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服装や旅に必要な物を携えているのを見れば、容易に気が付く。ディオはアシェスの返事を聞くと、照りつける太陽を細目で眺めた。


「私は貴方がこの国にずっと居てくれるものばかりと思ってましたよ。復讐…それはもう終わったのですから」


「……………」


「スフィア様はそれを望み、私もそれを望んでました。貴方が居ればローウェンスは安泰ですから。でも引き止められそうにはありませんね」


「悪いな、どうやら俺は放浪癖があるらしい。一つの場所に留まってなんて居られねぇんだ」


単純な嘘で誤魔化しておく。

今のディオならばこの程度の言葉でも、容易に納得しそうに思われた。


「それにこの国は…お前らの国だろ?悪いが、どのみち俺にゃ尽くす義理なんてねぇ」


「……………」


ディオは固まったように目を見張っていた。


「おい」


「…はぁ。さすがはアシェスさんですね。有無を言わせない無法者のようですよ」


「おおぃっ!そこまで言いやがるかてめぇ!」


「ははは、冗談ですよ。それでスフィア様にお別れくらいは言ってくれるのでしょうね?」


「ああ…これから向かうところだった。その途中にお前が待ち構えていたんだろが」


ディオはその言葉を聞くと安心したように腰を上げた。


「それでは私は仕事に戻るとしますか」


にかっと、似付かわしくない顔を浮かべ、アシェスに背を向ける。


「アシェスさん、今までありがとうございました。貴方のおかげで、私もスフィア様も、そしてレイド王も救われた」


「勝手に礼なんて言ってんじゃねぇよ。俺が俺のためにやった結果が、偶然そうなっただけだ」


「それでも一言、言っておきたかったのですよ。…では、お元気で」


「ああ、レイド王にもよろしく言っといてくれよ。それとな…」


アシェスはその背中越しに思ったままを言い放った。


「前に言った言葉を一部撤回しといてやるよ。案外、この国の王族は悪くねぇかもな…と」


ディオは振り返らずに、片手だけかざして答える。


「できればその言葉は、背後に居る方に言ってあげてください」


ディオはそう言い残し、喧騒が絶えぬ人込みの中へと消えていった。


「背後…?」


意味深な言葉にゆっくりと振り返ってみると、そこには見知った少女が立っていた。

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