44.
(※マーシー視点)
……は!?
……歯!?
え……、どういうことなの……。
あれ、ちょっと待って……。
さっき感じていた喪失感に、ようやく思い至った。
私はすぐに確認した。
歯が、ない!?
え、抜けていたの?
いつの間に?
もしかしてあれって、私の歯?
いったい、どうして……。
あ、そうか。
ビンタのせいだ。
私はカトリーを陥れるために、自分の頬に強烈なビンタを食らった。
しかもカトリーを陥れることに失敗した私は、さらにビンタを食らった。
あの時から、少しぐらぐらしているな、とは思っていたが、まさかこんなタイミングで抜けるなんて……。
神様はなんて無慈悲なのかしら……。
健気にも頑張っている私に、こんな罰を与えるなんて……。
……いや、諦めてはダメよ。
まだすべてが見破られているとは限らない。
こうなったら、全力でとぼけるまでよ!
「歯ですか。それがいったい、どうかしたのかしら?」
「認めないつもりなのですね。いいでしょう。それでは、順を追って説明しましょう。カトリーさんのクラスで出された料理を食べて、一人の女性客が倒れました。何かが入っていたことは確かなようです。しかし、それを入れた方法がわかりませんでした。周りにはたくさん人がいるので、その目を盗んで他人がそのお客さんの料理に劇物を入れることは不可能ですから」
「そうよ。だから、残された可能性は二つしかないわ。一つ目は料理を出したこのクラスの誰かが劇物を入れたという可能性。そして二つ目は、元々食材に異物が混ざっていたり、腐っていた場合よ。まあ、どちらにしても、学園祭は中止になるでしょうね」
「ええ、マーシーさん、あなたの言う通りです。先生たちが話し合っていますが、この状況では学園祭を中止にせざるを得ないでしょう」
「ええ、そうね。間違いなく学園祭は中止になるわ!」
「しかし、その二つのどちらでもない、三つ目の可能性があるとしたら、どうでしょうか?」
「え……」
まさか……、まさか、私の完璧な計画が、すべて気付かれているというの!?




