表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種馬ズ  作者: 雪だるま
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/59

36

金曜午前十時。


スターライト・クリエイティブ。


空気が騒がしかった。


社員たちが走っている。


電話。


モニター。


SNS分析。


配信サイト。


全部が動いていた。


理由。


種馬ズ新曲。


『勝ち馬が憎い』


配信+CD+DL合算。


初動八十万突破。


今の時代。


異常。


完全に異常。


「え、八十!?」


「やばい!!」


「配信強すぎる!!」


「TikTok回ってる!!」


「サブスクも爆速!!」


「また社会人に刺さってる!!」


社内。


半分祭り。


半分パニック。


今のアイドル業界。


ミリオンなんてほぼ伝説。


配信時代。


CD文化も変化。


その中で。


八十万。


しかも。


曲内容。


【恋人を勝ち組男に取られた男の恨み節】


終わっている。


なのに。


めちゃくちゃ売れている。



テレビ局。


音楽番組会議。


「また種馬ズです」


「強いなぁ……」


「今回歌詞かなり暗いですよね?」


「でも共感されてる」


「SNSで“今の時代の敗者男性ソング”って言われてます」


「なんでそれがアイドルで成立するんだ」


誰にも分からない。


だが。


確かに数字が出ている。



SNS。


『勝ち馬が憎い』


トレンド独占。


『歌詞しんどい』


『妙にリアル』


『サビで泣いた』


『レイの“取られたのだぁ〜〜♩”で笑うのに泣ける』


『なんで種馬ズって生活感あるの』


『既婚女性に刺さりすぎる』


『元彼思い出した』


地獄みたいな感想欄。



その頃。


種馬ズ楽屋。


「80なのだぁ!?」


レイ。


目を剥いていた。


「80万なのだぁあああ!!!」


「落ち着け」


黒崎はまだ冷静。


だが。


普通に嬉しい。


何故なら。


この数字。


今の時代本当に強い。


しかも。


曲がかなり攻めていた。


最初。


社内会議でも揉めた。


『勝ち馬が憎い』


タイトルから終わっている。


歌詞もかなり湿度高い。


しかも。


アイドルソングなのに、

キラキラ感がほぼない。


だが。


社長。


酔ってGOした。


「今の時代こういうの刺さる!!」


結果。


刺さった。


めちゃくちゃ刺さった。



ハルはスマホを見ながら驚いていた。


「すごーーい!!」


神谷も少し驚いている。


「……ここまで行くとは思わなかった」


黒崎が頷く。


「口コミ強かったな」


実際。


今回。


SNSで異様に伸びた。


特にサビ。



【レイ】


のだぁ〜〜♩

勝ち馬ばっか選びやがってぇ〜〜♩


吾輩の三年返せなのだぁ〜〜♩



ここ。


何故か大バズり。


「情けないのに妙に分かる」


「情緒壊れる」


「レイの声で聞くと生々しい」


と、

刺さってしまった。



そして。


レイ本人。


現在。


別方向で興奮していた。


「のだぁ……」


スマホ。


真顔。


「初回限定盤プレミア化してるのだぁ♡」


「始まった」


黒崎が頭を抱える。


レイの目がギラギラしている。


「市場が熱いのだぁ♡」


「お前ほんとそれしかないの?」


「80万なのだぁ!?」


「うん」


「絶対高騰するのだぁ♡」


「感動の方向おかしい」


レイは立ち上がった。


「今のうちにぃ!!!」


「嫌な予感」


「自宅保管してた初回盤をぉ!!!」


「やめろ!!」


完全に転売脳。


だが。


その横。


黒崎は少し静かだった。


「……嬉しいな」


ハルも頷く。


「うん!」


神谷もボソッ。


「……売れるとやっぱ安心する」


その空気だけは、

妙にリアルだった。


アイドル。


人気商売。


数字が出ると安心する。


出ないと怖い。


種馬ズも同じ。


ふざけていても、

ちゃんと数字に怯えている。



その頃。


音楽評論家界隈。


少しザワついていた。


『種馬ズ現象』


「今の時代珍しい“生活臭アイドル”」


「敗北感情をここまで真正面から歌う男性アイドルは珍しい」


「勝者ではなく“負け犬側”の視点」


「それを超イケメン集団が歌う異常性」


真面目に分析され始めていた。


だが。


社長。


高級ソファ。


酒。


愛人。


「がっはっはっはっ!!!」


全部笑っていた。


「“勝ち馬が憎い”で80万かよ!!」


愛人たちも笑う。


「社長天才ですぅ♡」


「いや〜〜」


社長、

上機嫌。


「酔って元カノ思い出して書いただけなんだけどな!!」


最低。


だが。


売れている。



夜。


音楽番組生出演。


司会者も興奮していた。


「80万おめでとうございます!!」


歓声。


拍手。


レイ、

ドヤ顔。


「のだっ♡」


司会者笑う。


「今回かなり刺さってますよね!」


黒崎が答える。


「ありがとうございます」


「“勝ち馬ばっか選びやがって”って歌詞すごい」


観客笑い。


レイ。


真顔。


「現実なのだぁ」


「重い!!」


スタジオ爆笑。


ハルが笑いながら言う。


「でもなんか分かるんだよね〜!」


神谷も静かに頷く。


「……情けない感情って共感される」


司会者が感心する。


「種馬ズって本当に不思議だよね」


「のだっ♡」


レイ。


ニヤァ。


「勝ち組じゃなくても生きてていいのだぁ♡」


歓声。


拍手。


ちょっと感動空気。


だが。


次の瞬間。


「でもグッズは買うのだぁ♡」


「台無し!!」


スタジオ大爆笑。


そして。


放送後。


『勝ち馬が憎い』


さらにDLが伸びた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ