51.
(※マーシー視点)
この施設の朝は早い。
毎朝、六時起きである。
学校に通っていた頃は、朝ご飯を食べずに登校時間ぎりぎりまで寝ていたし、退学になってからはお昼近くまで寝ていた。
そんな私にとって、毎朝六時に起きるというのは、かなりの苦痛だった。
そもそも、この施設での生活自体が、私にとって苦痛だ。
規律を重んじるこの施設では、些細なルール違反も許されない。
指導員は厳しいし、正直言ってかなり怖い。
毎日毎日ストレスが溜まって、夜眠る時もなかなか寝付けない。
それなのに、朝六時に起きないといけないのは、地獄のような辛さだった。
そして私はある朝、ベットから起きて、一気に目が覚めた。
深い眠りで疲れも取れて、爽快な朝を迎えたから……、ではない。
時計の示す時刻は、既に六時十分だった。
これは、非常にまずい。
この施設では、六時に起きたあと、全員が集合して、六時十分から点呼をするのだ。
おそらくすでに、点呼が始まっている。
しかし、点呼が始まっている時間だというのに、私はまだベッドの上にいた。
「あぁ……、どうしよう。大変だわ」
私は急いで集合場所に向かった。
二度寝したのがいけなかった。
六時に起きて、あと五分寝てから行っても間に合うからと思ったのが、間違いだった。
うっかり十分も寝てしまうなんて……。
私は集合場所に到着した。
既に点呼は始まっている。
私はばれないように、こっそりと列に並んだ。
鼓動が速くなっているのがわかる。
点呼は続いていた。
そして、順番が回ってきて、私は無事点呼を終えた。
点呼の最中も、点呼が終わってからも、指導員に何か言われるのではないかと思って、ひやひやしていたけど、結局何も言われなかった。
あれ、なんで?
もしかして、バレなかったの?
なあんだ、厳しくて怖い指導員だと思っていたけど、案外チョロいのね。
これなら、明日も二度寝して大丈夫そうだわ……。




