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「あ~もう…アシェスってとことん自分を曲げないんだもん」
「まあようやく、スフィアさんもわかってきたみたいですね」
頬を膨らませているスフィアを宥めるように、世辞めいた言葉をジェスターは放った。
「でもいいや、ごめんねアシェス。あんまりしつこいと嫌われちゃうから、もう何も聞かないよ」
舌を出してスフィアは軽く謝る。
昨日別れたあと彼女は少し変わった。
ジェスターは何も言わなかったが、弱気な態度は影を潜めているとアシェスは実感していた。
「…今は飯時だ。こんな時には尚更コイツは外せねぇんだよ」
「えっ…」
不機嫌そうにアシェスは言ったが、それはスフィアを驚かせた。
「後悔しねぇってんなら、後で外してやるよ」
「アシェス、どういう風の吹き回しだい?」
スフィアに聞こえないような小声でジェスターは囁く。
「さぁな。お前の言う逃げるってやつから踏み止まる決心でもついたんだろ」
自分のことなはずなのだが、まるで他人のことのようにアシェスは返した。
「そっか」
それだけですべてを悟ったように、ジェスターは視線をスフィアへと戻した。
もう問いは必要ないというように。
「アシェスもこう言ったことだし、今は朝食をおいしくいただきましょう」
「あ、うん」
スフィアもそれ以上野暮な話を突っ込む真似はせず、和やかな雰囲気のなか食事の時間は過ぎていった。




