49 成金社長回
深夜十一時。港区。会員制高級レストラン最上階。
大門剛志は上機嫌だった。
理由。
単純。
種馬ズのドーム追加公演がまた埋まった。
レイ主演ドラマの配信契約も増えた。
『勝ち馬が憎い』はまだランキング上位。
つまり。
金。
めちゃくちゃ入ってきている。
「がっはっはっはっ!!」
社長室でもそうだが、この男は酒が入るとさらにうるさい。
高級ソファ席。シャンパン。夜景。美女。
芸能界っぽいもの全部詰め込んだような空間だった。
その横。
二十代モデル風美女が腕を絡めてくる。
「社長ぉ〜♡」
「ん〜?」
「最近また稼いでるんですかぁ♡」
社長はニヤァと笑った。
「いや〜〜」
ワインを揺らす。
「レイがまた働いてるからな!!」
最低。
だが事実。
愛人たちは笑う。
「レイくん可哀想〜♡」
「でも社長すごぉい♡」
「そうだろぉ?」
社長は完全に気分が良かった。
この男、金を使う時に一切躊躇がない。
しかも。
“女に金を使うのが好き”。
成金としてかなり完成度が高い。
「のだぁぁぁぁ!!」
レイの叫び声が頭に浮かぶ。
社長爆笑。
「がっはっはっ!!あいつまた働かせるか!!」
愛人たちも笑う。
「社長ほんと楽しそう♡」
「人生楽しんだもん勝ちだからな!!」
そして。
ポン。
社長、カードを出した。
「好きなの頼め」
空気変わる。
愛人たち。
「えっ♡」
「ほんとですかぁ!?」
「今日は機嫌いいからな!!」
そこからだった。
キャビア。
シャンパン。
高級寿司。
ワイン。
肉。
全部追加。
しかも社長、自分はそんな食べない。
女が喜んでるのを見るのが好き。
完全に昭和成金。
「社長ぉ〜〜♡」
「これ欲しかったんですぅ♡」
スマホ画面。
ブランドバッグ。
数百万。
社長。
チラッ。
「買え買え」
「きゃーーー♡」
「社長大好きぃ♡」
「だろぉ!?」
雑。
だが。
金払いが良すぎる。
そして。
妙に女慣れしている。
「女は笑ってるのが一番いいんだよ!」
「社長かっこい〜〜♡」
「だろぉ!?」
かなり単純。
だが。
実際モテる。
何故なら。
・金ある
・楽しそう
・ケチじゃない
・女に夢見させる
・機嫌いい時は本当に羽振りいい
典型的成金。
その後。
銀座。
高級ブランド店。
閉店後貸切。
店員たち。
超低姿勢。
「大門様、本日はありがとうございます」
「おう」
社長。
酒入ってる。
機嫌最高潮。
愛人たち、
目キラキラ。
「かわいぃ〜〜♡」
「これ欲しかったんですぅ♡」
「似合う似合う!」
「買え買え!」
「きゃあああ♡」
財布壊れてる。
しかも。
社長。
“選ばせる”のが好き。
「遠慮すんなって!」
「えぇ〜〜でもぉ♡」
「いいから持て持て!」
完全に祭り。
店員たちも笑顔。
そりゃそう。
一晩で数千万。
しかも社長、
買い物中ずっと上機嫌。
「いや〜〜!」
時計コーナー見ながら笑う。
「種馬ズ売れてからほんと人生楽しいな!!」
愛人が甘える。
「社長が凄いんですよぉ♡」
「まあな!!」
実際。
この男。
人生ずっとこんな感じで生きてきた。
ノリ。
勢い。
運。
そして時々当たる。
その“時々”がデカすぎる。
現在。
芸能界勝ち組。
しかも本人。
努力家タイプではない。
だから余計に胡散臭い。
高級ジュエリー前。
愛人の一人が遠慮気味に言う。
「でもこんな高いの悪いですよぉ……」
社長。
真顔。
「何言ってんだ」
「えっ?」
「女に金使うために男は稼ぐんだろ」
静止。
店員たち。
(うわぁ……)
昭和。
めちゃくちゃ昭和。
だが。
刺さる女には刺さる。
愛人、
完全に目がハート。
「社長ぉぉぉ♡」
抱きつく。
社長、
満足そう。
「がっはっはっ!!」
その時。
スマホ通知。
レイ。
『のだぁぁぁ!!また映画化増えたのだぁぁぁ!!』
社長。
吹き出す。
「がっはっはっはっ!!」
愛人たち。
「どうしたんですかぁ?」
「レイがまた働かされてる!!」
最低。
だが楽しそう。
そして社長は笑いながらカードを切る。
「今日は祝いだ!!」
「もっと買え!!」
「きゃあああ♡」
深夜の銀座。
ブランド店。
そこには。
働きまくるアイドルを燃料に、
美女たちへ札束を撒き散らす胡散臭い成金男がいた。
しかも本人は、本気で人生を楽しんでいた。




