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騎士たちは問答無用で武器を構えた。
アシェスは窓越しから横目で下を見下ろすと、宿全体も王宮警備隊によって囲まれている。
退路なし。
(なんの冗談だ…これは)
寝呆けているのだろうかと夢落ちを願ったが、どうやらこれは現実で間違いはない。
彼を襲う頭痛が現実を物語っている。
「で、俺は何の容疑をかけられてんだ?」
「まだシラを切る気か?…まあいい、貴様は国家機密を漏らした重罪人とのことだ」
(機密漏洩…。代行者のことが漏れたというのか?この…たった一晩で)
「昨夜城が襲われた。賊の侵入によってな。そいつは貴様を首謀者の一員だと言っていたそうだ」
「なんだと!?」
「貴様の連行は国王の意志だ。おとなしく従え!逆らうならば…」
部屋全体に光の刄がアシェスを取り囲む。魔導師たちが威嚇しているのだ。
いや、これは警告でも威嚇でもない、逆らうならばこの場で容赦なく殺すという真意。
アシェスは一つ息を吐くと、冷静に肩を下ろした。
「さあ、何処へでも連れていけよ」
降参を表したのか、両手を掲げ首を振った。
「…潔い判断だ。賢明だな」
騎士たちはアシェスを取り囲むように、数本の槍で檻の形を作る。それは逃亡防止の防衛策である。
「国王との間に何があったかは知らんが、とんでもないことをしてくれたものだ」
「……………」
一人の騎士が耳打ちのように呟く。
アシェスは目を瞑ったまま、何の言葉も発さなかった。




