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種馬ズ  作者: 雪だるま
第一章

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7

バラエティ番組

『芸能人ぶっちゃけ観察室SP』。


最近売れ始めた若手芸能人を集め、

“素顔”を掘り下げる系の番組である。


そして今日の目玉。


テロップが派手に表示されていた。


【話題のラブコメカップル再集結!】


スタジオ歓声。


「おおおお!!」


「きたーーー!!」


「焼きそばエンジェル!!」


照明の中を歩いてくる二人。


一人は、

すっかり売れっ子オーラを纏い始めた長身男。


佐藤レイ。


そして隣。


白いワンピース。


ふわふわ巻き髪。


透明感メイク。


清楚系笑顔。


今まさに“次世代清純派ヒロイン”として爆発的人気を得ている新人女優――


白鳥ミレイ。


19歳。


恋する♡焼きそばエンジェルのヒロイン役。


現在、

CM・雑誌・ドラマ出演依頼が殺到中。


世間からのイメージは、


「守ってあげたい系」

「ピュア」

「天使」

「令和の清純派」


だが。


レイは知っていた。


こいつ普通に性格悪い。


撮影中、

笑顔でレイの足を踏んでいた。


しかもヒールで。


「レイ君♡台本ちゃんと読んでね♡」


グリッ。


「のだぁ!?!?痛いのだぁ!?!?」


「ふふっ♡」


カメラ外ではそんな感じだった。


だがレイも芸能人である。


しかも小心者。


だから絶対に暴露しない。


怖いから。


芸能界で敵を作りたくない。


そのため現在。


「いやぁ〜〜♡」


レイはニコニコしていた。


「ミレイちゃん久しぶりなのだぁ♡」


「久しぶり〜♡レイ君♡」


二人とも笑顔。


完璧な営業スマイル。


司会者が興奮気味に言う。


「いや〜!この二人本当に人気だよね!」


「ありがとうございます♡」


ミレイが完璧な角度で微笑む。


本当にプロである。


笑顔が強い。


テレビ映えも強い。


レイは内心思っていた。


(怖いのだぁ……)


何故なら。


ミレイは“陽キャメンヘラ”だった。


情緒が不安定。


テンションが高い。


急に不機嫌。


急に甘える。


急に病む。


しかも全部可愛くやる。


芸能界向きすぎる女である。


司会者が聞く。


「ドラマ撮影どうだった?」


「のだぁ〜〜」


レイは遠い目をした。


「大変だったのだぁ」


「レイ君、現場でよく怒られてたよね♡」


ミレイがニコニコしながら言った。


「のだっ!?!?」


「台詞飛ばしたり♡」


「それはぁ……」


「告白シーンで焼きそば食べ始めたり♡」


「役作りなのだぁ!」


「キスシーンで笑ったり♡」


「だって緊張したのだぁ!!」


スタジオ爆笑。


ミレイは上品に笑っていた。


だが。


レイは知っている。


こいつ今めちゃくちゃ楽しそうである。


人を追い込む時にテンション上がるタイプなのだ。


司会者が笑う。


「でも二人仲良かったよね?」


一瞬。


レイとミレイの目が合った。


ミレイがにっこり笑う。


怖い笑顔だった。


「仲良かったよねぇ?♡」


圧。


レイは秒速で頷いた。


「のだぁ!!超仲良しなのだぁ!!」


「ほんとぉ?♡」


「楽屋でもいっぱい喋ったのだぁ!!」


「へぇ〜〜♡」


(怖いのだぁ……)


レイは笑顔を維持しながら冷や汗をかいていた。


何故なら。


この女。


昔、

レイが「その髪型ちょっと変なのだぁ」と軽く言っただけで、


三時間既読無視された後、

夜中二時に長文LINEを送ってきた。


しかも最後が、


『別に傷ついてないけど』


で締められていた。


怖すぎる。


司会者がミレイに聞く。


「レイ君ってどんな人?」


ミレイは少し考えるフリをした。


そして。


「ん〜〜♡」


ニコッ。


「大型犬みたい♡」


「おお〜!」


「うるさいし落ち着きないし♡」


「のだぁ!?」


「でもなんか憎めない♡」


観客歓声。


レイはちょっと嬉しそうだった。


「のだっ♡」


単純である。


だが。


ミレイは続けた。


「あと意外と小心者だよね♡」


空気が止まった。


レイが固まる。


「え?」


「社長さん来ると急に静かになるし♡」


「のだぁ!?」


「あとスタッフさんに“これ怒られないかなぁ……”って確認してるの見たことある♡」


「やめるのだぁ!!!」


スタジオ爆笑。


レイは顔を真っ赤にしていた。


「営業妨害なのだぁ!!」


「かわいい〜♡」


ミレイは笑っていた。


完全に遊んでいる。


レイは理解していた。


(こいつ吾輩で遊んでるのだぁ……)


だが反撃はしない。


怖いから。


司会者がさらに聞く。


「逆にミレイちゃんってどんな子?」


その瞬間。


レイの脳内で大量の記憶が蘇った。


『レイ君、それ私のメイク崩れたらどうしてくれるの?♡』


グリッ。


『ちゃんと立ち位置覚えて♡』


グリグリ。


『ふふっ♡』


踏むな。


だが。


レイは芸能人である。


空気を読む。


敵を作らない。


そのため。


「のだぁ……」


真顔で答えた。


「優しいのだぁ」


ミレイが吹き出しそうになる。


「へぇ〜〜?♡」


「清純派なのだぁ」


「ふふっ♡」


「天使なのだぁ」


「ふふふっ♡」


ミレイは肩を震わせていた。


絶対面白がってる。


司会者は感動していた。


「いい関係だねぇ〜!」


レイは引きつった笑顔だった。


その時。


観客席から、


「付き合ってーーー!!」


という声。


スタジオが盛り上がる。


ミレイは笑った。


「どうする〜?♡レイ君♡」


圧。


完全に振ってきている。


レイは一瞬固まった。


だが。


芸能人スイッチ発動。


「のだぁ〜〜♡」


営業スマイル。


「吾輩ぁ〜♡ミレイちゃんみたいな可愛い子と付き合えたら毎日焼きそば食べるのだぁ♡」


歓声。


拍手。


完璧な返し。


だが。


ミレイはニコニコしながら、

机の下でレイの足を踏んだ。


グリッ。


「のだぁああああ!?!?!?」


「どうしたの!?」


「な、なんでもないのだぁ……」


ミレイは微笑んでいた。


完璧な清純派の笑顔で。


「ふふっ♡」

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