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「そう、そうやってあまり表情を変えない淡泊な性格、口調…反吐が出るんだよ」
「そうかい…てめぇこそ減らず口が多過ぎるんじゃねぇのか?」
「ふん…こんな状況下に置かれてもさすがなもんだよ、君は」
臆する事無くアシェスは悪態を止めはしない。
ジェスターにとってはつまらなかったのだろう。
こうして舞台を整えたというのに、この表情の変化のなさが。
「怒らないのかい?僕が君を騙していた事を?非難しないのかい?裏切るようなことをした僕を?」
「がっかりもしなけりゃ驚きもしねぇさ。それよりもそのその歪んだツラを直しやがれ。気分が悪い」
悪態は止まらない。
ジェスターがあまりの粗暴な答えに言葉を詰まらせる。
「アシェス…君はひょっとして気付いていたのかい?僕が賊だったってことを?」
「さぁな。ただ聞きてぇのはなんでこんな真似をしたかって理由だ」
「それはさっき言ったはずだよ。ゲームってね」
「…ゲームか」
自分の親友が実は噂の賊だったということを驚かせるため。
くだらない。考えただけで反吐が出そうだった。
アシェスは唾を吐き捨てる。
「…くだらねぇな。てめぇらの目的は代行者だろうが。こんなゲームをすることに何の意味がある!?」
「意味?…そうだね、御大がそう望んだから…かな」
「御大…?」
彼らの他に黒幕が居るというのか。
「…代行者はどうした?」
辺りにスフィアの姿はなかった。
激しい戦いの跡だけが謁見の間には広がっていた。
力なく崩れたレイド以外に王宮関連の人影はない。
「代行…者?クス…スフィア姫だろう?」
やはりスフィアの存在は漏れてしまっていた。
アシェスはカマをかけたつもりだったのだが、ジェスターはそれを嘲笑うかのような答えを返したのだ。
「さぁね、コイツが意外と頑固でさ。なかなか吐かないんだよ」
赤髪の男がレイドの襟首を掴み引き上げると、意識を失っているのか軽い呻き声を上げた。
「まあ、アシェスが来たら聞けばいいやと思ってたんだけど」
「例え知ってたとしても言うわけねぇだろ。寝言は寝て言えよ」
「…ん~なんかリアクション薄いしつまんないな。クェルド、もう殺して良いかな?」
ジェスターは クェルドと呼ばれた赤髪の男に向き直る。
彼は顔色を何も変えず目線だけをジェスターへと向けた。




