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種馬ズ  作者: 雪だるま
第一章

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19/57

17

朝。


テレビ局。


空気が壊れていた。


「……37」


「いやいやいや」


「37!?」


「今の時代で!?」


「え、紅白?」


「スポーツ中継じゃなくて?」


「ラブコメだぞ!?」


モニターに表示された数字。


【初回視聴率 37.0%】


会議室がざわついていた。


というより、

半分パニックだった。


今の時代。


配信全盛。


テレビ離れ。


視聴率20超えですらニュース。


なのに。


37。


しかも。


内容は普通にラブコメ。


ただし。


局が本気だった。


とにかく本気だった。


宣伝。


番宣。


雑誌。


SNS。


CM。


街頭広告。


人気若手女優大量投入。


事務所横断お祭り企画。


「今一番勢いある若手全部集めました」


みたいな狂った布陣。


しかも。


主演。


佐藤レイ。


今もっとも“なんか気になる男”。


その結果。


世間が祭りに乗った。


『今クール絶対これ』


『キャスト豪華すぎ』


『学園祭みたい』


『深く考えず見れる』


『レイまた変な演技してる』


『でもなんか見ちゃう』


『美少女多すぎ』


結果。


37%。


テレビ局は脳を焼かれた。


スポンサーは狂喜乱舞。


広告代理店は宴会状態。


芸能事務所は電話鳴りっぱなし。


その頃。


種馬ズ楽屋。


「のだぁ……」


レイはスマホを見ていた。


数秒。


沈黙。


そして。


「のだぁああああああああ!!!!!!」


絶叫。


「やったのだぁあああああ!!!!!!」


ソファから飛び上がった。


「37なのだぁあああああ!!!!!!」


田村が耳を押さえる。


「うるせえ!!」


だがレイは止まらない。


「国民的人気者なのだぁあああ!!!」


「落ち着け!!」


「吾輩の時代なのだぁあああ!!!」


完全に壊れていた。


しかも。


次の瞬間。


レイの目がギラァッ!!と光る。


嫌な光。


田村が察する。


「あっ」


「吾輩のうちわがものすごい値段で転売できるのだぁあああ!!!」


「やっぱりィ!!」


レイは震えていた。


感動で。


「今なのだぁ!!」


「何が」


「今家に帰るのだぁあああ!!!」


「帰るな!!」


「吾輩のうちわコレクションが火を吹くのだぁあああ!!!」


「火を吹くな!!」


レイは本気だった。


何故なら。


実は。


自分のグッズを大量保管していたからである。


初期うちわ。


限定アクスタ。


初代タオル。


種馬ズ初期チェキ。


しかも保存状態が妙に良い。


完全に投資家。


「のだぁぁぁ……」


レイは恍惚としていた。


「ついに収穫期なのだぁ……」


「農家みたいに言うな」


「育てた市場が実を結んだのだぁ……」


「最低だなお前」


その時。


黒崎がスマホを見ながら呆然と呟いた。


「……レイ」


「のだぁ?」


「お前のうちわ、もう十二万」


静止。


レイの顔が消えた。


数秒後。


「のだぁあああああああああ!!!!!!」


崩壊。


「家に帰るのだぁあああ!!!」


「待てェ!!」


レイは本当に走り出した。


193cm。


脚が長い。


速い。


「止まれ!!」


「市場が熱いうちなのだぁあああ!!!」


「アイドルが市場言うな!!」


神谷が静かに呟く。


「……本当に転売する気なんだ」


「最初からしてる」


ハルは笑っていた。


「レイ君今日元気だね〜!」


「脳焼かれてるだけだ」


その頃。


ネット。


完全に祭り。


『レイ主演37%』


『時代がバグってる』


『美少女多すぎドラマ』


『種馬ズ、国民的アイドル化』


『レイのうちわ高騰』


『転売価格えぐい』


そして。


週刊誌界隈もざわついていた。


「……レイ最近どこ住んでる?」


「白鳥ミレイとの距離近いらしい」


「張る?」


「張るか」


危険。


かなり危険。


だが。


当のレイは。


「急ぐのだぁあああ!!!」


車へダッシュ。


田村も追う。


「待て!!」


「今なら高く売れるのだぁあああ!!!」


「本当に人として終わるぞ!!」


レイは振り返った。


真顔。


「芸能人は旬が命なのだぁ」


「転売屋の台詞なんだよ」


「今を逃したら暴落なのだぁ!!」


「株みたいに言うな!!」


レイは車に飛び乗った。


「帰るのだぁ!!!」


「どこに!?」


「倉庫なのだぁ!!!」


「倉庫持ってんの!?」


「グッズ専用なのだぁ♡」


「怖っ!!」


エンジン音。


車発進。


そしてレイは後部座席で、

スマホを見ながら震えていた。


「のだぁ……」


「今度は何だ」


「ミレイとのスキャンダル撮られる前になのだぁ……」


空気停止。


田村が固まる。


「……は?」


レイも固まった。


「あっ」


数秒。


沈黙。


田村がゆっくり振り向く。


「お前今なんつった?」


「のだぁ……」


「白鳥ミレイ?」


「のだぁ……」


「スキャンダル?」


「のだぁ……」


「お前ェーーーーーーーーーー!!!!」


絶叫。


レイは窓に張り付いた。


「のだぁあああ!!!違うのだぁあああ!!!」


「何が違うんだ!!」


「まだ撮られてないのだぁ!!!」


「時間の問題じゃねえか!!!!」


レイは半泣きだった。


「うわああああん!!!だから今のうちに売るのだぁあああ!!!」


「最低最悪の危機管理!!」


だが。


その頃。


SNSでは。


『レイ、また主演大当たり』


『なんで毎回ヒットするの』


『令和の視聴率お化け』


『でも絶対私生活やばそう』


という声が、

じわじわ増え始めていた。

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