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45. アイオワとのパワー・ブレックファスト(強襲揚陸艦ニューオーリンズの火災)

......隼鷹では燃えるものは全部壊すか陸揚げしてしまったので、最後ごろは艦内を回っても燃えるものがない......元隼鷹運用長・桜庭九衛門(談)

「座談会 ダメコンの現状と将来」『世界の艦船』1976年5月号より

挿絵(By みてみん)

アイオワ





わたしは戦艦アイオワのキングサイズベッドで目を覚ました。


昨日はアメリカ駆逐艦オースバーンと日本駆逐艦霞の口喧嘩が他の駆逐艦を巻き込んだ大乱闘となり、アイオワが荒っぽいやり方で仲裁したのだった。しかし、あれでわだかまりが解けたのかどうか……横になったままでそんなことを考えていると……


パパラ パパラ パパラパ~~


突然起床ラッパが鳴り響く。驚いて跳ね起きると、アイオワがラッパを吹きならしながら部屋の中に入ってきた。



「グッモーニング!アドミラル!早く身支度を整えるネ!タイム・イズ・マネー!」


アイオワに急かされながら洗面と着替えを済ませる。


「アドミラル!日本の言葉でいえば朝メシ前の一仕事!甲板掃除!」


やれやれまだ残暑がキツいのに……人間界の暦では8月の終わりにあたる。アイオワの前なのについため息が出てしまった。朝9時30分公園集合の自治会美化活動を思い出しながら甲板に降りようとする。すると


「問題ナッシ~ング。アドミラルに熱中症で倒れられたら大変だからネ!仕事はここでOK!」


「え?ここでってどういうことだい?」


アイオワは答えを言葉の代わりに自分の身体で示した。すなわちわたしに豊かな艦尾を差し出したのだ。


「後は言わなくてもわかるネ?」


スリスリスリ……わたしはアイオワの艦尾を掃除する。力を入れすぎずに優しく……優しいだけではなくて時折刺激を……



「オレのデッキブラシの具合はどうだい?ハニー」


「Oh……ダーリン……アナタにハニーって言われるのは素敵ヨ……」


我ながら柄にもないセリフだが渡されたマニュアルにそう言えと書いてあるのだ。


「本当はデッキブラシを突っ込んで欲しいんだろ?ハニー」


「AHHHH.......そんなコト言われるとトロケチャイソウ....デモ....デモ....ソレはもうちょっとマッテ......ダーリン......」


「それじゃあスパンキングで勘弁してやるぜ。ハニー」


そうささやきながらパシッと叩く。アイオワはビクビクっと身体を震わせてそれに応える。


そして艦尾をきれいに磨かれたアイオワは感極まったように、わたしを抱き上げると熱いベーゼを交わしてきた。


Suck Suck Suck Suck


するとわたしの頭の中に映像が浮かんできた。


ブルックリン海軍工廠で戦艦が建造される様子。そして大勢の人が集まる進水式……そうか、これが彼女たちの心を伝える唇のふれあい回線だ。


進水式を終えた戦艦が、その巨体をドックに浮かべているところでアイオワは唇を離した。


「今日はこれぐらいネ。アドミラルは時間をかけてワタシを知ってもらいたいネ」


アイオワは抱き上げたわたしを下におろす。そして真剣な表情で


「アドミラル。この基地にいる間、たくさんのアメリカ艦と今のようなコミュニケーションを交わして、ワタシたちのアドミラルになって欲しいネ。知識だけでワタシたちを理解しようとするのはNO!なんだからネ!」


わたしは指で唇についた唾液を拭いながら

「ああ、わかったよ。アイオワ」


挿絵(By みてみん)

進水式を終えたアイオワ。1942年8月下旬、ブルックリン海軍工廠。



コンコン!誰かがドアをノックする


「カムイン」


アイオワの声と同時に一人の女性が入室してきた。


ブロンドのミディアムヘアにキリッとした顔立ち。全身を隙なく濃紺のスーツとタイトスカートで固めている。


「グッモーニング。アイオワ」

「グッモーニング。ナッシュビル」


互いに挨拶を交わすとアイオワはわたしに入室者を紹介した。


「アドミラル。彼女は軽巡のナッシュビル。第二次大戦ではマック、マッカーサー元帥の旗艦を勤めたこともある優秀なウォーシップだからネ」


挿絵(By みてみん)

ナッシュビル



軽巡ナッシュビルはわたしに向かって敬礼する。


答礼したわたしに彼女はニコッと笑うと


「お会いできて光栄だわ。ナイス・トゥ・ミーチュー」


そしてわたしにスマートフォンと超薄型ノートパソコンを渡す。


「アドミラル、これがこの基地で使えるスマホとPC。イントラネットの機密情報にもアクセスできるからフルに使ってね」


その後でナッシュビルはアイオワに

「アイオワ、今アドミラルに渡したスマホとPC、昨日到着したイギリス艦と日本艦に渡したわ。もちろんアクセスできる情報は艦種のランクに沿って制限をつけて……ね」


「ベリーグッド!さすがいつもながら仕事が早イ!」


「それでこれからパワーブレックファストね。既にイギリスと日本の主力艦がこの艦のワードルームに集まっているわ」


かくしてわたしを護衛するかのようにナッシュビルが前方、アイオワが最後部を歩きながらワードルームに向かう。


わたしはナッシュビルのピシッと固めたスーツ姿を後ろから眺める。先ほどのアイオワの言葉を思い出した


……たくさんのアメリカ艦と物理的なコミュニケーションを交わして……


わたしはナッシュビルの艦尾に手の甲をそっと当てる……彼女にはたかれたら深入りはすまい……そう考えていたら……


彼女は先ほどのアイオワと同じようにビクッと身体を振るわせて


「Oh……」


わたしは手を翻すと手のひらと指で艦尾を包み込む。そして力を加える。



「アアアア……アハァ……」


ナッシュビルは甘い吐息を漏らした。


わたしはさらに身体を密着させると両手で円を回すようにする。スーツのような固い鋼板のうちから機関部の熱……ナッシュビルの温もりが伝わってくる。


「……ノウ……ノウ……ダメヨ……ダメ……コレイジョウハ……」


ナッシュビルのポンプが人間の声のような音をあげる。


ナッシュビルの顔が紅潮して目がトロンとなってしばらくすると……


彼女はわたしの手をそっと握った。


「アドミラル……これからパワーブレックファストだから……ネ……」


「それは残念だね。でも、君のいう通りにするよ、マイハニー」


わたしは手を離すやいなや、ナッシュビルを後ろから抱きすくめると彼女の耳たぶを軽く噛んだ。


「オウ……」


ナッシュビルは身を翻してそのまま前に走って行く。


アイオワはわたしに囁いた。


「今のコミュニケーションでナッシュビルの信頼度ゲージは上がったネ。でもあまり急ぐのは逆にゲージが下がるからNo!なんだからネ!」


挿絵(By みてみん)



戦艦アイオワのワードルームに入ると既にイギリス戦艦マレーヤ、日本戦艦霧島、イギリス空母ヴィクトリアスが食卓に着席していた。


「サア!これからアメリカ名物パワーブレックファストを始めるヨ!」


アイオワの陽気な声が室内に響く。会議を仕切ろうとする自信とやる気に満ち満ちている。


ナッシュビルは部屋の隅で何やら機器を調整している。突然割れた音が出て「アウチ」と舌打ちした。


そんな彼女たちに顔を向けることなく、チーズの包装を開けて人数分を切り分けるマレーヤ。


「貴国の海軍にパワーブレックファストなどという習慣があったなんて知らなかった」


霧島はみんなのカップにポットからコーヒーを注ぐと


「やっぱり朝は緑茶が飲みたいわね。それと味噌汁も」


ヴィクトリアスはパン籠からみんなの皿にロールパンを取り分けると。


「相変わらずヤンクスはせっかちですわね。........ ストロベリーのジャムでよろしかったかしら?アドミラル。でも塗りすぎてはいけませんわよ」


かくしてみんなに食べ物が行きわたり、わたしが手をつけようとすると


「ウェイトモーメント!ブレックファストは食前のお祈りが済んでカラ!」


アイオワはそう言って着席すると目をつぶって手を組んだ。ナッシュビルもそれに従う。仕方なしに?他のみんなもそれに付き合った。



さてパワーブレックファストであるが、わたしは低血圧なので朝は頭が働かない。


心ならぬ脳みそここにあらずという様子を見たアイオワは


「それでは細かい実務に入る前に情勢のブリーフィングから始めるヨ!」


アイオワが指をパチンと鳴らすと魔法で空中にいくつものミニシアターが出現する。そこにはCNNやFOXニュースの映像が派手なミュージックとともに映し出される。


そしてアイオワはもう一度指を鳴らした。するとミニシアターの一つが拡大する。その画面には『星条旗新聞(Stars and Stripes)』。


「アドミラル、これは1861年創刊のミリタリー・ニュースペーパーNE!。ワタシの艦でも兵士たちが楽しみにしていたネ」


「あら、懐かしいですわ。今はネットで配信しているのね。アメリカ国防省の管轄だけど編集権は独立しているのですわよね」


興味深げに画面を見るのは、かってアメリカ軍と共同作戦を行ったこともあるヴィクトリアス。



そしてアイオワが今日の議題に選んだ記事は……


「トイレットペーパー100箱が、1200万ドルの損害をもたらした戦艦ニューオーリンズの火災の一因となった」(2026年8月27日 更新, https://www.stripes.com/branches/navy/2026-08-27/uss-new-orleans-fire-okinawa-22672067.html)


……わたしは一瞬椅子からずり落ちそうになった。読者の注目を集めるための工夫が伺えるリード文である。


わたしはつい呟いてしまった。

「SF小説だけど戦闘でトイレを壊された艦というのを読んだことがある。しかしトイレットペーパーで火災を起こした艦が現実にあるとは驚きだ」


「HAHAHAHA!確かにコミカルなリード文ネ。でも中身は大事だからみんなでディスカッションするYO!」


アイオワの言葉にうなずくマレーヤ。そして出席者を代表するかのように記事の趣旨をまとめた。


「フムフム……2025年8月20日に起きた強襲揚陸艦ニューオーリンズの火災に関する調査報告が発表された。それは様々な要因が考えられるため、主要な原因が特定できなかった……か」



挿絵(By みてみん)

本編とは関係ないですがそろそろ季節も変わるので「真夏のヴィクトリアス」


「1200万ドルの損害を合衆国に与えた火災だけど、クルーは不屈の勇気と規律で消化活動に当たったノネ!これはダメージコントロールのケーススタディ!サ、みんな早く読んデ読んデ!」


アイオワに促されてスクロールされる画面を読んでいくうちに……みんなは黙り込んでしまった。当のアイオワも顔がひきつっている。



マレーヤは腕を組んで呟いた。

「なかなかこれは大変な事件だな……」


その記事の内容をまとめると……2025年8月20日に強襲揚陸艦ニューオリンズの特殊衣料品倉庫内で11時間にわたって火災が発生。


海軍犯罪捜査局(NCIS)は火災の原因を「意図的または過失による人為的行為(Intentional or negligent human activity)」と断定し、喫煙や電子タバコの使用、無許可の危険物の存在、放火などが考えられるとした。


火災の深刻化には、許可されていない危険物の存在や、スプリンクラーをほぼ無効にしてしまうほど積み上げられた約100箱のトイレットペーパーが影響したと述べられている。



霧島は二杯目のコーヒーに砂糖とミルクをいれて掻き回しながら


「『意図的または過失による人為的行為』……かろうじて天候や機械の故障でないことがわかっただけ。原因が特定できない?つまり心当たりがありすぎてわからないということね。大丈夫かしら、アメリカ海軍」


ヴィクトリアスはパンにバターをつけてその上に砂糖を振りかける。太らない身体なのを良いことにやりたい放題だ。


「エアゾール缶や正体不明!の液体(unknown liquid)が入った金属缶などの危険物?おまけに喫煙。やりたい放題ですわね」


マレーヤはパンを割ってチーズを挟みながら取りなすように


「しかし、こういう事件は国を問わず起こる可能性がある。確かに朝食会議で取り上げるに足る案件かも知れないな」


霧島は空になったコーヒーカップをタンと下に置いて


「こういう火災の時の応急作業……戦後はダメコンと言ったんだっけ?……帝国海軍も戦時中に研究を重ねたんだけどね、結論は事前の備え!転ばぬ先の杖!」


ほう……アメリカに比べて遅れていたと言われる旧日本海軍のダメージコントロールとは?わたしは霧島に声をかけた。


「もう少し詳しく話してくれ、霧島」


霧島は横のヴィクトリアスがカップにコーヒーを注ぐのに片手をふって礼の代わりにすると


「一に片付け、二に片付け、三四がなくて五に片付け!可燃物はさっさと取り除くに如かず!あ号作戦の時の隼鷹の運用長はね、作戦の前に艦内の可燃物一切……ペンキ、テーブルはみんな取り去ったそうよ。それぐらい徹底しないとダメってことね」


ヴィクトリアスは霧島の後で自分のカップにもコーヒーを注ごうとしたが、あいにく途中で無くなってしまった。軽く舌打ちした後で


「でもテーブルまで陸上げしてクルーはどうやって食事を取りましたの?」


「士官も兵隊も床に毛布を敷いて座って食べたわ。ベッドや吊床(ハンモック)も取り去ったから寝る時はごろ寝よ」


と、霧島。


マレーヤは咀嚼していたパンを急いで飲み込むと


「しかし、人間はマシーンになりきれるものではない。作戦中とはいえ艦内には生活がある。それで良く不平不満が出なかったものだ」


霧島はヴィクトリアスに気がねしながらコーヒーを飲み干す。そして


「もちろん不満は出たけどね、艦長命令で押し通したわ。それにウチの水兵はね、普段から鍛えられてるのよ。日本人の家はウサギ小屋だと戦後言われたそうだけどね。こちとら犬小屋みたいな狭い船室に五、六人が閉じ込められて寝起きしていたんだから」


それを聞いたアイオワは目を丸くして

「オウ、ソレジャアまるで奴隷船……アウチ!ソンナ不自由な艦内生活にしなくても……戦争中にワタシたちがやったようにアプリケーター(拡散水霧用ノズル)や泡沫消火器、防熱服を装備して、Fire Fightingのトレーニングを徹底すれば対応できるワ。」


その後で悪戯っぽくニヤリと笑うと

「下っ端に不自由な艦内生活を強制して、火災の時はストローマットを被せるだけなんてカワイソウだワ」


それを聞いて霧島はギョッとした顔になると


「ちょっとあなた、油火災には筵(むしろ)を被せて酸素の供給を断つってわたしたちの古い消化法を何で知ってるのよ?」


「問題ナッシ~~ング。戦後に日本を占領した時に徹底的に調査したモノ。戦犯に訴追されるんじゃないかとビクビクしている海軍士官をGHQに呼んでネ、『我々はあなたのご経験と知識を必要としています!サー!』それで上等のタバコとチョコレートを出したらバルブをひねったように何でも話してくれたワ」


霧島はやれやれとため息をつくと


「わたしは大正の昔から帝国海軍を見ていたから、アメリカにおだてられて舞い上がるのもわかるわ。上から認められることが習い性になっていたものね、ウチの男たち。そうでないと予備役に回されて海軍を追い出されるから……でも他国艦に言われると腹が立つわね!」


エリートとしてのプライドと組織人としての卑屈の同居か。いや、ダメコンの話がとんでもない方向へ行ってしまった。わたしは止めるようにマレーヤに視線を送る。マレーヤはうなずくと


「ゴホン!霧島が話したやり方は常にできるものではない。また、アイオワが話したFire-fightingの訓練も課題がある。クルーたちはみなそれぞれの任務を持っている。訓練のための人材も物資も時間も本業のほうが優先されてしまう。今回の事件では消火システムに関する知識不足が火災の鎮火を遅らせたと書かれてあるが、そういうことでは無いのか?」


霧島も椅子の背もたれに身体を預けると


「可燃物の片付けだって徹底するのは難しいわ。必ずこっそり持ち込むヤツが出てくるからね。隼鷹だって掌機長が内火艇の燃料を隠していたので火災が起きてしまったし……本人は職務のためにやったのが何とも難しいわね」


ヴィクトリアスはナッシュビルが持ってきたお代わりのコーヒーポットを受け取ると


「今、流行りの艦艇の省人化とやらが進むと火災の対処も難しくなりますわね。わたくしたちは人間がいなくても神話の力で艦をコントロールできますが……自分が過ちを犯す前に他人の過ちから学ばなければ……」


わたしは思った。必ずしも結論が出たわけではないが良い方向にまとまってきたようだ。また、正式の会議ではないから明確な結論を出す必要もない。


そう考えながら『星条旗新聞』を見ていると、ある文章に気がついた


「……火災事件の報告は本誌の一日前にはオキナワ・タイムズに初掲載されていた……」


……これは放っておくわけにはいかない。研究者時代の癖がつい出てしまった。ナッシュビルからもらったノートパソコンを開く。沖縄タイムズのサイトにアクセスする。あった。


「米軍揚陸艦の火災『人為的』米海軍が調査 沖縄・うるま市ホワイトビーチ沖『ニューオーリンズ』で発生」(2026年8月20日 )


記事は新聞社の電子記事でよくあるように途中までしか閲覧できないので、とりあえず無料会員になって記事の全文を出して……


「あー……みんな、『沖縄タイムズ』にもこの事件の記事が掲載されていた。念のために見てほしい」


ナッシュビルがわたしのPCの画面を空中に映し出す。みなが読んでいく。


霧島が何かに気づいたようだ。


「あら?11時間後に一旦鎮火したけど再び出火して41時間半後に緊急事態が解除されたと書いてあるわ」


……確かに、『星条旗新聞』では11時間の火災とされていたのとは異なる。そして『沖縄タイムズ』のほうが経過を詳しく伝えている。


さらにマレーヤは


「それだけではない。今、見逃すことができないセンテンスがあった。これも『星条旗新聞』には書かれていなかったことだ」


ヴィクトリアスが読み上げる。


「……海軍犯罪捜査局の聴取に対し、ある目撃者は火元の倉庫付近で許可なく喫煙した者がいたといううわさを伝えたが、後に撤回した……」


霧島が決定的な一言。


「艦内で口裏を合わせて揉み消そうとしているわね。ウチでもよくやっていたからピンと来るわ」


事件の全容を掴むにはNCISの報告書を当局に申請して入手する必要がある。だが、報道の限りでも、原因が特定できないぐらいの危険物の持ち込み、消化活動に関する乗員の訓練不足、そして揉み消し?疑惑……


これはいつの時代もどこの国でもある一艦艇の事故に過ぎないのかも知れない。だが、しかし……


世界史規模でパワーバランスの大変動が起きている時代に果たして大丈夫なのか?アメリカ海軍。


わたしがアイオワを見ると彼女は


「問題ナッシ~~~~ング!先の大戦もそうだったネ!最初はモタモタしていたけどネ!その後で全力で巻き返したからネ!『山・動く(Moving Mountains)』 !」


アイオワは見栄を切った後でわたしたちから目を反らして


「……メイビー……」


先日(前回参照)とは違って今度は誰も突っ込まなかった。


........シーン


「あ、そうそう。中国艦の逸仙にお土産を買って行きたいけど、何を喜んでくれるかしら」


……霧島の声が空しく響く。


わたしは思わず言ってしまった


「霧島、日本艦のキミがそんな事を言ったら、今の国際情勢では洒落にならない」(続く)



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前回に続き今回の後書きでも登場するイタリア艦


挿絵(By みてみん)

ジュリオ・チェザーレ



挿絵(By みてみん)

コンテ・ディ・カブール



挿絵(By みてみん)

アンドレア・ドーリア



挿絵(By みてみん)

カイオ・デュイリオ

後書き


前回のつづき


イタリア戦艦・ジュリオ・チェザーレ

「やれやれ。連合国の戦勝記念パーティーに出席したが、我々イタリアの扱いは良くなかったな」


同・コンテ・ディ・カブール

「イギリス艦バーラムの『待遇に差をつけるのは当然でしょ』の一言でアルコールは一切飲ませてもらえなかったわね」


チェザーレ

「あのケチ女め。……やっぱり行かないほうが良かったかな」


イタリア戦艦・アンドレア・ドーリア

「ダメよ、ここで引き下がっては。あらゆる機会をつかまえてわたしたちの立場を主張するの。だからこそ戦後もマリーナ・ミリターレ・イタリアーナとしてNATOに加わることができたのよ」


イタリア戦艦・カイオ・デュイリオ

「アンドレア、外交的主張もいいケドォ、酒が飲めなかったって駆逐艦の娘たちが殺気だってるわョォ」


カブール

「デュイリオ。あなた、自分が飲みたいために、いい加減なことを言っているんじゃないでしょうね」


カイオ・デュイリオ

「本当よォ~~あたしが南部で建造されたからって信用ないわネェ~~北部人」


アンドレア・ドーリア

「カイオの言っていることは本当よ。酔っぱらいポーラのところに集まって反乱を起こしそうな勢いよ。ザラからもポーラは自分が押さえているから早く何とかしてくれって」


チェザーレ

「む、RSI海軍みたいなことになってはいかん。……よし、日本艦のところに行こう。今ごろあいつらは法事……メッサ(ミサ)ジャポネーゼが終わったので飲んでいるはずだ」


カブール

「枢軸国から連合国、そしてまた枢軸……調子がよすぎるわね、わたしたち」


アンドレア・ドーリア

「でもカブール。わたしたちはそうやって困難な時代を生き抜いてきたのよ。L'arte di arrangiarsi!工夫とやりくり!」


チェザーレ

「ドーリアやデュイリオに勧められて観た戦後の映画の題名か。ルイージ・ザンパもなかなか面白い映画を撮るじゃないか」


カブール

「連合軍がシチリアに上陸したらファシストの黒シャツを暖炉で燃やす主人公、わたしの艦の士官を思い出すわ。もっとも、わたしがドイツ軍に拿捕された時は彼ら必死になって灰の中からローマ鷲の勲章を探していたけどね」



デュイリオ

「でもォ……あのお調子者の主人公ってばァ、偉い人たちの間をウロウロしてたケドォ……最後は露天のカミソリ売りに落ちぶれたのよネェ」



チェザーレ、カブール、ドーリア

「………………」


チェザーレ

「なあに、その時はその時だ。イギリスや日本に追い出されたらロシアへ行くさ。わたしたちにはカミソリよりも高く売れるものがあるからな!.......(自分の主砲を両手で下から掬い上げる)」


カブール

「チェザーレ、あなたの艦歴でそれは笑えないからやめてね。さ、日本艦のところへ行きましょう。向こうへ持って行くパルマの生ハムも忘れずに」

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