61.
「そうよ……、マーシーが、帰ってきたの」
シンシアが静かに告げたその言葉は、私に重くのしかかった。
まさか、マーシーがこの学園に帰ってくるなんて……。
そんなカムバック、誰も望んでいない。
どうして、こんなことになったの……。
「彼女が退学したのは、中等部でしょう? それで、当然高等部には入れないと思っていたけれど、そうではなかったの。彼女は、この学園の編入試験に合格して、他校から転校してきたのよ」
「まさか、そんなことが……」
シンシアが教えてくれたその事実に、私は驚いていた。
まさか、そんな抜け穴があったなんて……。
「本当に驚いたわよ。編入試験に合格すれば、高等部から入りなおせるなんて……。規則にこんな穴があるなんて思わないし、そもそも、普通は退学になった学園にもう一度入ろうなんて思わないから、今まで誰も、この抜け穴に気付かなかったのよ」
「まさか彼女が、この学園に戻ってくるなんて……。それにしてもシンシアさん、情報通ですね。私、彼女がこの学園に帰ってきたなんて、知りませんでしたよ」
「私も知らなかったわ。でもね、今朝先生が、うちのクラスに転校生が来たから紹介し始めて、それがマーシーだったのよ」
「え!? マーシーさんが、シンシアさんのクラスに転校してきたんですか!? シンシアさん、いつの間に飛び級をしていたんですか?」
「いやいや、違うわよ。この学園に、飛び級制度なんてないでしょう? そうじゃなくて、マーシーが二年生なのよ。彼女は施設で一年くらい過ごしていたから、私と学年がダブったってわけ」
「な、なるほど……。それで、その、どうでした? マーシーさんは……」
私はシンシアに質問した。
さきほどからそれが、一番気になっていた。
「もうね……、びっくりした。まるで別人よ」
「もしかして、坊主にしていたとか……」
「いやいや、そういう変化じゃなくて……。彼女ね、私に話しかけてきたんだけれど……」
シンシアから聞かされたマーシーの変化は、驚きの内容だった。




