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「もっと僕を愉しませてくれよ!隠れてばかりいないでさ!」
光の輪を指先で回転させそれを遠心力で放つ。
その光輪は紙屑のように柱を切り裂いた。
「く…」
身を縮めなんとか回避する。
まともに食らっては胴と足が二つに別れるのは言うまでもない。
崩れる柱からまたも移動し、なんとか打開策を練りながらハースの姿を伺う。
「良いのかい?僕ばかり見てて」
ハースの言葉を耳にすると同時に、アシェスはその場から飛び去る。
すると先程の光輪が反転し、アシェスのいた場所を切り裂いた。
「うーん、残念。なかなか良い勘してるね」
だいぶ息も上がってきたのかアシェスの呼吸が激しくなる。
逃げているだけで体力を無駄に消費し、なんの打開策も見出だせない。
そこらの魔導師程度ならば躱しながら反撃の機もあるだろうが、隙のない攻撃に格の違いが分かってしまうのだ。
(こりゃ、ここの魔導師が歯が立たない理由もわかる気がするな。ケタが違いすぎる)
アシェスは汗ばむ手で剣を握った。
(だがヤツの魔法は物理的なものばかりだ。…いけるか)
大気の力ではなく、物質化した力。
これならば武器で弾くことも可能だ。
懐に飛び込まなければ、自分達剣士にとって勝機は見いだせない。
アシェスは反撃の機を伺った。気付いていない今が勝機。
しかし冷静さを欠けばやられる。
何度も死地を潜り抜けてきた親友の助言を胸中で復唱する。
「ったくよ、とんでもねぇヤツに噛み付かれたモンだ…」
「誉めてくれて嬉しいよ!」
ハースはタクトを振るように両手をかざし、空気中に式を描きだした。
踊るように腕を振り、円を形作る。
「君に見せてあげるよ、本物の力と言うものをね!!」
描いた円を地へと叩きつける。式を形どった紋様は大地を揺るがす。
大地を裂き、亀裂は部屋全体を包んだ。
無数の石屑が宙を舞う。
それらは重なり無数の巨大な槍となってアシェスへと襲い掛かった。




