35.
(※エリオット視点)
僕はシンシアと一緒に、学園祭を楽しんでいた。
なんだろう……、こんな気持ちは初めてである。
自分でいうのもなんだけれど、僕は女子からよくデートの誘いを受ける。
しかし、デートの最中に毎回、僕は女子たちの機嫌を損ねてしまっていた。
その原因は、僕にある。
僕はべつにシスコンというわけではないけれど、カトリーの話題をよく持ち出す。
そして、僕とデートしている女子は、自分がいるのにほかの女性の話をされるのが面白くないらしく、一回のデートでそれっきりということが何度かあった。
僕はそれ以降少し学んで、女子とデートしている時は、彼女たちに気を遣ってカトリーの話題を控えるようになった。
シスコンではないので、それくらいの我慢はできる。
しかし、何の因果か、うっかりと無意識のうちに、ぽろっとカトリーのことを話してしまうのだ。
それで、デートはそれっきりとなってしまっていた。
そんな僕だけれど、シンシアと一緒に回る今日の学園祭は楽しい。
シンシアとは、これまでにハワードの家に行った時などに、何度も話したことがある。
しかし、二人きりというシチュエーションは初めてだった。
最初のうちは、彼女に気を遣ってカトリーの話題は避けていた。
しかし例のごとく、シスコンではないはずの僕は、なぜかうっかり彼女の話題を口にしてしまっていた。
しまった、と思ったが、意外にもシンシアは嫌な顔一つせず、僕の話に付き合ってくれた。
一応さりげなく、自然な感じで、「今までデートした女子は、カトリーの話題を出すと不機嫌になっていたけれど、君は平気なの?」とシンシアに聞いてみたところ、「私はシスコンに理解があるので大丈夫です」というのが彼女の返答だった。
そうか……、彼女には、シスコンの兄であるハワードがいる。
だから、こんなことには慣れているということか。
まあ、僕はシスコンではないけれど。
しかし、シスコンと言われること自体は嫌いではない。
いつまでも変わらないカトリーへの愛情を、まるで褒められているように感じるからだ。
「さて、次はカトリーのクラスへ行こうか。変わった飲み物や食べ物を提供しているそうだよ」
「いいですねぇ。行きましょう、行きましょう」
僕たちは、カトリーのクラスへ向かった。
この楽しい時間が、もっと続くと思っていた。
しかし、この楽しい学園祭はいつまでも続かなかった。
以前僕に告白してきた彼女が、あんなことをしてしまったせいで……。




