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―――噴水広場
全身を鎧で固めた男が噴水の縁に腰掛けていた。
肩には王宮騎士のエムブレム。
前後を行き交う人々は、何やら物々しさを感じ、目を背けるように歩を速める。
なにせその男の顔は、無表情で怒りを抑えているような…そんな印象を感じさせたからだ。
両膝に両肘を乗せ、組んだ手の上に顎を乗せている。
どれだけそうやって待っていたのだろうか。
見据えた視線の先からはようやく待ち人が現れた。
「待ってましたよ」
「そうか?別に俺は待っててくれなんて頼んだ覚えはなかったはずだが」
目の前に立つ男のあまりのそっけない言葉に、顎先が手から滑り落ち、顔を大きく沈ませた。
「まったく…どうして貴方はそんなに無愛想なんだ…」
「あん?ほっとけよ!」
脈絡のない呆れた言葉に思わず突っ込んでしまう。
噴水に腰掛けているディオは、何故だか怒っているようにも思えた。
「何をそんなにピリピリしてやがんだ?」
「アシェスさん…貴方という人は…言わなきゃわからないのですかっ!?」
「…………。わかるわけねぇだろが」
顎に軽く手を添え、考える仕草をしたが、思いついた言葉はそんなものだった。
「はぁ…。あの事件、解決はしました。けれど、ジェスターさんに約束したはずでしょう?生きて帰る…と」
「あぁ…なるほどね。その件はもういいだろ?こうして生きてんだからよ」
「ん…。スフィア様が居たから助かったものの、あんなことは奇跡と呼べるものでしょう!貴方は生きろと言った…それがどうです!?」
(なるほど)
ディオの言わんとしていることはわかった。
アシェスは頬を掻きながら、一人納得する。
「あの場合はしょうがなかったんだよ。それにジェスターにもこっぴどく言われた…もう勘弁してくれ」
「まったく…やはり私には適いそうにありませんね」
過ぎたことと悪怯れた様子もない口調に呆れたのか、ディオは苦笑を零した。
「これから…また何処かへ行ってしまうのですね」
「ああ」




