23.
(※マーシー視点)
「この頬の腫れ痕が、私が犯人だという証拠?」
わけがわからない。
どうして、そうなるの?
私には頬を叩かれた痕があって、その私がカトリーにやたれたと言っているのよ。
この状況ではどう考えても、カトリーが犯人になるでしょう!?
それにハワード様は、私の味方じゃなかったの?
やっぱり、カトリーの方が、私よりいいっていうこと?
それに、カトリーの表情が気に入らない。
さっきまで絶望感を漂わせて暗い表情だったのに、今は明るい表情でハワード様を見つめている。
こんなの、だめよ!
あなたは、私に負けて絶望するはずだったのよ!
あなたは絶望した顔で、この学園を去るはずだったでしょう!?
それなのに、どうしてこんなことに……。
私は、ハワード様に反論を試みる。
「意味が分かりませんわ。この頬の腫れ痕が、私が犯人だという証拠? 全く論理的ではありません。理解しがたいです。私の頬には確かに腫れ痕があって、その私がカトリーにやられたと言っているのですよ。どう考えても、カトリーが犯人ですよ!」
「それでは一つ、面白い話をしましょう。先ほどエリオットさんが言ったように、カトリーさんはいじめをするような人物ではありません。彼女はとても優しい心の持ち主なんですよ」
「そんなことが、反論になるとでも思っているのですか? 優しい心を持っているなんて、口だけでならなんとでも言えますわ!」
「まあまあ、話は最後まで聞いてください。さて、彼女がそんな優しさを見せたあるエピソードがあります。彼女は、あなたにいじめられていたのですが、いろいろと会って、あなたが空き教室で気を失う事態が発生しました。普通なら、自分をいじめてくる相手なんて、そのまま放っておいてもおかしくありません。しかし彼女は、気を失ったあなたを医務室に運ぶことを選択したのです」
「私がカトリーをいじめていた? いい加減なことを言わないでください」
「まあ確かに、あの時あなたが彼女をいじめていたという証拠はありません。しかし、あなたが医務室に運ばれたことは、医務室の先生に聞けば裏は取れますよ」
「それが何だというのですか? それでも、一人の女生徒が、倒れていた私を医務室に運んだというだけの話じゃないですか。それが、彼女がいじめの犯人ではないという証拠になるとでも思っているのですか?」
「いえいえ、ここからが重要なんですよ。カトリーさんはあなたを医務室へ運びました。それを私とエリオットさんが手伝いました。しかし、その運んでいる最中、カトリーさんは階段から落ちてしまったのです」
「それが何だというのですか? 彼女がただドジだから、勝手に落ちただけでしょう!?」
「ええ、そうです。しかし、そのことが、カトリーさんの身の潔白を証明することになるのです。それについて皆様に、論理的に説明いたしましょう」
どういうこと?
階段から落ちたからって、なんだというの?
私は彼女を階段から落としてなんかいないから、この話が彼女の身の潔白を証明するなんてとても思えない。
ハワード様は、いったい、どうやって彼女の身の潔白を証明するというの?




