表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/191

10





夜の庭園は人気があるわけがなく静まり返っていた。

広大な面積を誇っている庭園は、涼しげな風を万遍無く吹き抜けさせる。

花の香りが妙に鼻に付いた。

タイルでなく芝の絨毯に、アシェスはスフィアと並ぶようにして腰を下ろしていた。


「最近こうしてまともに会話するのは久しぶりだね」


「確かに二人で話すのは久しぶりだな。最近はジェスターとべったりだったが何をしてたんだ?」


「え…あ~」


こめかみ辺りを押さえながらスフィアはうめく。

誤魔化しているような挙動は、返答に迷っているようにも見えた。


「ま…別に俺にゃ関係ねぇけどな。言いたくねぇなら無理に言うな」


無理して話さずとも端から興味がないと言わんばかりに、ぶっきらぼうな答えが返ってくる。

本当に興味がない様子ですでに視線はあらぬ方向にある。

慌てふためくスフィアはすぐに言葉を選び、そして言葉を並べた。


「えと…勉強を教えてもらってたから。ほら!ジェスターさんって物知りだから、歴史や遺産の話とか」


「ああ、なるほど。あいつの知識は一応だが教師向きとも言えるからな。一般教養程度なら何でも知ってやがるし」


アシェスは言われて納得したのか何度も自分で頷いていた。


「ねぇ、アシェス?」


「ん?」


申し訳なさそうな表情を浮かべながら、遠慮がちにスフィアは言葉を発する。


「アシェスは…どうして戦うの?」


「えらく単刀直入な質問だな。掻い摘みすぎて話の要点が見えねぇんだが」


「んと…その…エルビスっていう男の人の…こと」


アシェスの瞳は一瞬見開いたようだったが、すぐにいつもの表情へと形を戻した。


「エルビスと戦う理由か」


「やっぱり…話したくないならいいよ。ごめんね、どうしても気になったから…」


アシェスの心境をすぐさま見透かしたように、スフィアは自ら話題を打ち切ろうとした。

が、アシェスは気分を害した様子はなく、口元を釣り上げながら腕枕をし芝に寝そべった。


「エルビスは…もうお前にとっても無関係な存在じゃないしな。話してやることは構わねぇ。ただ…気分が悪くなるかもしれん話だぞ」


「大丈夫…私はそれでも知りたい。アシェスがなんで戦うのか…どうしてそんな辛そうな顔をするのかが…」


しばらく会っていなかっただけだというのに、スフィアの顔はどこか吹っ切れた顔をしていた。

出会った頃のような無垢なものではない、自分の立場を理解した大人の表情。

自分の身の振り方を決断したような、そんな顔。

アシェスはしばらく静観した後、一息吐いてゆっくりと口を開いた。


「…ラズトリーって村は知ってるか?」


目を瞑り、一息ついたアシェスは静かに語りだした。


「ラズトリー?聞いたことがない名前…」


「だろうな。どうせ辺鄙で小さな村だったし、有名でもなんでもなかったところだ。だが、ラズトリーは存在自体が世界から抹消されてしまった」


「抹消って…無くなっちゃったってこと?」


「そういうことだ。ま、正確には村人が奇病によって全滅…滅びたから、地図から消された…ってことになってる。表向きはな…」


含んだ言い方はどこかトゲがあった。

アシェスは唇を噛む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ