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いちにの華  作者: ゆず華
生徒会編

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第104話 体育祭実行委員会

期末テストの日程が発表される前に、生徒会ではあらゆる準備を整え、期末テストに全振りさせてきた。


ようやく、期末テストも無事終わり、夏休みまでの期間に、体育祭実行委員会を開催することにした。

生徒会による体育祭のルール説明を行うためだ。



座席にはプログラム表と各種目のルール説明資料が既に置かれている。

各クラスからは、クラス委員2名が参加し視聴覚室に集まりだした。


先に来たクラス委員がプログラム表とルール説明資料に目を通していく。あちこちから、時折聞こえる「……マジかよ」という戸惑いの混ざった囁き。ざわつき始めた。


司会進行を務める浩輔が、マイクを持ち前に立った。


「これより、9月○日(金)開催予定の体育祭に関するルール説明を行います。まずはプログラム順に沿って説明し、質疑応答は最後にまとめて受け付けます。……静かにお願いします。」


「まずは、女子100m走ですが、例年通り、クラス代表1名による予選を2回行います。決勝は1位通過者の6人で行います。」


「続いて、騎馬戦はクラス代表4人1組による1騎馬で1年から3年まで同時に対戦します。鉢巻きを取られた騎馬は速やかにスタートラインに戻ってください。取った鉢巻きの数で順位を決定します。」


「ミッション競走ですが、シングルは各学年代表者2名、ペアの場合は各学年代表2組によるレースを2回行います。」


「男女混合二人三脚学年対抗リレーについては、各クラス代表1組がフィールド内に置かれたコーンを回って次のペアにバトンタッチしてください。」


「かけっこ玉入れは、各クラス代表女子2名の計10名が逃げるカゴを追いかけて玉を入れます。1年女子は3年男子が背負うカゴへ、2年女子は1年男子が背負うカゴへ、3年女子は2年男子が背負うカゴへ入れてください。ただし、カゴ役男子へのお触りは一切禁止です。指一本でも触れた場合は1回につきマイナス100点となります。」


会場がざわつく。


「方向転換徒競走ですが、100m走の最中に太鼓の音がしたら逆走してください。太鼓を叩く回数は決まっていません。1位がゴールした以降は叩きません。」


「ぐるぐるバットリレーは、フィールド内に置かれたバットまで走って行き、額をつけて10回回った後、戻って次の出場者にバトンタッチして交代します。」


「リベンジ100m走ですが、生徒会長と他5名による100m走です。生徒会長以外を交代し、連続して5回行います。得点については、レースごとに1位は10点、2位以下は0点です。」


「パン食い競争は、各学年代表者2名が、フィールド内に垂らされたパンまで走って行き、手を使わずにパンの袋を咥えて戻ってきます。2回行います。」


「クイズ100m走ですが、スタートする前に、生徒会長によるクイズの読み上げを行います。ピストル音でスタートし、ゴールした順番で解答権を得ます。ゴール地点にいる生徒会長に答えを告げて正解すれば得点。間違えれば解答権が移ります。」


「最後に、学年対抗スウェーデンリレーですが、各クラス代表者1名により、第1走者:100m、第2走者:200m、第3走者:300m、第4走者:400m、アンカー:500mを競います。」


「以上で、ルール説明を終わります。今から質疑応答を行いますが、挙手したら指名します。立ち上がったら質問をお願いします。口々に言われた質問にはお答えできません。では、質問のある方は挙手をお願いします。」


浩輔の言葉が終わるか終わらないかのうちに、全員が挙手したが、一番早かった3年男子を指名した。


「リベンジ100m走だが、会長は本当に休まず連続して走るのか? 5レースもだぞ。」


「もちろんです。100m走った後、ゴールからスタート地点にすぐ戻ってきます。それを休むことなく行います。」


「各レースの5名の選出はどうやって行われるんだ?」


シンが椅子から立ち上がり答える。


「俺の点は2年の得点だ。2年が走っても意味はない。1年か3年となるが、好きに決めてもらってよい。誰が走っても0点だがな。」


「はい」


3年女子が挙手した。浩輔が指名する。


「かけっこ玉入れのカゴ役ですが、決まっているの?」


シンが答える。


「2年からは指名を受けた俺が背負う。1年、3年は後で決めてくれ。」


「お触り禁止という事ですが、故意ではなく間違って触れた場合もマイナスされるの?」


「もちろん、故意ではないという証明ができれば話は変わるが、口からのでまかせだ。かすっただけでもマイナスする。」


「そんなぁ……。」


「はい」


2年男子が挙手した。浩輔が指名する。


「男女混合ペアのミッション競走だが、学年で4組では少ない。増やしてもらえないか?」


シンが答える。


「承知した。1レース増やそう。6組でも少ないか? クラス枠1組、学年枠1組として募ってくれ。」


「はい」


また、違うクラスの3年男子が挙手した。浩輔が指名する。


「リベンジ100m走に戻るが、女子100m走の15分間に比べると30分と倍の時間がとられている。レース数を増やすことは出来るのか?」


シンが答える。


「可能だが、レース数を増やせば増やすほど、2年に得点が入ることになり、点差が開くが構わないのか? 3年が良くても1年は可哀想と思うが……。」


「お、お前は走り続けてるんだぞ。1位を取れると思っているのか?」


「問題な」


「……問題ありますっ!」


シンが言い終わらないうちに、一華は堪らず勢いよく立ち上がった。


「レ、レース数を増やすなら、シンに……生徒会長に休憩時間をください。熱中症になっちゃう……。」


一華の声は震えている。今にも泣き出しそうな瞳で3年生を見ていた。

一華の感情が揺らぎ、窓の外には分厚い雲が立ち込め、室内が暗くなってきた。


「俺たちも鬼じゃない。合間に休憩を挟んでもらっても構わない。何もシンを苛めてるわけじゃないから……。」


一華の言葉に苦笑しながら受け入れた3年男子。


「ありがとうございます。」


一華は3年男子の言葉にホッとし腰を下ろした。シンだけに任していては無理をする機雷がある。

窓の外の雲が散りばり始めて、眩しい夕日が差し込んできた。


「なら、参加者数が出た時点で検討しよう。ただし、10レースを上限とする。」


「わかった。」


「はい」


1年女子が挙手した。浩輔が指名する。


「クイズ100m走についてですが、クイズ問題は誰が作成するのでしょうか?」


「生徒会で作成する。」


「私達1年でも答えられますか?」


「成績や学年に関係ない、この国の誰もが知っている常識から出す。」


「はい」


3年女子が挙手する。浩輔が指名をする。


「ミッション競技についてですが、ミッション内容の希望は聞いてもらえるの?」


「具体的にはどんなミッションですか?」


「えー、あのぅ、ここではちょっと……。」


シンが答える。


「ここで話せないような内容では聞き入れることはしない……が、公序良俗に反しない範囲で面白いミッションであれば検討しよう。終業式までにクラス委員を通じて受け取る。あぁ、それと手間を省くため先に言っておく。借り人はなし、出場者以外の第三者の介入を許可しない。その点を踏まえて提案してくれ。」


「……はい。」


聞いていた女子たちは期待を膨らませていたが、借り人できないことを聞いて肩を落とした。


「はい」


また別の3年男子が挙手した。浩輔が指名する。


「生徒会長は全種目参加するのか?」


シンが答える。


「しない。実行委員長としての仕事もある。現時点での参加は、かけっこ玉入れのカゴ役、リベンジ100m走の二つだ。」


「他に質問はありますか?」


聞きたかった内容は、順番に聞いてくれたようで挙手する生徒は居なかった。


「それでは、これで体育祭実行委員会を終了します。お疲れ様でした。」


「お疲れさまでした。」


各クラス委員は、今日の内容をクラスに持ち帰って説明をすることになる。

特に3年は紛糾する事間違いなしだ。


生徒会メンバーは視聴覚室を後にし、生徒会室に戻って行く。


「一華、助かった。あのままでは無理な要求を呑むところだった。」


「体力に自信あっても、この国の夏の太陽を舐めちゃダメだよ。」


「当日は冷たい物用意するね。」


「あぁ、頼む。」


「シンは熱中症どころか、一華の愛でオーバーヒートするんじゃないか?」


浩輔の冷やかしが始まった。


「お前こそ、理那をお姫様抱っこする体力をつけた方がいいぞ。落として振られるなよ。」


理那が一華の傍にやってきた。小声で


「また、始まっちゃったね。」


「ね。どうして二人ってこうなるんだろうね。」


「ほんと。よくやるよ。……一華、良く言ったね。シン君守って偉かったよ。」


「想定していたこととは言え、本当に言ってくるとはねぇ。そんなに対決したいのかな?」


真由も同意する。



◇◆◇



後日、生徒会室に届けられるはずの『希望するミッションのお題』だったが、シンの最後に言い放った借り人禁止令が奏功して1枚も届けられることは無かった。


もうすぐ、2度目の夏休みが来る。

1学期の生徒会は忙しかった。少しはのんびりしたいと思う一華だった。

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