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エルビスもまた魔導師。
対魔導師で遅れを取らないのは、そこからの流れである。
「そういやここの魔導師の連中。あんたはどうやって飼い慣らしてんだ?いくら魔法国家ったって、こんだけ統率されてんのは王都くらいしか評判は聞かねぇからな」
「ローウェンスの魔導師も確かに野心家も多く縛る事は難しい。だがここに集まるものは家庭を持っている者が多いのだよ。だからこそ私は国を裕福にし家族を守ることで、彼らに働いて貰っている」
「なるほど…そういうわけか。さすがに考えられてんだな」
「今度はこちらからの質問だ。そなたはどうやってあの凶悪な魔導師と渡り合ったのだ?ハースと言ったな…私にはそれがわからぬ」
「あん?そんなもん…」
「しばし待て。…ディオは居るか!?」
言いかけたところで気付いたように、レイドは何故かディオを呼び出す。
「は…ここに」
扉の向こう、王室の入り口で待機していたようだ。心なしか覇気のない声色が小さく響く。
アシェスが着たときは出会わなかったが、今そこに居るというのはなんとも神出鬼没である。
「…入りなさい」
「はい」
レイドの言葉に従い、ディオは姿を現わした。
扉を潜ってきた足取りは重く、まだ立ち直れていない様子。
その表情は見ているだけで、精気が吸い取られてしまうような気さえした。
あまりの覇気のない顔に、レイドの表情も曇る。
「相変わらず不景気そうな顔してやがんな…。お前の隊の指揮が下がるぞ」
「すみません…」
皮肉った言葉さえ馬鹿正直に受け取るこの男は、もはや重症とも呼べる状態だった。
「で、なんでコイツを呼んだんだよ?今のこの男にゃ会話するだけ無駄だろう」
「だから、だ」
「あん?」
レイドは痛む体を起こし、ディオへと向けた。
「ディオ、今のお前は自信を失ってしまっているな?」
「…………」
ディオはレイドの言葉から逃れるように下を向いた。顔向け出来ないと言ったところか。
「魔導師との戦闘。それは魔力を持たぬから負けた…とでも思っているのか?」
「…いえ、自分の力不足…です」
唇を噛み締めているその表情は苦痛に満ちていた。
「だがアシェスはあの者たちを退けた。では自分とは何が違うと考える?」
「それは…力の差…かと思います。アシェスさん…とは手合せしたときにも思いましたが、その差は雲泥…といったものでした」
ディオの返した答えに、レイドは首を振った。
「違うな」
「では…何なのですか…?」




