57.
(※マーシー視点)
「あなたが点呼に遅れていたことに、私が気付いていないとでも思っていましたか? 当然、気付いていましたよ。でも、あえて、私は何も言わなかった。最初に気付いた時点で、あなたに罰を与えることは簡単です。しかし、わたしはそうしなかった。なぜだかわかりますか?」
「わ、わかりません……」
そんなことを考えている余裕はなかった。
私は全身が震え、恐怖が体を支配していた。
これからどうなってしまうのか、そのことばかり考えていた。
「この施設の目的は、あなたたちのような子供を更生させることです。悪いことをして、罰を与えれば、しばらくはいい子になるでしょう。しかし、罰を受ける痛みを忘れ、またそのうちに、同じことを繰り返してしまう。それでは意味がない。私はあなたたちに、悪いことをしてほしくないし、もし悪いことをしても、自主的に報告して、反省できるような子に育ってほしいのです。わかりましたか?」
「は、はい……」
「私は今回、あなたにそのチャンスを与えました。自白する期間は、充分に与えました。しかし、あなたはそのことを悔いて反省するどころか、バレていないと思い、悪いことを繰り返すことに味をしめ、楽しんでいた。これは、さすがに罰が必要だと思いませんか?」
「い、いえ、思いません……」
「え?」
「いえ、思います。悪いことをしたのだから、罰を受けるのは当然だと思っています!」
私の声は震えていた。
これからどんな罰が私を待ち受けているのか、考えただけで怖かった。
不安な気持ちは、一秒ごとに大きくなっていった。
「さて、どんなお仕置きにしましょうか……」
指導員は、にこにことした笑顔をこちらに向けている。
体の震えが、止まらなかった。




