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虚言の堕天使  作者: みさこんどりあ
第二部 亡霊少女の異世界放浪旅
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黒翼の死霊術師


??「旅人が此の世に生まれ落ちてから百話…えぇ、実にめでたい事です。今まで数多くの役者が登場し、舞台が開演しました。

歴史の闇に葬り去られ、「没」となった私を除いてですが。

此れからどの様な物語が繰り広げられるのかは……司会者である私のみぞ知る事です」





クレアは家を出ると、いつもとは違う方角に進んだ。

少しでもマホミルの助けになれたらと思い、「わたしには何ができるだろうか」と自分なりに必死に考えた。

その時この間読んだ薬学の本の内容が、脳裏をよぎった。魔法薬学の本だった。修行の一環として、魔導書の類を何度か読まされたことがある。確か、その中の一つだった。この地方に、風邪に効く薬草が生えているらしい。そして、特に山間部に自生しているという。流石に具体的な効き目や、詳しい加工方法は分からなかったが、やはり、ないよりはマシなはずだ。


ちょうど、比較的近くに、そこそこ大きな山がある。朝から向かえば、日没までには戻ってこれるはずだ。


だから、今日は魔法の練習を休んで、薬草を探しに行くことにした。

「あまり、遠くに行ってはダメよ」というマホミルの言いつけを破ることになるが、薬草を採ってくれば、きっと不問にしてくれるはずだ。


クレアは森の奥深くまで進んだ。山の頂上を目指してひたすら歩く。

登山口までは、結構あっさり来られた。

山道を上る。足場が非常に不安定な上り坂で、流石に体力が削られてくのを感じた。大粒の汗が、頬を伝い、顎から滴り落ちた。登ってくにつれ、徐々に体が重くなってくのを感じた。

休憩を間に挟みながら、坂を登り続けていくと、山の中腹付近、少し開けた所に出た。この辺りで昼食を取ることにした。マホミルにはお昼は外で食べると事前に伝えてあった。風邪がうつらないようにとのことで、別に怪しまれることはなかった。手ごろな岩に腰かけ、お弁当の中身を開いた。クレアはサンドイッチを齧りながら、辺りを見渡した。そこまで高い山でもないし、まだ中腹部分だけれど、景色はきれいだった。冬の空はどこまでも澄んでいて、枯茶色の木の葉を風が揺らしていた。


「あ……」


ふと足元を見ると、山の斜面に、探していた薬草が生えているのを見つけた。鈍い青紫色をした、星型の花だった。


運が良い。こんなに早く見つかるなんて。


クレアは荷物を置いて、足元に十分気をつけながら、ゆっくりと斜面を下る。ぱらぱらと足下から砂利が転がり落ちるたび、緊張感が高まった。そっと右足を前に出し、そっと左足を前に出す。これを何度か繰り返しているうちに、クレアは薬草の近くにまでたどり着く。しかし、そこから先が急斜面になっており、あともう少しのところで、これ以上近づけない。クレアは落ちないように細心の注意をはらいつつも、必死に薬草に手を伸ばす。しかしそれを嘲笑うかのように、薬草の細い茎は風に揺れ、あと数ミリで手が届くというところで、クレアの手から逃れた。それでもクレアは必死に手を伸ばし、身を捩り出した。

——手が届いた。

するっ、という音がした。落ち葉を踏みつけていた。そう理解した時には足場が崩壊し、クレアはバランスを崩して、崖下 真っ逆さまに落ちていった。


クレアは思わず目を瞑った。次にあるであろう衝撃に、身を硬直させた。


けれどいつまで経っても衝撃は来ない。逆に次に聞こえたのは左耳元、「バサッ」という傘を開いた時にするような、大きな音だった。顔に微やかな風が吹き、次いで深い呼吸音が聞こえた。クレアは恐る恐る瞳を開ける。


そこにいたのは、やるせない顔をしたマホミルがいた。


「……ししょー?」

「はぁ〜」


マホミルは「めんどくさい」とでも言うかわりに、一つ大きなため息をついた。クレアは、自分が抱え上げられていることに気づいた。


そして、黒鉄の翼が、クレアの視界の大半を覆い尽くしていた。



おまけ


クレア「牛は赤い色に反応するわけじゃないんだって。どういう勘違いで牛=赤ってなったんだろう??」

マホミル「牛は目の前でヒラヒラするものにイラついてるだけなんだってね。例えば、イアデルが目の前で急に高速で反復横跳びでもしたら、殴りたくなるでしょう?」

クレア「そうだね」

イアデル「」

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