54.
(※マーシー視点)
「マーシーさん、あなた、点呼に遅れましたね?」
「え……」
そんな……。
バレていたの?
えっと……、どうしたらいいの?
指導員の鋭い眼差しに緊張して、私は何も言えなかった。
「どうしたんですか? 私はただ、簡単な質問しただけですよ。あなたは点呼に遅れましたか? どうして黙り込んでいるんですか? 難しい質問ではありませんよね?」
「あ……、あの、えっと……」
ああ、どうしたらいいの……。
なんとかして、ごまかすべきなの?
それとも、正直に話すべきなの?
指導員の鋭い視線が突き刺さる。
緊張感が高まり、額から汗が滲み出てきた。
「あ、あの……、よく覚えていません」
これなら、どう?
嘘をつくわけでもなく、かといって遅刻を認めるわけでもない。
何とかしてはぐらかす。
もう、これしかない。
私の言葉を聞いた指導員が立ち上がった。
そして彼は、テーブルの上にあった小物を勢いよく蹴り飛ばした。
私は驚いて、恐怖のあまり声も出なかった。
「すいません、気にしないでください。さっき、なんて言いました? よく聞き取れなかったので、もう一度お願いします」
指導員が椅子に座りながら言った。
これは……、だめだ。
次にはぐらかそうとすれば、蹴られるのは間違いなく私だ。
下手な言い訳は、愚策中の愚策。
となれば、私がするべきことは……。
「申し訳ありませんでした!」
私は指導員に頭を下げた。
「うっかり、寝坊してしまったんです! この施設に入ってまだ数か月なので、ここでの生活にまだ慣れていないのです。今まで何年も、朝早く起きる習慣もなかったので、うっかり寝坊してしまいました。本当にすみませんでした!」
私はソファから離れ、土下座した。
誠心誠意謝らなければ、私の身に何が起きるかわからない。
とにかく今は、全力で謝るしかない。
「マーシーさん、頭を上げてください」
私はその言葉を聞いて、頭を上げた。
「もう一度聞きますが、#うっかり__・__#寝坊してしまったのですね?」
「はい、そうなんです! 今後は気をつけます! そして今日からは、消灯時間よりも早く寝るつもりです!」
「そうですか……」
指導員は、にっこりと笑みを浮かべた。
これは、許してもらえる流れだろうか……。
それとも……。




