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混沌とした眠りからの目覚め。
もはやいつものことだと、気にした様子もない。
「…忘れるもんかよ」
慣れたとはいえ、決して楽なものではなかった。
意図せずとも見させられる光景。何年と付き合ってきたのだろう。
もはや習慣だとしても、額からは少しばかりの脂汗が浮かんでいる。
辺りを見渡せば暗く石の壁に包まれた空間。
ローウェンスの地下牢だ。
仮眠のつもりだったはずが、いつしか深い眠りについてしまっていたらしい。
昨夜の疲れと今朝の騒動から眠りが浅かったのか。
意識をはっきりとさせるため、頭を何度か左右に振った。
「さて…どうするかな。時間がわからねぇってのも、ちょいと不便だ」
今が昼なのか夜なのか?
暗い地下の施設に居ては、肉眼で確認することもままならない。
石製のベッドから立ち上がり壁際に向かって呼び掛けた。
「ジェシカ?」
しばらく待ってみるが反応はなかった。眠っているのだろうか?
ならば今は夜ということなのだろう。
確かな確証はないが、規則正しく几帳面な彼女のことだ。眠っているのならば間違いはないと言える。
鉄格子を見てみると、そこには食事が置かれていた。
眠っていたためか、無造作に放り捨てられたようにトレイが置かれていたのだ。
大方牢屋番をしている魔導師が持ってきたのだろう。
体を起こしトレイを拾う。
見れば豆など一部の物が外へと散らばっていた。
「あ~あ…勿体ねぇ。なんてことしやがるあのクソ魔導師…」
アシェスはすぐにパンに噛りつく。
だが乾いているのか硬い様子。
「ま、食えるだけマシだな」
アシェスは冷め切ったそれらを全て胃の中へと納めていった。




