49.
学園祭は中止になることはなく、私たちはマーシーが去ったあと、学園祭を思う存分楽しんだ。
あの時、憲兵の人が現れたことには驚いた。
でも、周りにいた人たちはあれもお芝居の一部だと思ったようで、大きな騒ぎにはならなかった。
演劇部のロイくんの機転のおかげである。
そして、ハワードが見つけた料理の中に入っていた歯や、彼の推理、あとは画家の卵くんや歯科医師の息子君たちの証言により、マーシーは有力な容疑者となった。
その後の憲兵の調査により、見つかった歯はマーシーの歯だと断定された。
そして彼女の自宅からは、料理を食べて倒れた一般客の人が身に着けていた服と、同じものが見つかった。
これらが決定的な証拠となり、マーシーが犯人だったと暴かれた。
彼女への処罰は、噂で聞いた。
彼女は強制的に、矯正施設へと送られるそうだ。
そこのいる指導員や、その施設のカリキュラムは、とんでもなく厳しいものらしい。
どんな悪人でも、施設から出る頃には善人になっているとか、そんな噂もある。
あのマーシーが善人になるとは思えないけれど、とにかく厳しい施設なので、彼女にとっては地獄のような場所だと思う。
*
(※マーシー視点)
まさか、施設に入れられるなんて……。
こんなところに閉じ込められるなんて、苦痛だった。
私はカトリーに復讐したいのに、ここに閉じ込められている間は、それも不可能だ。
今日は施設に入って初日である。
私と同時期にこの施設に入った人物が、二人いた。
彼らは私の両隣りに並んで立っていて、目の前には指導員の人が立っている。
「君たちか、今日から新しく施設に入った子たちというのは。まずは、自己紹介をしてください」
指導員の人がにっこりとしながら言った。
あぁ、めんどくさ……。
まあ、刑期は決まっているので、こんなところ適当に過ごして、出られる時が来るのを待っていればいいだけだ。
その間暇だし、いじめがいのある奴でも見つけて、ストレス解消でもしよう。
「なんで自己紹介なんてしないといけないんだよ。おれがお前の言うことを聞く理由はない。刑期を終えるまで、好きにさせてもらうぜ」
私の隣にいる彼は、いかにも悪そうな人物だった。
まあ、私も彼と同じような気持ちだ。
ここは、一時的に閉じ込められている場所に過ぎない。
悪さをした人が、こんな場所で心を入れ替えるなんて、あるはずもない。
そう思っていたが……。
「ダメですよ、そんなことでは!」
指導員が、彼を蹴り飛ばしながら言った。
ものすごい一撃で、悪態をついた彼は勢いよく吹っ飛ばされていた。
彼は床に倒れたまま咳き込んでいて、辛そうに息をしている。
「はい、では次の方、自己紹介をお願いします」
指導員がにっこりとした顔で私の方を見ながら言った。
「……は、はい。あ、あの……、私、マーシー・オバーフと言います。……よ、よろしくお願いします」
「はい、よくできましたね」
指導員が私の頭を撫でながら言った。
私は、かつてないほどの恐怖を感じていた。
体が、がたがたと震えている。
これから私は、こんなところで過ごさないといけないの?




