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25.

 (※マーシー視点)


「あの、えっと……」


 私は、何も反論することができなかった。

 ハワード様の言い分は、もっともなことだった。

 カトリーが私の頬に腫れ痕を残すなんて、不可能だったのだ。

 そのことを、この場にいる全員が理解したようだ。

 

 さっきまでカトリーに向けられていた非難の目は、今はすべて私に向けられている。


 あぁ、なんてことなの……。

 どうしてこんなことになってしまったの?


 思えば、この腫れ痕をつけるのも楽ではなかった。

 最初は、自分の頬を叩いて腫れ痕をつけようと思った。

 左頬を右の掌で叩けば、他人が右手で叩いた時と、同じ痕ができる。

 理論上はそうだ。

 しかし、一つ問題があった。


 自分の頬を腫れ痕ができるほど全力で叩くなんて、私には不可能だった。


 直前に怖がってしまって、どうしても力が入らない。

 しかし、全力で叩かなければ腫れ痕はつかない。

 カトリーを陥れるためだと自分に言い聞かせて、私は勇気を振り絞った。

 それでもやはり、直前で躊躇してしまった。

 中途半端に自分の頬を叩いただけで、腫れ痕はできず、ただ無駄に痛い思いをしただけだった。


 時間は、刻一刻と迫っていた。

 私は登校時間直前まで、何とかして自分の頬に腫れ痕をつけようと試行錯誤していた。

 しかし、結局は私の勇気が足りないせいで、それは不可能だと悟った。


 次に、別の方法を考えた。

 自分の顔を、あるいはどこか肌が見えるところを、刃物で切り付けるというものだった。

 それを、カトリーにやられたと証言すればいいのだ。

 しかし、この方法は早々に諦めた。

 切られた痕がずっと残ったら嫌だし、やはり適度な時間残って、数日も経てば跡形もなく消えているという点で、腫れ痕がいいと判断した。


 問題は、その腫れ痕のつけ方だ。

 登校時間まであと一分を切ったところで、私は自分の頬に腫れ痕をつける方法を思い付いた。

 そして時間がないので、すぐにそれを実行した。

 

 母を煽り散らしたのだ。


 これでもかというほど憎まれ口を叩いたことで、怒った母は私の頬を全力で叩いた。

 すべて計算通りだった。

 歯が折れたのではないかというほどの激痛以外は。

 そうして私は、自分の頬に腫れ痕をつけることに成功したのだった。


 そこまで苦労したのに、やっとカトリーを退学にできると思ったのに、いったい何なの、この状況は!

 私の完全勝利で終わるはずじゃなかったの!?


 先ほど、私がいじめられていると発表した先生が、私に近づいてきた。


 さっきまでの威勢は消えてしまい、私はびくびくしながら身構えていた……。

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