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対魔導師において、攻撃を受けることはそれだけで致命傷になりかねない。

いかにしてその隙を突くことが出来るか。

それがアシェスが見いだした戦い方の一つである。


「物理的な…岩とかを用いた魔法ならば武器で叩き落とすことも可能だが、元素の力を用いたモンは俺たちにゃどうしようもねぇ」


「魔導師が強いと言われる由縁はそこであるな。相手を寄せ付けず敵を倒す。それだけに近距離攻撃に慣れていない者が多く、懐へと入られれば簡単に倒される弱い弱点もある」


レイドもそういった経験があるのか、自分のことのように語った。


「魔法は確かに厄介だ。が、当たらなければ消耗が激しいのは魔導師の方だ。隙が見いだせないのならば、消耗を待つのも手ではある。勿論体力と反射神経に自信のあるやつしか使えない手だがな」


魔導師の肉体的限界は早い、器が大きいものほどそれは多く体力を奪う。

心技体、この三つが備わっていなければ強い存在でもないのが魔導師でもある。


「しかし、俺でさえどうしようもないことがある」


ため息混じりな声で言うアシェスにも、解消が出来ない弱点があった。


「それが精神攻撃…ですね」


「ああ、お前らにもやられたよな?危うくやられるかもしんねぇトコだったがな」


スフィアを捜索に来たディオが、おびき出す為にアシェスの身を封じたときのことだ。

魔力を感知出来ない体に生まれた人間は、耐性を付けることがままならない。

それだけに戦闘でそれを行なわれた場合、そのまま死に直面することも数多い。

強靱な精神力で抗えば打ち破れることも可能だが、戦場で多人数相手に精神攻撃を受けた場合、一瞬でも動きを封じられればそれは死したも同然。


多数の魔導師と戦うというのは、それだけで分が悪く厳しいものである。


「精神支配だけはどうしても足枷になっちまう。二つの力を同時には使えないことから、一対一ならば使われることもないが、多数相手にゃ厳しいな」


普段単独でいるのが当たり前と言われる魔導師。たが、今度の敵は複数…いや未知とも言える。

それだけに精神支配を受ける危険性も高い。


「対処法はないのですよね…こればかりは」


「対象から見えない位置からの精神魔法は使えない。だからそれなりに使う魔導師のほうもリスクはある。隠れられる場所などもあれば回避は可能だが、背後からやられたらどうしようもねぇな」


「難しいところですね」


「だが鍛えれば多少免疫は付けられる。しかし協力してくれるような魔導師なんざ普通はいなねぇからな。プライドの高い魔導師ってのは、凡人をゴミ扱いしやがることばかりでそんな助力はなかなか得られないだろう」


魔導師のプライド。

それは昔から引き継がれてきた遺伝子。

貧乏人と金持ち。凡人と天才。

素養があれば力を手にし、なければただ堕ちるだけ。

そんな格差を生んでいた要因は、しっかりと現代にも引き継がれている。

誇り高きヴェルナンと呼ばれた魔導を極めた民の血。


「だからな、正直驚いてる部分もあるんだ。お前とレイド王のように…な」


「うむ…、確かに魔導師は腹黒く、他者を蹴落としてでも強大であろうとするのが常。だが、私はそれを快くは思えない。人は人、生きるものに差別など必要はないのだ」


「レイド王…」


(ま…ディオがこの国王に肩入れするのもわからんでもねぇな)


ディオとレイド、アシェスとジェスターのように、中には魔導師でも繋がれる人間がいる。

世界は根底まで腐りきってはいない、アシェスはそんなことを浮かべた。


「話を戻すが、精神系を鍛えたければジェスターに頼め。あいつなら協力してくれるさ」


これからの戦いは強力な魔導師相手。自分の弱点となる部分を強化する必要性も視野に入れ、アシェスは言葉を発した。


「ただ、本気で魔導師と戦いたいならな」


アシェスはらしくない咳払いを一つ吐した後、厳しく引き締まった顔を向け言った。


「お前、大剣は捨てろ」


その一言は、息巻くディオの顔を醜くく歪ませるのに十分なものだった。

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