14
立ち昇る白煙と混濁した力の破壊の傷跡。
そんな背景を余所に、城内は静かな空気に包まれていた。
倒れ意識を失っている魔導師たちは、気絶というよりも昏倒に近い。
無数の火傷と怪我により、辺りは血の臭いが漂っていた。
「こいつは…ひでぇやられ方だな…」
圧倒的力に伸されたと言っても過言ではない状態だった。
アシェスは余りの悲惨な光景に思わず言葉が漏れた。
謁見の間の扉。
周りとは明らかに違和感を感じる。何故ならそこだけが傷一つ付いていることがなかったからだ。
アシェスが近づくと、扉は反応したかのように薄らと開いた。
まるで入れと誘うかのように。
「なんだろうな、この待遇の良さは」
捕らえ動きを封じることが目的ではなかったのか。
まるでここに来ることが分かっていたかのような待遇。
「ま、折角のお誘いだ。受けてやるとするか」
アシェスは畏怖することなく、堂々と扉を潜っていった。
「ようこそアシェス」
謁見の間に入るなり祝福の言葉を受ける。
玉座にはぐったりと力なく崩れたレイドの姿。その姿はまるで人形のよう。
隣には赤髪で長髪の男が立っている。華奢な体付きの割りに、鍛え上げられた締まった筋肉。
冷たい表情のまま目線だけこちらに向けていた。
もう一人、玉座の階段に腰掛けている眼鏡をかけた男はアシェスよく知る人物だった。
「…ジェスター」
「アハハ、よく来てくれたねアシェス!待ってたんだよ君を」
鋭い目付きながら彼は笑っていた。それははしゃぐ子供のように。
「これはてめぇの仕業か?」
アシェスは更に鋭い目付きでジェスターと赤髪の男を睨む。
「そんな怖い顔しないでくれよ…これはゲームなんだから」
「ゲームだと?寝呆けてんのかてめぇ」
「ああそうさ。驚いたろ?今日って日はさ、色々と」
「そうだな。お陰で最悪の寝覚めだったよ」
にやにやと浮かべる笑みだけは止みそうにない。
ジェスターは自慢とばかりに語りを止めない。
「実はさ、僕嫌いだったんだアシェスのこと」
「奇遇だな俺もだ」
あまり表情を変えないアシェスに苛立ちが募ってきたのか、ジェスターの顔色が少しばかり険しいものに変わる。




