずかしかった。


(もうワンサイズ、アップしていれば……)


一華は他にないかと1枚1枚見て行く。と、手が止まり、手に取った。


「これ、かわいいー!」


水色の生地に小さなバラがいくつもプリントされている。胸元にはレースフリルもついているが、スカート部分が何枚も重なっていてドレスっぽい。レースのボレロも付いていて胸元も気にならない。


「どっちが、かわいい?」


一華はシンに両方を両手に持って顔近くまで持って見せる。

シンとしては自分が薦めた水着と言いたかったが、一華の選んだ水着の方が可愛かったのは事実。「こっち」と水色の水着を指さした。


「ちょっと、試着してくるね。」


一華が試着している間に、ずっと同じ場所で待つのも恥ずかしかったので、意識を一華に向けたまま、シンは男性水着コーナーで自分の水着を探すことにした。

去年買った水着でも問題なかったが、せっかくなら一華に合わせたいと探していた。


(きっと、水色だろうな!)


水色だけをピンポイントで探す。


「これが一番近いか!?」


濃い水色から淡い水色のグラデーションタイプのサーフパンツを手に取った。


一華が水着を手にして試着室から出て来た。シンは、サーフパンツを持ったまま、一華の傍まで近寄った。


「決まったのか?」


「うん、これにする。」


水色の水着をシンに向けて渡す。


「ちょっと、持ってて。」


一華はピンクの水着を元の位置に戻した。


「シン、もしかして決まったの?」


「あぁ、これ。」


同じ水色系のサーフパンツを一華に見せる。


「リンクコーデだね!」


「リンクコーデ?」


「うん、カップルとかで色、柄、アイテムなどで部分的にお揃いにすることだよ。ペアルックより取り入れやすいよね。」


「でも、良く水色ってわかったね。」


「あぁ、見た時の第一声のトーンが、こっちだった。」


「やっぱり、バレてたか。なんか一目惚れしたもん。」


「一目惚れ? 水着に?」


「うん。一目惚れって人だけじゃないんだよ。むしろ、私的には人以外が多いかな。ぬいぐるみもそうだし。バッグや服に靴、アクセサリーや文房具も。」


「今年は良いのあって良かった♡」


「他にいるものあるか?」


「ビーチサンダル!」


一華とシンはサンダルコーナーにやってきた。


「やだっ、これ、ピッタリじゃない!?」


一華は水色のバラのコサージュ付きサンダルを指さした。


手に取り、その場で試着する。

水着を顔の下まで持ってきて、シンに向けて


「どう? 合う?」


「似合ってる! 上から下までバラ尽くしだ。」


「じゃ、これで決まり。シンも水色?」


一華は鼻緒の部分が同じ水色のビーチサンダルを手に取って、試着を薦める。


「これ、どう? 1色より、おしゃれじゃない?」


シンは試着する。


「サイズは合ってる。」


「きつくない?」


「大丈夫だ。」


「それか、色は無視して、これなんかどう? 脱げにくいよ。厚底だから足も疲れなさそうだし。」


シンに試着させる。


「こっちの方が履きやすい。」


「色はどうする?」


「黒だな。」


「これで、忘れ物ないよね。」


一華とシンは二人分の水着とサンダルを会計へ持ち込んだ。流れ的に支払いはシンが済ませる。


(あれ? 一華は自分のお小遣いで支払うはずじゃ???)


1袋に入れた二人分。シンが受け取り、理那たちと合流する。


理那と真由も、浩輔、直哉と一緒に選んでいた。


「一華達、もう終わったの?」


「うん、もう買ったよ。」


「二人とも、決まってないの?」


「……うん。浩輔と意見が合わない。」


「理那はどんなタイプにするつもりだったの?」


「ワンピースタイプ。」


「うんうん、そうだよね。浩輔君は?」


「ビキニ」


「あちゃー。それじゃ決まらないね。」


「シン、浩輔君と直哉君連れて、男性水着コーナーでサンダル試着させてくれない?」


「承知した。」


浩輔と直哉は、シンに男性水着コーナーへ連れられて行った。


「これで、好きなの選ぼう。」


「うん」


「理那は……大きな柄のプリントタイプとか? 赤系とか? こんなのどう?」


一華は青緑系の大柄なボタニカルがプリントされた水着を手にした。少し肩出しでお姉さんっぽい。


「それか、シンプルにグレージュのこれ。背中のデザインが上品で大人っぽいよ。理那ならキレイに着こなせそう。」


「試着してくる。」


理那が試着している最中に、真由に決まらない理由を聞く。


「真由はどうして決まらなかったの?」


「私はシックな色を選ぶんだけど、直哉は明るい色を薦めてきて……。」


「ピンクとか? 赤とか?」


「……これ」


薦められた水着を見せる真由。


「これは流石にセクシーすぎるね。真由っぽくないというか……。」


「でしょ。」


「大学生になればまた違うんだろうけど、さすがにねぇ……」


一華はヌーディピンクのワンピースタイプの水着を手に取り


「これなんかも似合うと思うけど……、あとは思い切ってこれは?」


落ち着いた感じのオレンジ色のワンピースタイプを手に取った。胸元部分のレースアップがお洒落だ。


「試着してくる。」


真由が試着に行った入れ替わりに、理那が水着を手にして出て来た。


「これにする。」


ボタニカル系の水着に決めたらしい。


「なら、浩輔君の水着もボタニカル系でリンクコーデしてみたら?」


「リンクコーデ?」


「うん。色じゃなくてボタニカル系でリンクさせた方がわかりやすいよ。」


「行ってくる。」




真由も水着を手にして出て来た。


「これにする。」


オレンジ色の胸元のレースアップがかわいい水着に決めたらしい。


「直哉君の水着、オレンジ色でリンクコーデしてみたら?」


「リンクコーデ?」


「うん、理那は浩輔君とボタニカル系でリンクコーデしに行ったよ。」


「行ってくる。」


一華と真由は男性水着コーナーに向かった。



一方、シンに連れられて来た浩輔と直哉。

自分の水着を選ぶ気になれなかった。去年はまだ付き合ってなかったから、水着を一緒に選ぶ事なんてできなかったが、今年は付き合っている。しかも一緒に買いに来た。選びたいと思うのが男子の常か?


「どんな水着を選んだんだ?」


シンは決まらなかった理由を聞いてみた。


「理那にビキニを薦めたんだ。理那はワンピースタイプが良いらしくって……、いつまでも決まらなくて。」


「俺は真由に明るい色の水着を薦めたんだけど……真由は暗い色ばかりを選ぶんだよ。」


「浩輔、理那の好みでないビキニを強要するのはどうかと思うぞ。直哉は、明るい色と言っても真由に似合ってたのか?」


「「……」」


二人は自分の好みを推しつけていたことに気がついた。


「どうしよう……。」


「理那と真由が自分で決めた水着にリンクコーデしてみたらどうだ?」


「「リンクコーデ?」」


「あぁ、色とか、柄とかを部分的に合わせるらしい。」


「らしいって、一華か!?」


「あぁ、一華が教えてくれた。」


「なら、二人が決まるまで待つか!」




適当に見ていた浩輔の元へ、理那がやってきた。


「浩輔、お待たせ。」


「決まったのか?」


「うん、浩輔は?」


「まだ。」


「良かった。それなら、ボタニカル系の水着にして!」


「ボタニカル系?」


「同じ柄とかは無いと思うから、広い意味でボタニカル系」


理那は一緒に浩輔のサーフパンツを探す。




一時すると、真由と一華が合流した。


真由は直哉に近づく。


「お待たせ。水着決めた?」


「まだ。」


「良かった。オレンジ色の水着は嫌?」


「別に嫌じゃないけど……、オレンジ色の水着に決めた?」


「うん。一華に選んでもらった。」


「わかった。オレンジならあるだろ。」


直哉と真由はオレンジ色のサーフパンツを探していく。



一華はシンの隣に並んで、二組を見ながら、テレパシーで話しかけた。


「***(お待たせ)***」


「***(早かったな。)***」


「***(うん、理那も真由も、試着するの早かったから。理由聞いた?)***」


「***(あぁ、二人とも、好みじゃないものを押し付けていたらしい。)***」


「***(そうみたいだね。女子が選んだ中で「どっちがいい?」って聞いたら好みを言えばいいのに……推しつけちゃだめだよね。)***」


「***(……俺も、推しつけた……。)***」


「***(あれは、推しつけてない。私の好みの中でシンが好きなものを選んだでしょ。私だって第1候補にしてたし。)***」


「***(それより、浩輔君、大丈夫かなぁ……)***」


「***(何がだ?)***」


「***(ビキニ推したでしょ。)***」


「***(そうらしいな)***」


「***(修学旅行の時もそうだったけど、高校生にビキニ推すって……、大学受験あるのに勉強身に入るのかな? 頭の中は理那だらけじゃ???)***」


「***(また、浄化するか?)***」


「***(短期間で何回も浄化していいの?)***」


「***(問題はないが……やり過ぎると、理那への愛が冷めるとまずいな。)***」


「***(理那と浩輔君の二人で解決すべき事だから、相談されるまで見守ることにする。)***」


「***(そうだな。)***」



浩輔と直哉が水着とビーチサンダルを購入してきた。

六人は催事場を後にし、駅ビルを出ると既に外は夕暮れだった。次会うのは、ウォーターパークの日だ。楽しみにしてそれぞれが帰路についた。

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