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26.

 (※マーシー視点)


「マーシーさん、退学になるのは、あなたの方だったみたいですね」


 近づいてきた先生が、ため息をつきながらそう言った。

 まるで、私のことに呆れているかのような態度だった。

 そんな……、なんなのよ、これ……。

 こんな展開になるはずじゃなかったのに!


「別室で少し、話しましょうか」


 先生が、私についてくるよう促していた。

 講堂にいるたくさんの生徒からは、私に対して非難の声を次々にあげていた。


「カトリーを陥れようとするなんて、最低!」


「相変わらず性格悪いな!」


「そんなことだから、友達が一人もいないんだよ!」


「校長の話よりは面白かったぞ! いい茶番だった!」


「カトリーに謝りなさいよ!」


 次々と、私に怒声が浴びせられる。

 私は、歯を食いしばって、何とかそれらの声に耐えていた。

 ……私が悪者みたいに言わないでよ。

 悪いのは全部、私の恋路を邪魔したカトリーなのに。

 

 ……そうか、その手があったわ。

 前に思い付いていたのに、忘れていた。

 

 そう、それよ!

 一度はカトリーを陥れることには失敗したけど、まだ彼女を陥れる方法はある。

 これなら彼女の恋路を邪魔することもできるし、同時に彼女を陥れることもできる。

 先生のうしろを、俯きながらとぼとぼと歩いていた私は、再び全生徒たちの方を向いた。


「エリオット様! ハワード様! 今からお二人に、カトリーの秘密を暴露してさしあげますわ!」


「あの、ちょっと、マーシーさん……」


 先生が私を制止しようとしたが、そんなことで私は止まらない。


「カトリーは、エリオット様という婚約者がいながら、ハワード様にも色目を使って迫っているのです! どうですか!? 知らなかったでしょう!? 彼女は二股をかけている、性悪女なのですよ!」


 講堂内が、静寂に包まれた。

 次の瞬間には、二股をしていたカトリーが、非難の的になると思っていた。

 しかし、そうはならなかった。


 生徒たちは、私を憐れむような目で見たり、呆れたような目で見ていた。

 

 え、どうして!?

 ここは、全力でカトリーを非難する場面でしょう!?

 どうして、私がそんな目で見られないといけないのよ!

 私は退学になってしまうけど、最後にカトリーを陥れることだけはできると思ったのに……。


「あのぉ、マーシーさん。よろしいでしょうか?」


 カトリーが私に話しかけてきた。

 彼女も、呆れたような顔をしていた。


「何度も何度も言いましたけれど、エリオットは私の婚約者ではありませんよ」


「はあ?」


 まただ。

 またこの女は、とぼけようとしている。

 しかし、今回はこれだけ大勢の前なのだ。

 しらを切っても無駄よ。

 この場で誤魔化そうとしたら、それこそ非難の対象になるわ。


「いい加減、とぼけるのはやめなさい! あなたとエリオット様は、同棲しているのでしょう!? 婚約者でもないのに男女が同棲しているなんて、それこそ大問題よ! 不純異性行為よ! 退学の対象だわ!」


「えぇっと、前にも言いましたけれど、同棲というか、確かに一緒に住んではいますね。だって、彼は──」

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