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33.

 お化け屋敷では、さらに二回ほど悲鳴を上げる事態に遭遇した。


 もう少しなんというか、「きゃっ!」みたいな感じで可愛く悲鳴を上げられたらいいのだけれど、残念ながらそんな余裕はなかった。

 あの手この手で驚かしてくるお化けと遭遇するたびに、「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」と私は悲鳴を上げていた。

 若い令嬢があんな声を出すなんて、とハワードに引かれていないといいのだけれど……。

 むしろ、人間味のあるリアクションでいいね、と私に惹かれていたらいいのだけれど……。


 ビビり過ぎて、ハワードと手を繋ぐことも忘れているまま、私たちはお化け屋敷を脱出した。

 私たちがお化け屋敷から出て、次のお客様がお化け屋敷に入るとき、彼らはかなり怖がっている表情を浮かべていた。

 もし私の悲鳴、というか絶叫で必要以上に怖がらせてしまったのなら、本当に申し訳ない。


「さて、次はどこへ行きましょうか」


「うーん、そうですねぇ、さっきは私が行きたいところへ行ったので、次はハワードさんの行きたいところへ行きましょう」


「では、僕のクラスへ行きましょう。きっと楽しいですよ」


 私たちは、ハワードのクラスに向かって歩き始めた。

 その時、前からこちらに向かって歩いて来ている人物たちがいた。

 なんというか、かなり目立つカップルである。


 女性の方は、とてもきれいなご令嬢、といった感じだ。

 そして男性の方は、さらに目立つ。

 身長二メートルは超えているのではないかというほどの大男で、威圧感のある風貌だった。

 そのアンバランスなカップルが、楽しそうに話していた。


「今さっきのお化け、怖がらす側なのに、マッチョくんを見て怖がっていたわね」


「いえ、あれはお嬢様の悲鳴で怖がっていたのだと思いますよ」


 すれ違ったので、すぐに二人の会話は聞こえなくなった。

 しかし、あのご令嬢、あんな怖そうな大男を気安くマッチョくんと呼ぶなんて、どんな心臓をしているのだろう。

 世の中、いろいろなカップルがいるということか……。

 そういえば、私たちもはたから見ると、カップルに見えているのだろうか。

 ちょっとハワードに聞いてみよう。

 彼がどんなリアクションをするのか楽しみだ。


「ねえ、ハワードさん。私たちって、はたから見たら、どう見られていると思います?」


「え……、制服を着ているので、この学園の生徒だと見られているのだと思いますが……」


 うーん、そういうことが言いたかったわけではないのだけれど……。

 あれ?

 ちょっと待って……。

 さっきのカップル、お化けがどうとか言っていたわよね。


 私たちがさっき行ったお化け屋敷は、私たちの後ろ側だ。

 それなのに、前から来てすれ違ったカップルも、お化けの話をしていた。

 しかも話し方からして、ついさっき行っていたような言い方だった。


「あの、ハワードさん、もしかして、さっき行ったお化け屋敷以外にも、どこかのクラスがお化け屋敷をしていたりしますか?」


「ええ、ちょうど僕たちのクラスが、お化け屋敷をしていますよ」


 なんと……。

 またお化け屋敷とは……。

 そんなに私を怖がらせたいのかしら?

 いやいや、ネガティブになってはダメ。

 何事もポジティブに捉えないと。

 

 ……あ、もしかして、さっき手を繋ぎそこなったから、もう一度お化け屋敷へ行こうとしているのかしら?


 そう考えると、どきどきしてきた。

 しかし、この時の私はまだ知らなかった。

 

 私が学園祭を楽しんでいる裏側で、()()がとんでもない騒ぎを起こすつもりでいるということを……。

 

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