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22


ハースは大地に足を踏みしめた。強大な力を溜めるために。

残された右手を大きく広げアシェスにかざす。


「御大には悪いけど、コイツは危険な臭いがする…。殺させてもらうよ!」


魔力を体内に取り込み蓄積させていく。器の限界で力を放とうと言うのか、腕には無数の血管が浮き出ている。


「う…!」


魔法を放たせまいと、即座にアシェスがハースの懐へと飛び込んでくる。

シュヴァゼルトの斬撃は一撃で体の部位を切り取られてしまいかねない。下手をすれば一瞬で首を刎ねられてしまう。

まともに食らうわけにはいかないのだ。

攻撃をかわすという意識が高まり、収束していた力は無散してしまった。


(くそっ…僕が追い詰められている!?)


ハースは痛む左腕を一時無視し、防壁魔法を唱える。

収束された岩の壁がハースを取り囲み、水面のように波打つ魔法強化された壁がハースの前に展開された。


「逃げてんじゃねぇよ!」


アシェスはシュヴァゼルトを縦に走らせる。

一閃した剣は強化防壁をいとも容易く切り裂いた。


「くそッ!!」


切り裂かれた壁は魔法障壁の暴発を呼び、爆煙となってハースを吹き飛ばす。

受け身をなんとか取り、打撲は免れたものの、魔法の酷使がハースの体力を限界近くまで奪っていた。


「なんで逃げんだよ…こいつはゲームなんだろ?」


「はは…言ってくれるね…」


脱力感を伴い、震える足を無理矢理奮い立たせる。

今のハースはただの強がりを言っているに過ぎない。

がくりと片膝を付き、勝負はすでに付いたかのように見えた。

ゆっくりとした足取りでアシェスは近付く。


「もう一度訊く、エルビスはどこだ!」


「残念だけど…それだけは教えるわけにはいかないな…」


「なら…てめぇを捕えて吐かせるまでだ」


アシェスはシュヴァゼルトを左手に持ちかえ、打撃を叩きこもうと踏み出す。

肉眼では対処するのが難しいほどの速さ。

ハースは最後に力を振り絞り、玉座へと跳躍した。


「悪いね…それ以上動くと、コイツが死ぬよ?」


ハースの右手はレイドの首筋に添えられており、うっすらと光を放つ。

魔力によるまさに手刀。

手刀を少しでも首を撫でるだけで頸動脈を掻き斬ることができる。


(ちくしょう…こうでもしなきゃ退くことさえ出来ないなんて…)

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