私から生まれた私
マホミルは、魔術を正しく起動させ制御するための魔術式を紙上で組み立てながら、思考を深く深く巡らせていた。
ソファの上に転がりながらペンを走らせていた手を止めて、チラリと横を見る。いつの間にか隣に寝そべっていたあの子のキラキラ輝く琥珀色の瞳に手元のノートを覗き込まれて、マホミルは面倒くさそうにして言った。
「何見てんの。見世物じゃないんだけど」
「すごいねぇ。私には全然読めない文字だー」
まぁそれもそのはず。別銀河系統の言語を独自のパターンで並び替えて記載している暗号のような文章だ。万一、他者に見られても内容を把握されないための、魔術式を組み立てる際に行う思考と計算方法のメモ書き。イメージを図にしながら紙一面を埋め尽くすそれは、まるで子どもの絵日記のようだった。
紙の上にペンを走らせる音だけが響く空間で、クレアはソファに小さく寝そべりながら、マホミルを眺めていた。
「……ししょー、めっちゃ集中してる」
新しい魔術式を組み立てる際は大抵こうなる。多分あと数時間はずっとこの状態が続くだろう。
正直少し見飽きてきたクレアは、少しなら大丈夫かと思い、マホミルを置いて近くの公園へと向かった。マホミルは今 術式の開発に集中してるので、クレアが外出したことに気づかれる恐れはないだろう。
すでに冒険者の職につき普通に働いてるクレアであるが、年齢的には本来 公園で友達と遊んでるような幼女とさほどかわりなかった。だから、別に公園に行っても全く違和感はなかった。
よくある小さな公園であった。
ブランコに、鉄棒に、ジャングルジムに、砂場があって、……と、日本全国どこに行ってもあるような、至って平凡な公園だった。
公園全体を囲むようにして、ソメイヨシノやスズカケノキ、ケヤキやマテバシイといった種類の樹木が植えられていた。徐々に季節が冬が近づいているためか、マテバシイ等の常緑樹を除く全ての木が、木の葉を色づかせ、その葉を風に揺らさせていた。
なんで異世界に令和の公園あるんだよ、と思うなら勝手に思っといてくれ。作者はたいていそんなもんだ。
まぁ、そんなメタ的なことはさておき、最近は魔法の練習ばかりだったし、久々に幼女らしく遊ぼうではないか。
公園には先客が十数人ほどいた。全員が少年少女といった、そういう、儚い年代の子たちであった。
クレアは砂場を選んだ。砂場の空いているスペースに陣取り、早速何かを黙々と楽しそうに作り始めた。
——後方数十メートル。茂みの影に身を潜めつつも、その様子を伺っている人物がいた。
先に言っておくが、不審者ではないので安心してほしい。
勿論、作者がレッド・ベリング的な意で、読者を騙そうとしているわけでもない。彼ら——否、彼女等といったほうが正確だろうか——は、ただの‘見守り隊’である。なお、マホミルとイアデルのことではない。
ドロテアは茂みの中から、ひょこりと顔を覗かせた。
ウェーブがかった黒い癖っ毛の、娘だった。外見的には14歳ぐらいだろうか。黒色のはね髪が片目を隠すように覆いかぶさっていて、琥珀色の左目だけを覗かせていた。そして肌が心配になるぐらい白かった。白いというよりかは血が通っていない感じだった。
ドロテアは目を輝かせながら言った。
「僕の子孫ちゃんかわ〜!!」
おまけ:ピザPart3
クレア「ピザって10回言って」
イアデル「PizzaPizzaPizzaPizzaPizzaPizzaPizzaPizzaPizzaPizza!!」
クレア「じゃあここは?(肘を指差す)」
イアデル「Gomito (肘) ?」
クレア「」




