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すがるような面持ちでようやくディオは顔を上げた。
だがそこには険しい顔をあらわにしたレイドの顔がある。
「信念、意志、意地…お前は気持ちですでに負けているのだよ。魔導師と剣士、その違いの所為にして、気持ちですでに負けていなかったと言えるか?」
レイドの言葉にはっと目を凝らす。
「裏をかかれ成すすべもなく無残にやられた私もお前と同じだが、それでも私には守らねばならぬものがある。あのような失態で気を落としてなどいられようか!」
「レイド王…私は…」
レイドはディオの言葉を聞かず、アシェスにへと視線を移す。
そこにはディオを叱咤したような威厳はなく、萎縮したような面持ち。
「アシェス、すまぬが、ディオにも魔導師と戦うすべを教えてやってくれ」
「やれやれ…そう言うことか」
このタイミングでディオを呼び出したからには、理由があるに決まっていた。
レイドにとってディオはそれほど大切な人間なのだろう。
どうしてもこの男を蘇らせたかったのか、老体も王だけありやはり策士でもある。
「そりゃ構わんが、あくまでも教えるだけだ。実戦でそれを試せるかは、コイツの実力しだいだろう」
「ありがとう…ございます!」
汚名挽回への足掛かり。
ディオの顔には覇気が再び戻っていた。
アシェスはすぐにディオの前に立ち言葉を交わす。
「魔導師との戦いそれは隙の突き合いでもある。これは戦いすべてに言えることでもあるし、お前だって当たり前と思っているはずだ。なら近付けない魔導師に近づくにゃ、どうすりゃいいかわかるか?」
質問のような形でアシェスはそれをディオにぶつける。
「魔法を放つ隙を狙う…でしょうか?」
「違う。それだとリスクが大きいだろ?いかにして安全に懐へと飛び込むか。魔法にゃ物質を使ったもの、元素をそのまま用いたもの、精神系の三種類がある」
「さすが詳しいな」
レイドの横槍にも軽く頷くだけで返す。
「剣や槍などの武器は、切っ先の一点を凝視してその軌道をかわすことも出来れば、腕の動きそのものから予測だって出来る。しかし、拡散したり地や空から視覚から放たれる魔法に対して、対象を攻めるのは至難だ。通常ならかわすだけで攻撃には移ることはほとんど出来ないだろう。それに動き回れば体力だって格段に奪われる」
「確かに…私はかわすことさえ出来なかった」
ディオは成すすべなく魔法の攻撃を受けるだけで、いとも容易く倒れてしまった自分を思い出した。
「なら魔法を使う直前を狙えば良い。どんな魔導師にも魔力を吸収・蓄積し、構成式を浮かべるのにタイムラグが発生するんだ。この三原則は極まったヤツほどそれは短いモンだが、必ず隙は生まれる」
「そこが…隙…」
「攻撃をかわすんじゃねぇ、魔導師には魔法を撃たせるな…だ」




