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―――ローウェンス地下牢。

壁すべてが剛魔石で造られており、脱獄など微塵も考えることも出来ないほどの厳重な体制が整われている。

更に高位の魔導師たちにより何重もの魔法コーティングが施されており、物理的には言うまでもないにしろ、魔力による破壊も容易ではないと言われている。

長い螺旋階段の先、地下深く地表より百メートル以上のところに牢は存在した。

そのため辺りは気温が低く、冷えて湿った空気が充満している。

まるで霧でも生まれそうな条件な場所。

罪人たちがその犯した犯罪によってフロア分けされており、アシェスは階層の一番深い場所に収容されていた。

それは即ち、最重要犯罪者の烙印を押されたということだ。


床に座り込み天を仰ぐ。

かちゃりと少し動くたびに鞘が石畳と重なり合って、静かな空間に響き渡る。

余程この地下牢という施設に自信があるのか、所持していた武器は取り上げられずその腰に携えられたままだ。

その事実に少しだけ不適な笑みを漏らす。


しばし何かを考えたあと、アシェスはすぐに別の思考を凝らしていた。

突如として現れた賊。

自分という名を語った輩の存在。

城を襲ったタイミング。

レイドの言っていた不穏分子。

これらが全て計画的だったというならば、代行者を狙っているということは間違いない。


頭を整理しなければならない。

考えるのにこの静けさは都合が良かった。


しかし惚けるような顔つきで天を見つめるアシェスに、見張りと思わしき一人の男が近づいてきた。


「なんだか知らねえが、とんでもないことをやらかしたようだな?」


魔導師のローブを身に付けた看守。

魔力に長けた牢屋番といったところだろう。

拘束されたアシェスに興味があるのか、男はにやにやと薄ら笑いを浮かべながらと更に声をかけた。


「代行者ねえ…そんな話すぐにゃ信じられないことだが、どうなんだよ?噂じゃ第三の姫がどうたらとか」


興味本位で質問だけを投げ掛ける。

だがアシェスは無視を続けた。

男を一瞥しただけで再び天を仰ぐ。


「なるほど…話に聞いてはいたがムカつく野郎だな。たかが剣に長けているというだけで、随分と偉そうな野郎だ」

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