34.
ついに……、ついに手を繋ぐことができた。
もちろん、お化けのぬるぬるとした手ではない。
正真正銘、ハワードの手だ。
彼から、「先ほどは繋ぐ余裕がなかったので」と提案してきて、こうなったのである。
そして、お化け屋敷の方はというと、もう、めちゃくちゃ怖かった。
相変わらずかわいい悲鳴を上げることができず、絶叫し続けていた。
ハワードと手を繋いでいたはずが、いつの間にか反対の手も誰かに握られていて絶叫したり、肩に手を置かれたので、「きゃっ、ハワードさんったら、積極的」と思っていたら、実はそれはお化けだったと分かって絶叫したり、とにかく、絶叫してばかりだった。
ハワードはさっきのお化け屋敷では適度に驚いたリアクションをしていたけれど、今回のお化け屋敷では全然怖がっていない。
どうして怖がっていないのか彼に聞いてみると、「午前中は僕も、ここのお化けでしたから」という返答だった。
初めからネタがわかっていれば、怖くないということか。
私ならネタがわかっていても、絶叫する自信があるけれど……。
側にいるハワードは、「楽しんで頂けているようでよかったです」と言って、自分のクラスの出し物を、私が楽しんでいることに対して嬉しそうだった。
彼が手を握って側にいてくれるだけで、さっきのお化け屋敷よりはずいぶんと安心できた。
私がどれだけ怖がって絶叫しても、彼は私の手を離さなかった。
それは彼のやさしさなのか、あるいは私が恐怖のせいで彼の手を握る力が強すぎたのかもしれない。
私たちは、お化け屋敷を脱出した。
例のごとく、次に入るお客様の顔には、恐怖が浮かんでいた。
私の絶叫のせいで、必要以上に怖がらせて申し訳ない。
「ハワードさん、次はどこへ行きますか?」
「そうですね、僕のクラスに来てもらったので、次はカトリーさんのクラスへ行きましょうか」
「いいですね。それでは、ご案内します」
ハワードと共に、私は自分のクラスへ向かった。
*
(※マーシー視点)
私は少しだけ、計画を遅らせていた。
私がしようとしていることは、学園祭を中止に追い込む可能性があることだ。
その前に、私も一年に一度の学園祭を楽しみたかった。
一人でも、学園祭はそれなりに楽しかった。
いくつか模擬店を回り、このお祭りの雰囲気を充分に楽しんだ。
そして、満足したところで、私はいよいよ行動を起こすことにした。
カトリー、学園祭は楽しんでいるかしら?
今のうちに、充分に楽しんでおくことね。
あなたの学園祭は、今から私が終わらせてあげるわ……。




