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種馬ズ  作者: 雪だるま
第一章

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39/57

35 レイのファン回

種馬ズ。


今や国民的人気グループ。


その中でも。


佐藤レイ。


人気の熱量がちょっとおかしかった。


普通のアイドルファン。


もちろんいる。


「顔が好き」


「歌好き」


「面白い」


「スタイルいい」


健全。


だが。


問題はその先。


“濃いファン”。


いや。


もはや。


崇拝者。


最近では事務所スタッフすら、

少し怯えていた。



SNS。


深夜二時。


レイ関連タグ。


動き続けている。


『レイ様今日も尊い』


『レイの寝癖=芸術』


『レイがコンビニ入った世界線に感謝』


『人類はレイに餌代を払う義務がある』


『レイが呼吸してる』


『ありがとうございます』


宗教だった。


しかも。


本人が変なせいで、

ファン側もどんどん感覚が壊れていく。



都内カフェ。


飼い主オフ会。


机の上。


レイグッズ。


大量。


「この初期うちわさぁ……」


「201円時代のやつ?」


「そう」


「今60万」


「安い」


「感覚壊れてるって」


だが。


全員真顔。


しかも。


一部ファン。


本当にレイを“存在そのもの”として崇め始めていた。


「最近仕事つらくてさぁ……」


「うん」


「でもレイが“働きたくないのだぁ♡”って言ってる動画見たら頑張れた」


「分かる」


「レイって人間の弱さ肯定してくれるよね」


「分かる」


「でも顔は超絶イケメンなの意味分かんない」


「分かる」


完全に情緒が握られている。



一方。


現場。


レイ。


「のだぁ〜〜」


眠そう。


今日も番宣。


だが。


移動中。


道路向こう。


ファン。


普通に泣いていた。


「レイーーー!!!」


「今日も生きててくれてありがとーーー!!!」


レイ、

ビクッ。


「のだぁ!?」


スタッフ慣れている。


「最近ああいうの多い」


実際。


レイファン。


熱量が異常。


何故か。


人生を救われた扱いされ始めている。


本人。


転売大好き。


俗物。


小物。


なのに。


「無理して完璧ぶらない感じが救い」


とか言われている。


レイ本人は全然そんなつもりない。


ただ怠惰なだけ。



地方空港。


出待ち。


女性ファン。


レイを見た瞬間。


「うっ……」


泣く。


「のだぁ!?」


「レイが……いるぅ……」


「いるのだぁ」


「本当に存在してるぅ……」


「してるのだぁ」


「人間なのぉ……?」


「一応なのだぁ」


周囲スタッフ、

もう止めない。


慣れた。


しかも。


レイ。


変にファン対応だけは悪くない。


媚び体質なので、

好意を向けられると反射的に愛想が良い。


「寒いのだぁ?」


「う、うん……」


「風邪引くなのだぁ〜〜」


ファン。


崩壊。


「優しいぃぃぃ!!!」


神格化加速。


最悪。



最近では。


レイ語録アカウントまで存在した。


『市場が熱いのだぁ♡』


『働きたくないのだぁ♡』


『靴を舐めるのだぁ♡』


『責任は嫌なのだぁ♡』


フォロワー数。


数十万。


意味不明。


しかも。


一部ファン。


本当に人生指針にし始めている。


「レイって本音で生きてるよね」


「分かる」


「人間臭い」


「弱さ隠さないの好き」


「でも顔が強すぎる」


そこだった。


結局。


超絶イケメンなのに、

言ってることが終わってる。


そのギャップで脳を焼かれている。



楽屋。


黒崎がスマホを見る。


「……またトレンド入ってる」


神谷も覗く。


『#レイ教』


静止。


ハル。


「えぇ!?」


レイ。


「のだぁ?」


黒崎、

頭抱える。


「お前のファン本当に怖い」


レイは真顔。


「人気者なのだぁ♡」


「そういうレベルじゃない」


実際。


最近のレイファン。


熱量が宗教。


ライブ。


レイ登場だけで泣く。


MCで泣く。


変な発言で泣く。


転売発言でさえ、

「レイらしい」と感動する。


もう何をしても肯定される。


危険。


かなり危険。



ライブ会場。


レイ。


「のだぁ〜〜♡」


歓声。


「今日も可愛いのだぁ?」


「かわいいーーーー!!!」


「世界一なのだぁ?」


「世界一ーーーー!!!」


「餌代持ってきたのだぁ?」


「持ってきたーーーー!!!」


宗教だった。


完全に。


しかも。


レイ本人も、

ちょっと気持ちよくなっている。


「のだっ♡」


ドヤ顔。


「飼い主たちは優秀なのだぁ♡」


「レイーーーー!!!」


「今日も吾輩を養うのだぁ♡」


「養うーーーー!!!」


黒崎、

横で真顔。


(終わってる……)


だが。


ライブ後。


スタッフルーム。


新人スタッフが震えていた。


「レイさん人気やばくないですか……」


田村が遠い目。


「最近もう崇拝に近い」


「怖……」


「本人が俗っぽいから逆に依存されやすいんだよ」


実際。


完璧超人ではない。


弱音吐く。


怠ける。


怖がる。


媚びる。


俗物。


だから。


「自分でも好きになっていい」


と思わせる。


そこへ。


顔。


スタイル。


カリスマ。


ライブの熱量。


全部乗る。


結果。


化け物みたいな熱狂が生まれた。



その頃。


レイ本人。


ソファで寝転がりながら、

自分のファンアートを見ていた。


「のだぁ〜〜♡」


ニヤニヤ。


「吾輩、神みたいなのだぁ♡」


黒崎。


「調子乗るな」


レイは真顔だった。


「でもぉ」


「うん」


「実際かなり崇拝されてるのだぁ♡」


「否定できねえのが腹立つ」


その瞬間。


レイのスマホ通知。


『レイ様の使ったコンビニ箸 3万円』


静止。


レイ。


「のだぁ!?」


目が光る。


「市場が壊れてるのだぁ♡」


黒崎、

絶望。


「もう終わりだこのグループ……」

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