表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種馬ズ  作者: 雪だるま
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/57

20

最終話放送翌朝。


テレビ局。


芸能事務所。


スポンサー企業。


広告代理店。


全部。


祭りだった。


モニターに表示される数字。


【最終話視聴率 38.0%】


空気が一瞬止まり。


次の瞬間。


「うおおおおおおお!!!」


拍手。


歓声。


ガッツポーズ。


制作スタッフが抱き合っていた。


「38!!」


「やばい!!」


「平成か!?」


「今令和だぞ!?」


「化け物だろ!!」


途中、

何度か視聴率は上下した。


中盤で少し落ちた。


SNSで脚本が叩かれた回もあった。


「キャラ増やしすぎ」


「情報量多い」


「レイまた変なアドリブしてる」


など言われた。


だが。


戻った。


何故か戻った。


しかも最終回でさらに上がった。


局総力戦。


若手美少女大量投入。


宣伝地獄。


SNS祭り。


そして。


レイという“なんか気になる男”。


全部噛み合った。


結果。


38%。


局上層部は完全に脳を焼かれていた。


「続編やるぞ」


「映画化だ」


「スピンオフも」


「配信独占も取れる」


「今のうちに囲え!!」


完全に戦争。


その頃。


主演。


佐藤レイ。


「のだっ♡」


超笑顔。


「祝賀会ですのだぁ?」


プロデューサーもニコニコだった。


「もちろん!」


「行きますのだぁ♡」


「今日は主役だからな!」


「のだっ♡」


レイ、

完全にご機嫌。


だが。


次の瞬間。


ピコン。


スマホ通知。


レイの動きが止まる。


数秒。


真顔。


そして。


「のだぁああああああああ!!!」


絶叫。


「どうした!?」


「今吾輩の古いグッズが100万円で引き落とされたのだぁあああ!!!」


静止。


空気停止。


プロデューサーが固まる。


田村が頭を抱える。


レイは震えていた。


感動で。


「100なのだぁ……」


「お前……」


「六年前の初期チェキなのだぁ……」


「お前売ったの!?」


「売ったのだぁ♡」


「本当に売ったのかよ!!」


レイはスマホを抱きしめた。


「努力が実ったのだぁ……」


「何の努力だよ」


「芸能活動なのだぁ♡」


最低だった。


だが。


本人は本気で感動している。


「のだぁ……」


目が潤んでいた。


「昔は誰も欲しがらなかったのだぁ……」


「……」


「チェキ余ってたのだぁ……」


「……」


「箱に詰めて倉庫で眠ってたのだぁ……」


レイは空を見た。


「それが今は100万円なのだぁ……」


「感動の方向がおかしい」


「芸能界って夢があるのだぁ……」


「転売市場に夢見るな」


だが。


レイの脳は完全に資本主義で焼かれていた。


「のだぁっ♡」


ニヤァ。


「今が売り時なのだぁ♡」


「やめろ」


「まだ在庫があるのだぁ♡」


「怖い怖い怖い!!」


レイは急に忙しくなった。


スマホ。


通知。


銀行。


相場確認。


「むむっ!?」


「また何だ」


「うちわも上がってるのだぁ!!!」


「もう知らん!!」


「“最終回記念需要”なのだぁ!!!」


「株式用語みたいに言うな!!」


その時。


祝賀会会場からスタッフが呼びに来た。


「レイくーん!みんな待ってるよー!」


「のだっ♡」


レイは振り返った。


だが。


数秒後。


「……むむっ」


またスマホ。


「おい」


「海外ファンが初期グッズ探してるのだぁ」


「やめろ」


「世界市場なのだぁ♡」


「お前本当に芸能人か!?」


レイは真顔になった。


「芸能人なのだぁ」


「うん」


「だから価値があるのだぁ♡」


「嫌な説得力出すな」


その時。


局幹部が笑顔で近づいてきた。


「レイ君!本当にありがとう!」


レイ、

秒速で切り替え。


「のだぁあああ!!!」


超低姿勢。


「こちらこそありがとうございますなのだぁあああ!!!」


「いや〜君のおかげだよ!」


「そんなそんななのだぁ♡」


「今後も頼むよ!」


「靴でも舐めるのだぁ♡」


「舐めなくていいよ!?」


媚び。


全力媚び。


レイは完全に理解していた。


数字がある今だけ、

皆優しいことを。


だから。


今は全力で媚びる。


笑う。


頭を下げる。


愛想を振りまく。


そして。


裏でグッズを売る。


完璧な俗物である。


祝賀会場。


シャンパン。


拍手。


豪華料理。


キャスト陣。


スタッフ。


スポンサー。


全員笑顔。


その中央。


主演・佐藤レイ。


ニコニコしている。


だが。


机の下。


スマホ。


相場確認。


「のだぁ……」


「まだ見てるの!?」


「今熱いのだぁ……」


「お前祝賀会中だぞ!!」


レイは真顔だった。


「祭りの時に市場から目を離すのは三流なのだぁ」


「誰だよお前」


その時。


また通知。


『レイ初期サイン入りタオル 150万円 即決』


レイ。


硬直。


数秒後。


「のだぁああああああああ!!!!!!」


会場中が振り向いた。


レイは涙目だった。


「吾輩、生きててよかったのだぁああああ!!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ