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「ねえ、アシェス」
「なんだ?疲れたのか?」
「そういうんじゃないけど…」
王宮までの道のり無言だった静寂に耐えかねたのか、打開するようにスフィアは話しかけてきた。
「さっき言ってたアシェスの捜し人って…それに騒ぎがどうって…」
「……………」
アシェスは迷ったような表情で眉をしかめた。
「聞いちゃいけなかったのかな…?」
「いや…別にお前が気にすることじゃねぇよ。つまんねぇことだ、忘れろ」
「む…」
さすがにその物言いには腹が立ったのか、スフィアは怪訝な顔でうめいた。
(やっぱり…みんな同じだ)
抑えていたはずの感情。
わなわなと肩を震わせ、スフィアはアシェスの顔に食いつくばかりの勢いで近づいた。
「なんでそうやって誤魔化すの?」
「あん?誤魔化してなんか…」
スフィアの目を見ると、いつもの彼女らしからぬ目付きでこちらを睨んでいる。その余りの怒りように思わずアシェスは目を逸らす。
「ほら、疾しいことがあるから目を逸らした!どうして何も話してくれないの!」
自分を取り巻く状況、多少はわかったとはいえ、彼女にとっては知らないことばかり。
フォーザとの会話の中でもただ静観するしかなかった。
しかし自分が事の発端であることは自覚しているのだろう。
気を遣ってくれているのはわかっているはず。
だが、それでも責めの言葉は止まらない。
「全部私に関係することなんでしょう?だから言えないんだよね?」
「そうでもねぇよ。ってか、急にどうしたんだよお前は」
怒ったようにけしかけてくるスフィアに対し、アシェスは冷静な様子を崩さない。
だが歩いていたはずの足は完全に止まっていた。
「だってアシェスって何でも隠してばかり!…私は、もう何も知らないままでいたくないの!」
「お前は自分のことだけ考えてりゃ良いんだ。余計なことを考えず、今後の身の振り方でも考えてろ」
「誰かが傷ついたり迷惑してるのに、やっぱり当事者の私だけ無知でなんていられないよ!」




