第103話 プログラム
競技種目が出揃ったところで、体育祭プログラムの作成に取り掛かることになった生徒会メンバー達。
「まずは、順番を決めるぞ。」
「あのう、試しに組んでみたんですが……○(白丸)はトラック競技で、●(黒丸)はフィールド競技です。」
宗一郎がプログラム表をシンに向けて差し出してきた。
「準備がしやすいように、トラックとフィールドを交互にしてみました。あと、会長が続けて参加しない順番にしたつもりですが、全種目参加した場合はすみません。無理でした。」
提示されたのは、流れるような構成のプログラム表だった。
〇女子100m走(予選)
●騎馬戦
〇ミッション競走(シングル)
●男女混合二人三脚学年対抗リレー
〇ミッション競走(女子ペア)
●かけっこ玉入れ
〇太鼓の合図で方向転換徒競走
●ぐるぐるバットリレー
〇リベンジ100m走(5回)
昼休憩
〇ミッション競走(男女混合ペア)
●パン食い競走
〇ミッション競走(男子ペア)
〇女子100m走(決勝)
○クイズ100m走
〇学年対抗スウェーデンリレー
「……良く出来てる。」
シンは感心し頷く。一華も隣から覗き込んできた。
「競争をリレー形式にしたりして、きちんと振り分けられてる……。」
「これで、参加人数を決めるだけで済むな。みんなはどれに参加したいんだ?」
「ミッションの混合」
理那が答える。
「「私も」」
真由と真凛も手を挙げた。
「もしかして、ミッションの混合はそれなりに需要ありなのか?」
「だと思うよ。シンみたいに堂々とお姫様抱っこする事ってないと思うし。」
「既に2年では2組か! 1レースじゃ足りないな。」
「シン、私たちは辞退しようよ。私、二人三脚だけでいいよ。ミッションのシングルでもいいけど。後は本部でゆっくりしてるから。」
「とりあえず、各競走は2レース、リレーは各クラス代表の計5組、女子100m走・玉入れはクラス代表2人だな。」
「手分けして、タイムスケジュール作成、各競技ルール説明資料作成、必要物品の洗い出し、進行台本作成に取り掛かる。」
「直哉と真由は宗一郎が作成したプログラム順を参考にタイムスケジュール作成。一度確認した後、進行台本作成に取り掛かる。」
「「ラジャー」」
「一華と理那と真凛は、ミッションを除いて、1レース分の必要物品の洗い出しをリスト化。」
「「ラジャー」」「はい」
「浩輔、宗一郎、湊、海斗は、各競技のルール説明資料作成。沙羅がイラストを使ってわかりやすくしてくれ。」
「ラジャー」「「「「はい」」」」
一斉に指示された担当に取り掛かった。
タイムスケジュールを作成していた直哉がシンにパソコンの画面を見せながら聞いてきた。
「9時半開始で、作成してみたが、思ったより早く終了しそうだ。どこか、レース数か種目を増やすか?」
浩輔も覗きに来る。
「男女混合ミッションか、クイズ100m走を増やそうぜ。」
「クイズを全学年対象にしてレース数増やして、ミッション競走(シングル)を男女別、ペアを男子と女子入れ替える。ミッションは増えるが、用具のみの準備でルール作成も不要だ。男女混合ミッションは更に時間が余れば追加検討する。」
「できた。こんなもんでどうだ。」
真由が変更を行ったものを、直哉が見せて来た。
「まぁ、こんなもんだろ。進行台本に取り掛かってくれ。」
「ラジャー」
◇◆◇
数日後の生徒会室では、タイムスケジュール、進行台本、ルール説明資料の作成が終わり、ミッション競走の必要物品のみをリストアップするだけになった。
「ミッション作成に取り掛かる前に、採用するかは別として、お題をあげてくれ。まずはシングルから。」
・サッカーボールを蹴りながらゴール
・リコーダーを先生の前でドレミファソラシドを吹いてからゴール
・好きな人と手を繋いでゴール
・後ろ向きでゴール
・三輪車でゴール
・フラフープを10回まわしてからゴール
・ポニーテールの人と手を繋いでゴール
・ショートカットの人と手を繋いでゴール
・絆創膏を貼っている人
・今日又は今月が誕生日の人
・赤いペンを借りる
・ストップウォッチを借りる
・帽子を借りる
・縄跳びをしながらゴール
・車輪回ししながらゴール
・麻袋に入ってジャンプしながらゴール
・段ボールを3箱積んで運ぶ
・しゃもじでピンポン玉を運ぶ
・好きな人にお姫様抱っこされてゴール
・好きな人をお姫様抱っこしてゴール
・校長先生をおんぶしてゴール
・競歩でゴール
「次はペアのお題をあげてくれ。」
・サッカーボールをお互いの胸で挟む
・お姫様抱っこ
・おんぶ
・二人三脚
・風船を膨らませて、うちわで仰ぎながらゴール
・達磨運び
・目隠しした相方の手を引いてゴール
・紙風船を打ち合いながらゴール
・紙風船をおでこで押さえながらゴール
・ぐるぐるバットを5回した後、手を繋いでゴール
・二人で挟んで風船を割ってからゴール
・デカパンに入って走る
・背中でボールを挟んで運ぶ
・二人でムカデ競走
・段ボールを段ボールで挟んで運ぶ
「……普通だな。これが面白いのか?」
シンはホワイトボードに書かれたお題に面白みを見いだせていなかった。
「シン、お前は何でもこなせるからそう思うんだよ。普通の奴なら……恥ずかしいわ、笑われるわ、失敗するぞ。これこそが醍醐味だなんだ!」
「そうなのか?」
シンはホワイトボードのいくつかに『×』印を付けた。
「……この、シングルの『好きな人とゴール』は却下だ。」
「えっ、盛り上がるのに!」
「勝手に面前で告白されて、一華は誰でも受けるのか?」
「えっとー、好きじゃないなら拒否したい……。」
「だろ、俺も拒否する。ミッションを引いた生徒は失格となり、更に失恋もするんだぞ。みじめだろ。好きなら、男女混合で参加すればいい。」
「あのう……」
真凛が挙手した。
「この、リコーダーを吹くのもダメだと思います。」
「理由は?」
「もし、これを会長が引いたとします。リコーダーを吹きますよね。その後、どうなると思います?」
「???」
「きっと、女子の取り合いが始まります。その後は……。」
「間接キス」
理那が即座に答える。
「キャッ」
沙羅は悲鳴というより、漫画チックなシチュエーションを想像してしまっていた。
「間接……、直接してこそ意味があるのではないか?」
「普通の高校生なら、意識するの!」
「お、お前ら、普段のノリで話すな、こっちが恥ずかしいだろ!」
浩輔は顔を赤く染めてシンと一華の話を止める。
「リコーダーも却下だ。」
ホワイトボードに『×』印を付けた。
シンは女子の顔を見渡しながら
「髪型の指定も却下。特定の個人を指名する借り人はすべて却下。物品又はペア内での競技に絞る。」
「あっ!」
「どうした一華!?」
「このミッションって、白い封筒に入れて、簡単に出せるようにするの?」
「そのつもりですが……、何か気になる点がありますか?」
宗一郎が答える。
「こんなにミッションの内容を検討して絞っていても、私たちの知らない所で、簡単に中身が入れ替えられるなと思って……。」
その言葉に、宗一郎がハッとする。
「確かに、封筒さえあれば、悪意あるミッション……、例えば『会長にお姫様抱っこされてゴール』なんてお題を紛れ込ませることも可能です。」
シンの目が鋭く光った。
「ならば、俺が承認したミッションだけに目印を付けることにする。」
「具体的にはどんな印ですか?」
「それは当日まで内緒だ。……まずは、各ミッションで使用する必要物品の洗い出し、購入リスト作成してくれ。」
「「「ラジャー!」」」
数日後、沙羅が作成した体育祭開催のポスターが掲示板に貼られた。
そこに描かれていたのは、シンにお姫様抱っこされた一華がゴールテープを切る所だった。なぜか、仮装の時のプリンスとプリンセスの衣装を着て。




